天国の指名手配犯

第二章 人間界

第十三話 人間になった里菜

人間界に降りた里菜は、中学生になっていた。






物心がつく頃には、

自分が空の世界から指名手配の二人を追って降りてきたこと、
それらの事をバラしてはいけないこと、

自分の役目を思い出していた。







思い出した、という表現は間違っているかもしれない、

元々知っていた、という方が正しいだろう。




歩く時は右足と左足を交互に出す、
物を食べる時は口に入れ、歯で噛み砕く、
生きるために、酸素を吸って、二酸化炭素を吐き出すことを止めてはいけない、


これらの事を誰かに教わって覚えたという人はこの世にいるだろうか、


きっと誰に教えられたわけでもないのに、
自然と身に付いていた、知っていたはず。










空の世界の事、
指名手配の二人の事、
自分の役目、

これらの事は


里菜の頭に既に刷り込まれていた。