余命15年

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12話

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幸い命に別状は無かったが、





病室で見た千沙季の顔は
完全に追い詰められ、絶望していた。











「…ごめん、私、本当にひかりと一緒にいられるの嬉しいって思ってた、結婚も嬉しいって…思ってた、
でも、心がついていかなくて…こんなことしちゃった…」







千沙季は泣きながらそう言った。












「ごめん…僕のせいだ、
千沙季はここまで追い詰められてるの知らなくて、
勝手にどんどん話を進めて……
もういいよ、千沙季、結婚はやめよう」






そう言うと、千沙季は首を振った。







「ダメ、そんなことしたら、ひかりが死んじゃう」





「大丈夫、僕は死なない、生きる
でも、千沙季とは、もう一緒にいられない」







千沙季をここまで追い込んだ自分に、
千沙季と一緒にいる資格なんて無いと思った。












「今までの人間関係全てをリセットして、
新しい土地で新しい人生送る、
人生やり直してみせる、だからお互い自由になろう」





何度も別れたくない、と言う千沙季を説得し、
僕は千沙季と別れることにした。







「絶対僕は死なないから、絶対生きてみせるから、
千沙季も幸せになって欲しい、
僕も絶対自分の幸せを見つける」






その後は
将来おじいさんおばあさんになった時に
老人ホームでばったり会えたらいいね、
なんて冗談を言ったりし、


僕は病院を後にした。











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