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六章
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「姉さん、今日は午前中で上がらせてもらいます。一応依頼されていた仕事は済ませてあります」
朝比奈法律事務所で、昼食の『吉田家』の牛丼の特盛りを食べ終え両手を合わせ、容器を手にとった朝比奈が姉に向かって声を掛けた。
「ああっ、仕事が済んでるなら構わないけど、まさか事件の捜査なんてことはないわよね」
心配そうに朝比奈を見た。
「残念ながら、僕にはそんな時間はありませんよ」
そう言うと暫くして、背広姿に着替えて戻ってきた。
「えっ、その格好は、もしかして面接にでも行くつもりなの」
暫く見たことがない朝比奈の姿に驚いた。
「残念でした、その『もしかして』ですよ」
気慣れない服装をチェックしながら答えた。
「えっ、アルバイトじゃなくて本当に就職するつもりなの。その『もしかして』でも優作を採用したいっていう企業はどこなんでしょうね」
まぁ、面接を受けようとする熱意は感心できるが、余程人材に困っている中小企業なのか、経歴等を偽造して素の性格を表さない限り、この『変人』を採用する奇特な大企業があるとは思えなかった。
「今は内緒にしておきます。採用されればいいですが、不採用になったら何言われるかわかりませんからね」
そう言うと、履歴書の入ったカバンを手にして出口へと向かった。
「当てにしないで待っているわ」
本当に期待していない麗子を後に、朝比奈は『エイコー』本社に向かった。名古屋市の東部、ジブリバークで有名な長久手市に接する名東区に有る本社ビルは、愛知グループの子会社として傘下に入ることで業績を伸ばし、長久手市より12階建てのガラス張りの自社ビルへと移転したばかりであった。
「あの、すみません。午後2時に社長とお会いする約束をしている朝比奈と申します。お取り次ぎをお願いします」
朝比奈は入口を通過し、3階まで吹き抜けとなっているロビーを1度見上げると、受付まで進み女性に声を掛けた。
「少々お待ちください」
女性は内線電話を手に取り確認を入れた。その間にも、朝比奈は辺りを見渡していた。
「ご連絡が取れましたので、ご案内致します」
女性は立ち上がると、エレベーターの前まで案内し7の数字を押した。そして、2人は言葉を交わすことなく7階まで上り、社長室まで進むとノックをして『どうぞ』の返事をもらうと部屋の中に入った。
「話は伺っています。私は神谷陽子と申します。まぁ、どうぞお掛けください」
ブランド品を身につけた気品のある40代後半と思われる女性が招き入れてくれ、勧めに従って席に着いた。
「社長直々面接なんて感動しすぎて緊張しています。どうぞよろしくお願いします」
女性がお茶を出し終えたタイミングで朝比奈が口火を切り、カバンから封筒に入っていた履歴書を取り出して神谷の前に差し出した。
「素晴らしい人材との紹介ですので、私が直接お会いすることにしました。家族皆さんは東京大学をご卒業なさったのですね」
手渡された履歴書に目を通しながら尋ねた。
「はい、血筋には自信がありますが、ただ私には子供の頃から運が悪いといいますか、その東京大学の受験の時に風邪を引いてしまい、一応試験は受けたのですが実力が発揮できずに合格することができませんでした。自分としては、浪人して再度東京大学への入学を望んだのですが、父はとても厳格な人間でしてニューヨーク州の弁護士試験に挑まれた人とは違い、そんなのは言い訳だと言われてしまい2度目3度目のチャンスは与えられませんでした」
朝比奈は大袈裟に落胆のポーズをとってみせた。
「とかく自分が優秀であると1度の失敗も許せなかったり、親戚や近所の人に対しての見栄というものもあったのかもしれませんね。それで、今はお姉さんの事務所で仕事をされていらっしゃるのですね」
職歴欄に目を移した。
「大学を卒業して1度は製薬会社に就職したのですが、それも父親のコネによるものであった為に、同僚からもそんな目で見られ一生懸命努力しても仕事に励んでも評価されず、やり甲斐もなくし居ずらくなって辞める事になってしまいました。そのことで、父も顔を潰されたと烈火のごとく怒り、監視を兼ねて姉の事務所で働くように命じられたのです。仕事としては、パラリーガルとして姉の補助をしたりして法律のことも勉強しています」
今の朝比奈の言葉を父や姉が知れば、事実無根と本当に雷が落ちるのだろうなと思った。
「分かりました。『世界幸福の会』からの推薦でもありますから、まずは仮採用ということで3ヶ月間の試用期間でお願いします。いつから出勤できますか」
履歴書をテーブルに置いて朝比奈の顔を見た。
「ありがとうございます。明日から、いや少しでも早く家や事務所から解放されたいので、できれば今すぐに働かせてください」
朝比奈は立ち上がって頭を下げ、その素早い反応に神谷は一瞬身を震わせた。
「あなたの家庭環境や熱意はよく分かりました。それでは総務部で必要書類等について説明を受け、まずは事務の仕事から覚えてください」
神谷は立ち上がり内線で総務部へと連絡を取ると、年配の総務部の係長と名乗る男性がやってきた。
「明日から来てもらうことになった朝比奈君よ。一応総務部で預かってもらうつもりだからよろしくお願いしますね。今日は入社に必要な手続きと、簡単に自社の仕事などについて説明をしてあげてね」
朝比奈の履歴書を係長に渡して紹介した。
「はい、かしこまりました」
係長は神谷から朝比奈の履歴書を受け取り頭を下げると、部屋を出てエレベーターで総務部へと向かった。
「北村さん、明日から総務部に来てもらうことになった朝比奈君だ。まずは、入社の手続きから順次教えてあげてくれないか」
総務部と書かれたプレートの部屋に入ると、デスクで書類の整理をしながらパソコン入力をしていたスーツ姿のポニーテールで小顔の色白の1人の女性に声を掛け朝比奈を紹介した。
「あっ、はい、分かりました。それではあちらの部屋で説明しますのでお願いします」
北村は立ち上がると、係長から朝比奈の履歴書を引き継ぎ、入社に関するチェックリストを手に奥にあるガラス張りとなっている部屋へと案内した。
「朝比奈優作です。よろしくお願いします」
席に着くと改めて頭を下げた。
「総務部の北村文姫です。入社に際して必要な書類等について説明しますので、分からないことがあれば質問してください」
北村はポケットに忍ばせていた名刺入れから自分の名刺を取り出して朝比奈に差し出した。
「あの、早速ですが、文に姫と書いてあきと読むのですか、ひょっとすると・・・・・」
名刺をじっと見ながら尋ねた。
「ご存知ないかもしれませんが、瀬戸市生まれの瀬戸市育ちです」
誤解されないように間髪いれずに答えた。
「えっ、僕も今は名古屋に住んでいますが、高校まで瀬戸に住んでいたのですよ。ただ、残念なことに、通っていた小学校と中学校は併合されて今は無くなってしまいました」
小中学校時代の思い出が蘇ってきた。
「どこの学校ですか」
興味を示して尋ねた。
「小学校は深川で、中学校は本山です」
今度は2つの学校の校舎が懐かしく思い出された。
「私は道泉小学校で、中学校は本山でしたので、1年と3年で重なっていたかもしれませんね」
もう一度朝比奈の履歴書を確認した。
「仕事の上では先輩ですが、学歴では僕が先輩になりますね」
笑顔で返した。
「あの、それでは入社に関して説明させていただきます」
それとこれとは別とばかりに、北村はファイルからチェックリストを出して、朝比奈の目の前に置いた。そのリストには、雇用保険被保険者証・年金手帳・源泉徴収票・扶養控除等申請書・給与振込届出書・健康保険扶養者異動届・健康診断書・身元保証書・退職証明書・住民票記載事項証明書又はマイナンバーカード・免許及び資格取得証明書などが番号を並べて書かれていた。
「扶養している家族はいませんので扶養控除等申請書は必要ないとして、現在は社員としては働いていないので退職証明書も要らないし、問題は免許及び資格取得証明書ですね」
そのリストを見ながら呟くように言った。
「そうですね、自動車運転免許は一応必須項目になっています」
東京のように交通網が発達した大都市では、免許を取得する人も増えてきているとは聞いていたが、名古屋でこの年齢で自動車免許を取得していないのは考えられない。交通違反を重ねて、免許取り消しになっているヤバイ人間ではないのかと、北村は思ってしまって身を引いた。
「あっ、いえ、自動車免許は、普通に中型、大型で、バイク免許は、普通二輪と大型二輪を持っているんですが、毒物劇物取扱責任者、危険物取扱者、調理師、衛生管理者、教員免許、ファイナンシャル・プランナー、漢字検定、eco検定。あっ、最近、名探偵コナン
検定と紅茶検定にも受かりました」
指を折りながら答えた。
「あの、取り敢えず、自動車免許の提出だけで結構です。急ぎませんので、今月中にお願いします」
それだけの資格があれば、普通他の会社で正社員として働けるだろうに、今度は人間的に問題があるのではないかと不安になってきた。
「あの、身元保証書の記載がありますが、これは家族以外でもよろしいでしょうか」
間違っても家族に書いてもらえることはないというのは火を見るより明らかであった。
「家族がいらっしゃらない場合は、親戚やご友人の方でも構わないのですが、朝比奈さんはどちらからの紹介があったのでしょうか」
中途採用であり係長からの直接の支持であることを考えれば、社長からの依頼であることは想像ができ、訳ありの入社であることは間違いなかった。
「はい、『世界幸福の会』から社長に直接紹介していただいたのです。この会社には信者さんが多いようですが、北村さんもそうなんですか」
あっさりと認め、北村の表情の変化を確かめようとした。
「あっ、いえ、会社から勧められたことはありますし、職場の人は結構信者になっているようですが、私は信者ではありません」
朝比奈の言葉を聞いて見る目が変わった。
「あっ、誤解しないでください。確かに、紹介はしてもらったのですが、信者ではありませんよ。でも、北村さんは、テレビなどでも報じているように、ボランティアで選挙の応援などをさせられたことはないのですか」
昭和のフォークソングの歌詞に『鳶色の瞳』という表現があるけれど、そんな澄んだ瞳を持つ北村が如何わしい団体に入っているとは思えなかった。
「会社から、特別に有給扱いにするからと何度か依頼はありましたが、1度も参加したことはありません」
最後の方は力を込めて否定した。
「信者になったりすると昇進や昇給に影響があるのでしょうか」
北村の表情が気になった。
「私からは何ともお答えできません」
その表情から信者が優遇されているのを感じ取れた。
「北村さんは入社されて何年目になりますか」
警戒を解くように話題を変えて尋ねた。
「私は短大を卒業して入社したので・・・・・今年で8年目です」
暫く考えてから答えた。
「7年勤務していても役付はないのですね。今は昔程男尊女卑の社会ではないとしても、やはり信者でないことが影響しているのでしょうか。もし、そうなら僕も考えなければいけないでしょうか」
胸元に下げられていた北村のプレートを見ながら尋ねた。
「いえ、それは私の実力に見合ったもので、入会との関係はないと思います」
強ばった表情で答えた。
「でも、先日亡くなった西村さんはあの若さで係長だったんですよね。ちょっと親交がありまして西村さんは熱心な『世界幸福の会』の信者で自宅には水晶玉や金箔の銅像も飾ってありましたし、よく勧められてパーティーやセミナーに連れて行かれましたよ。ただ、事故を起こしてしまって、7年間の刑務所勤めになってしまいましたので、僕は入会することはなかったのですけどね。確か、西村さんも総務部だったと思いますが、北村さんは面識はあったのですか」
北村の心に呼び掛けた。
「入社して直ぐに私の教育係として仕事を教えていただきましたが、半年程で事故を起こされてしまいましたのでその間だけです」
「7年以上も前ですけど、西村さんのことをどう思いましたか。僕は事故を起こしたとしても、そのままにして逃げたりする人とは思えないのです」
「でも、出頭されて罪も認められ、裁判でも有罪になったのですよね」
朝比奈が何を聞きたいのか、何を疑問視しているのか分からなかった。
「実は何度か刑務所へ会いに行ったことがありまして、その時に裏切られたって話したことがあったのです。その時は何について裏切られたのか分からなかったのですが、あの時彼が運転していた車には他に誰か乗っていたのじゃないかと思っているのです。誰か、その時のことをよく知っている人をご存知ないでしょうか」
「まさか、朝比奈さんはそのことを調べる為にこの会社に入社するつもりなのですか」
朝比奈の問いの理由が何となく分かってきた。
「会社に就職するのは勿論自分の為ですけど、本当にたまたま西本さんが亡くなった話を聞いたものですから気になっちゃいましてね。北村さんにはご迷惑をお掛けしませんので、是非お願いできないでしょうか」
哀願の目で北村を見た。
「あの、申し訳ありませんが、私の判断ではお教えすることはできません」
ガラス越しに見える係長の姿を気にしながら困惑した表情で答えた。
「よく分かります。今日会ったばかりの人間にそんなに簡単に教えられないですよね。それでは、入社書類を揃えなければなりませんので、今日はこれで失礼させていただきます。あっ、それから、係長が明日からとおっしゃっていましたが、申し訳ありませんが明後日からでお願いしたいとお伝えください」
朝比奈はこれ以上北村からは聞き出すのは無理だと感じて、入社書類を手にゆっくり立ち上がり頭を下げて部屋を出ると、朝比奈の言葉と態度に唖然としながら、北村はその姿を見送った。朝比奈は案内してくれた係長に向かってお辞儀をしたが、目を合わすことはなかった。総務部を後にした朝比奈は、エレベーターへと向かい1階のボタンを押し上の階から降りてくるのを待つことになった。そして、扉が開くと見覚えがある顔が現れた。
「えっ、朝比奈さん。ここで何をしているのですか」
相沢は朝比奈の顔を見て流石に驚いた。
「何をって、就職の面接の為に来たんですよ。こんな僕でも何とか採用されました」
エレベーター内に身を移すと、入社書類の入った社名入りの白い封筒を見せた。
「えっ、まさか『エイコー』に就職するつもりなんですか」
大神や川瀬に聞いていた通りの『変人』を再確認した。
「そうですよ。ああっ、芹沢さんは大神に言われて『エイコー』を調べに来られたんですね。僕も少し話を聞きましたので、情報の摺り合わせをしましょうか」
エレベーターが1階に着くと、朝比奈は芹沢を強引にロビーにある喫茶ルームへと連れて行った。
「情報の共有って、朝比奈さんは7年前の事件を調べる為にわざわざ『エイコー』に入社するつもりなんですね」
コーヒーの注文を終えると空かさず芹沢が尋ねた。
「まぁ、そのつもりですけど」
朝比奈は紅茶をオーダーした。
「でも、就職に関しては実務経験の乏しい朝比奈さんが、昨日今日で直ぐに採用されるとは思えませんが、何か忖度でも使ったのですか」
疑いの眼差しで朝比奈を見た。
「確かに、ちょっとは話を盛った部分はありますが、政治家でもあるまいし忖度はしてもらっていませんよ。そんなことより『エイコー』について分かったことを教えてくれませんか」
運ばれて来た紅茶の香りを嗅ぎ(ダージリンか)と残念そうに呟いた。
「まず『エイコー』についてですが、創業は1958年で従業員は親族のみの町工場だったようです。ボルトやネジ、フライパンやペンチなど等の金属製品全般を扱っていたようです。何度か倒産の危機にあったそうですが、バブル期に業績を伸ばしネジの合金や塗装に関して特許を得てからは規模を拡大し、特に7年前からは愛知グループの傘下に入り、急激に成長しました。創業者は後藤一成で2代目が治郎で、現在の社長はその長女の陽子です。前社長のもう1人子供が居るのですが、その長男道也は現在は国会議員です。朝比奈さんが気にしている、7年前の引き逃げ事故に使われた社用車は、記録は残っていないので誰が利用していたのかは分かりませんでした」
ポケットから手帳を取り出して読み上げた。
「業績を伸ばしたのが、事故と同じ7年前というのが少し気になりますね。それと、僕の記憶では、車に乗っていたのは確かに3人だったんですよ。ただ、芹沢刑事も大神から聞いていると思うけれど、その事件を担当した検事が僕の姉であったので、裁判での承認申請をしなかった為に、本当の犯人が裁かれたのかを確かめることはできなかった。まぁ、検事が姉でなくても僕の証言が採用されたとは思えませんし、本人が出頭して自供したのだからとその時は余り気にしなかったからね」
当時の状況を思い出す為に左の顳かみを叩いた。
「失礼ですが、どうしてそんなにはっきりと言い切れるのですか。車には本当に3人乗っていたのですか」
7年前のことをはっきり言い切る朝比奈の言葉を反対に疑っていた。
「話せば長くなりますので割愛させていただきますが、顔までは覚えていませんが車に乗っていたのは3名だったのは間違いありませんよ。どんな理由で西本さんが残りの2人を庇っているのかは分かりませんが、もし同乗していれば本人にも執行猶予が付いた可能性もあるし、他の2人にも刑罰が付いていたかもしれないからね」
頭を傾げて腕を組んだ。
「西村さんが庇うとすれば、会社関係であれば、当然西村さんよりも上の立場の人間ってことになりますよね」
芹沢は少し冷めたコーヒーを口に運んだ。
「それを調べるのが警察のお仕事ですよね。そして、瀬戸市の文化センターでの催しに出席していた人間。それとも西村さんが信者であった『世界幸福の会』の関係者かもしれません。そうか、その線から調べてみるのもいいかもしれませんね」
朝比奈はあることに気が付いて頷いた。
朝比奈法律事務所で、昼食の『吉田家』の牛丼の特盛りを食べ終え両手を合わせ、容器を手にとった朝比奈が姉に向かって声を掛けた。
「ああっ、仕事が済んでるなら構わないけど、まさか事件の捜査なんてことはないわよね」
心配そうに朝比奈を見た。
「残念ながら、僕にはそんな時間はありませんよ」
そう言うと暫くして、背広姿に着替えて戻ってきた。
「えっ、その格好は、もしかして面接にでも行くつもりなの」
暫く見たことがない朝比奈の姿に驚いた。
「残念でした、その『もしかして』ですよ」
気慣れない服装をチェックしながら答えた。
「えっ、アルバイトじゃなくて本当に就職するつもりなの。その『もしかして』でも優作を採用したいっていう企業はどこなんでしょうね」
まぁ、面接を受けようとする熱意は感心できるが、余程人材に困っている中小企業なのか、経歴等を偽造して素の性格を表さない限り、この『変人』を採用する奇特な大企業があるとは思えなかった。
「今は内緒にしておきます。採用されればいいですが、不採用になったら何言われるかわかりませんからね」
そう言うと、履歴書の入ったカバンを手にして出口へと向かった。
「当てにしないで待っているわ」
本当に期待していない麗子を後に、朝比奈は『エイコー』本社に向かった。名古屋市の東部、ジブリバークで有名な長久手市に接する名東区に有る本社ビルは、愛知グループの子会社として傘下に入ることで業績を伸ばし、長久手市より12階建てのガラス張りの自社ビルへと移転したばかりであった。
「あの、すみません。午後2時に社長とお会いする約束をしている朝比奈と申します。お取り次ぎをお願いします」
朝比奈は入口を通過し、3階まで吹き抜けとなっているロビーを1度見上げると、受付まで進み女性に声を掛けた。
「少々お待ちください」
女性は内線電話を手に取り確認を入れた。その間にも、朝比奈は辺りを見渡していた。
「ご連絡が取れましたので、ご案内致します」
女性は立ち上がると、エレベーターの前まで案内し7の数字を押した。そして、2人は言葉を交わすことなく7階まで上り、社長室まで進むとノックをして『どうぞ』の返事をもらうと部屋の中に入った。
「話は伺っています。私は神谷陽子と申します。まぁ、どうぞお掛けください」
ブランド品を身につけた気品のある40代後半と思われる女性が招き入れてくれ、勧めに従って席に着いた。
「社長直々面接なんて感動しすぎて緊張しています。どうぞよろしくお願いします」
女性がお茶を出し終えたタイミングで朝比奈が口火を切り、カバンから封筒に入っていた履歴書を取り出して神谷の前に差し出した。
「素晴らしい人材との紹介ですので、私が直接お会いすることにしました。家族皆さんは東京大学をご卒業なさったのですね」
手渡された履歴書に目を通しながら尋ねた。
「はい、血筋には自信がありますが、ただ私には子供の頃から運が悪いといいますか、その東京大学の受験の時に風邪を引いてしまい、一応試験は受けたのですが実力が発揮できずに合格することができませんでした。自分としては、浪人して再度東京大学への入学を望んだのですが、父はとても厳格な人間でしてニューヨーク州の弁護士試験に挑まれた人とは違い、そんなのは言い訳だと言われてしまい2度目3度目のチャンスは与えられませんでした」
朝比奈は大袈裟に落胆のポーズをとってみせた。
「とかく自分が優秀であると1度の失敗も許せなかったり、親戚や近所の人に対しての見栄というものもあったのかもしれませんね。それで、今はお姉さんの事務所で仕事をされていらっしゃるのですね」
職歴欄に目を移した。
「大学を卒業して1度は製薬会社に就職したのですが、それも父親のコネによるものであった為に、同僚からもそんな目で見られ一生懸命努力しても仕事に励んでも評価されず、やり甲斐もなくし居ずらくなって辞める事になってしまいました。そのことで、父も顔を潰されたと烈火のごとく怒り、監視を兼ねて姉の事務所で働くように命じられたのです。仕事としては、パラリーガルとして姉の補助をしたりして法律のことも勉強しています」
今の朝比奈の言葉を父や姉が知れば、事実無根と本当に雷が落ちるのだろうなと思った。
「分かりました。『世界幸福の会』からの推薦でもありますから、まずは仮採用ということで3ヶ月間の試用期間でお願いします。いつから出勤できますか」
履歴書をテーブルに置いて朝比奈の顔を見た。
「ありがとうございます。明日から、いや少しでも早く家や事務所から解放されたいので、できれば今すぐに働かせてください」
朝比奈は立ち上がって頭を下げ、その素早い反応に神谷は一瞬身を震わせた。
「あなたの家庭環境や熱意はよく分かりました。それでは総務部で必要書類等について説明を受け、まずは事務の仕事から覚えてください」
神谷は立ち上がり内線で総務部へと連絡を取ると、年配の総務部の係長と名乗る男性がやってきた。
「明日から来てもらうことになった朝比奈君よ。一応総務部で預かってもらうつもりだからよろしくお願いしますね。今日は入社に必要な手続きと、簡単に自社の仕事などについて説明をしてあげてね」
朝比奈の履歴書を係長に渡して紹介した。
「はい、かしこまりました」
係長は神谷から朝比奈の履歴書を受け取り頭を下げると、部屋を出てエレベーターで総務部へと向かった。
「北村さん、明日から総務部に来てもらうことになった朝比奈君だ。まずは、入社の手続きから順次教えてあげてくれないか」
総務部と書かれたプレートの部屋に入ると、デスクで書類の整理をしながらパソコン入力をしていたスーツ姿のポニーテールで小顔の色白の1人の女性に声を掛け朝比奈を紹介した。
「あっ、はい、分かりました。それではあちらの部屋で説明しますのでお願いします」
北村は立ち上がると、係長から朝比奈の履歴書を引き継ぎ、入社に関するチェックリストを手に奥にあるガラス張りとなっている部屋へと案内した。
「朝比奈優作です。よろしくお願いします」
席に着くと改めて頭を下げた。
「総務部の北村文姫です。入社に際して必要な書類等について説明しますので、分からないことがあれば質問してください」
北村はポケットに忍ばせていた名刺入れから自分の名刺を取り出して朝比奈に差し出した。
「あの、早速ですが、文に姫と書いてあきと読むのですか、ひょっとすると・・・・・」
名刺をじっと見ながら尋ねた。
「ご存知ないかもしれませんが、瀬戸市生まれの瀬戸市育ちです」
誤解されないように間髪いれずに答えた。
「えっ、僕も今は名古屋に住んでいますが、高校まで瀬戸に住んでいたのですよ。ただ、残念なことに、通っていた小学校と中学校は併合されて今は無くなってしまいました」
小中学校時代の思い出が蘇ってきた。
「どこの学校ですか」
興味を示して尋ねた。
「小学校は深川で、中学校は本山です」
今度は2つの学校の校舎が懐かしく思い出された。
「私は道泉小学校で、中学校は本山でしたので、1年と3年で重なっていたかもしれませんね」
もう一度朝比奈の履歴書を確認した。
「仕事の上では先輩ですが、学歴では僕が先輩になりますね」
笑顔で返した。
「あの、それでは入社に関して説明させていただきます」
それとこれとは別とばかりに、北村はファイルからチェックリストを出して、朝比奈の目の前に置いた。そのリストには、雇用保険被保険者証・年金手帳・源泉徴収票・扶養控除等申請書・給与振込届出書・健康保険扶養者異動届・健康診断書・身元保証書・退職証明書・住民票記載事項証明書又はマイナンバーカード・免許及び資格取得証明書などが番号を並べて書かれていた。
「扶養している家族はいませんので扶養控除等申請書は必要ないとして、現在は社員としては働いていないので退職証明書も要らないし、問題は免許及び資格取得証明書ですね」
そのリストを見ながら呟くように言った。
「そうですね、自動車運転免許は一応必須項目になっています」
東京のように交通網が発達した大都市では、免許を取得する人も増えてきているとは聞いていたが、名古屋でこの年齢で自動車免許を取得していないのは考えられない。交通違反を重ねて、免許取り消しになっているヤバイ人間ではないのかと、北村は思ってしまって身を引いた。
「あっ、いえ、自動車免許は、普通に中型、大型で、バイク免許は、普通二輪と大型二輪を持っているんですが、毒物劇物取扱責任者、危険物取扱者、調理師、衛生管理者、教員免許、ファイナンシャル・プランナー、漢字検定、eco検定。あっ、最近、名探偵コナン
検定と紅茶検定にも受かりました」
指を折りながら答えた。
「あの、取り敢えず、自動車免許の提出だけで結構です。急ぎませんので、今月中にお願いします」
それだけの資格があれば、普通他の会社で正社員として働けるだろうに、今度は人間的に問題があるのではないかと不安になってきた。
「あの、身元保証書の記載がありますが、これは家族以外でもよろしいでしょうか」
間違っても家族に書いてもらえることはないというのは火を見るより明らかであった。
「家族がいらっしゃらない場合は、親戚やご友人の方でも構わないのですが、朝比奈さんはどちらからの紹介があったのでしょうか」
中途採用であり係長からの直接の支持であることを考えれば、社長からの依頼であることは想像ができ、訳ありの入社であることは間違いなかった。
「はい、『世界幸福の会』から社長に直接紹介していただいたのです。この会社には信者さんが多いようですが、北村さんもそうなんですか」
あっさりと認め、北村の表情の変化を確かめようとした。
「あっ、いえ、会社から勧められたことはありますし、職場の人は結構信者になっているようですが、私は信者ではありません」
朝比奈の言葉を聞いて見る目が変わった。
「あっ、誤解しないでください。確かに、紹介はしてもらったのですが、信者ではありませんよ。でも、北村さんは、テレビなどでも報じているように、ボランティアで選挙の応援などをさせられたことはないのですか」
昭和のフォークソングの歌詞に『鳶色の瞳』という表現があるけれど、そんな澄んだ瞳を持つ北村が如何わしい団体に入っているとは思えなかった。
「会社から、特別に有給扱いにするからと何度か依頼はありましたが、1度も参加したことはありません」
最後の方は力を込めて否定した。
「信者になったりすると昇進や昇給に影響があるのでしょうか」
北村の表情が気になった。
「私からは何ともお答えできません」
その表情から信者が優遇されているのを感じ取れた。
「北村さんは入社されて何年目になりますか」
警戒を解くように話題を変えて尋ねた。
「私は短大を卒業して入社したので・・・・・今年で8年目です」
暫く考えてから答えた。
「7年勤務していても役付はないのですね。今は昔程男尊女卑の社会ではないとしても、やはり信者でないことが影響しているのでしょうか。もし、そうなら僕も考えなければいけないでしょうか」
胸元に下げられていた北村のプレートを見ながら尋ねた。
「いえ、それは私の実力に見合ったもので、入会との関係はないと思います」
強ばった表情で答えた。
「でも、先日亡くなった西村さんはあの若さで係長だったんですよね。ちょっと親交がありまして西村さんは熱心な『世界幸福の会』の信者で自宅には水晶玉や金箔の銅像も飾ってありましたし、よく勧められてパーティーやセミナーに連れて行かれましたよ。ただ、事故を起こしてしまって、7年間の刑務所勤めになってしまいましたので、僕は入会することはなかったのですけどね。確か、西村さんも総務部だったと思いますが、北村さんは面識はあったのですか」
北村の心に呼び掛けた。
「入社して直ぐに私の教育係として仕事を教えていただきましたが、半年程で事故を起こされてしまいましたのでその間だけです」
「7年以上も前ですけど、西村さんのことをどう思いましたか。僕は事故を起こしたとしても、そのままにして逃げたりする人とは思えないのです」
「でも、出頭されて罪も認められ、裁判でも有罪になったのですよね」
朝比奈が何を聞きたいのか、何を疑問視しているのか分からなかった。
「実は何度か刑務所へ会いに行ったことがありまして、その時に裏切られたって話したことがあったのです。その時は何について裏切られたのか分からなかったのですが、あの時彼が運転していた車には他に誰か乗っていたのじゃないかと思っているのです。誰か、その時のことをよく知っている人をご存知ないでしょうか」
「まさか、朝比奈さんはそのことを調べる為にこの会社に入社するつもりなのですか」
朝比奈の問いの理由が何となく分かってきた。
「会社に就職するのは勿論自分の為ですけど、本当にたまたま西本さんが亡くなった話を聞いたものですから気になっちゃいましてね。北村さんにはご迷惑をお掛けしませんので、是非お願いできないでしょうか」
哀願の目で北村を見た。
「あの、申し訳ありませんが、私の判断ではお教えすることはできません」
ガラス越しに見える係長の姿を気にしながら困惑した表情で答えた。
「よく分かります。今日会ったばかりの人間にそんなに簡単に教えられないですよね。それでは、入社書類を揃えなければなりませんので、今日はこれで失礼させていただきます。あっ、それから、係長が明日からとおっしゃっていましたが、申し訳ありませんが明後日からでお願いしたいとお伝えください」
朝比奈はこれ以上北村からは聞き出すのは無理だと感じて、入社書類を手にゆっくり立ち上がり頭を下げて部屋を出ると、朝比奈の言葉と態度に唖然としながら、北村はその姿を見送った。朝比奈は案内してくれた係長に向かってお辞儀をしたが、目を合わすことはなかった。総務部を後にした朝比奈は、エレベーターへと向かい1階のボタンを押し上の階から降りてくるのを待つことになった。そして、扉が開くと見覚えがある顔が現れた。
「えっ、朝比奈さん。ここで何をしているのですか」
相沢は朝比奈の顔を見て流石に驚いた。
「何をって、就職の面接の為に来たんですよ。こんな僕でも何とか採用されました」
エレベーター内に身を移すと、入社書類の入った社名入りの白い封筒を見せた。
「えっ、まさか『エイコー』に就職するつもりなんですか」
大神や川瀬に聞いていた通りの『変人』を再確認した。
「そうですよ。ああっ、芹沢さんは大神に言われて『エイコー』を調べに来られたんですね。僕も少し話を聞きましたので、情報の摺り合わせをしましょうか」
エレベーターが1階に着くと、朝比奈は芹沢を強引にロビーにある喫茶ルームへと連れて行った。
「情報の共有って、朝比奈さんは7年前の事件を調べる為にわざわざ『エイコー』に入社するつもりなんですね」
コーヒーの注文を終えると空かさず芹沢が尋ねた。
「まぁ、そのつもりですけど」
朝比奈は紅茶をオーダーした。
「でも、就職に関しては実務経験の乏しい朝比奈さんが、昨日今日で直ぐに採用されるとは思えませんが、何か忖度でも使ったのですか」
疑いの眼差しで朝比奈を見た。
「確かに、ちょっとは話を盛った部分はありますが、政治家でもあるまいし忖度はしてもらっていませんよ。そんなことより『エイコー』について分かったことを教えてくれませんか」
運ばれて来た紅茶の香りを嗅ぎ(ダージリンか)と残念そうに呟いた。
「まず『エイコー』についてですが、創業は1958年で従業員は親族のみの町工場だったようです。ボルトやネジ、フライパンやペンチなど等の金属製品全般を扱っていたようです。何度か倒産の危機にあったそうですが、バブル期に業績を伸ばしネジの合金や塗装に関して特許を得てからは規模を拡大し、特に7年前からは愛知グループの傘下に入り、急激に成長しました。創業者は後藤一成で2代目が治郎で、現在の社長はその長女の陽子です。前社長のもう1人子供が居るのですが、その長男道也は現在は国会議員です。朝比奈さんが気にしている、7年前の引き逃げ事故に使われた社用車は、記録は残っていないので誰が利用していたのかは分かりませんでした」
ポケットから手帳を取り出して読み上げた。
「業績を伸ばしたのが、事故と同じ7年前というのが少し気になりますね。それと、僕の記憶では、車に乗っていたのは確かに3人だったんですよ。ただ、芹沢刑事も大神から聞いていると思うけれど、その事件を担当した検事が僕の姉であったので、裁判での承認申請をしなかった為に、本当の犯人が裁かれたのかを確かめることはできなかった。まぁ、検事が姉でなくても僕の証言が採用されたとは思えませんし、本人が出頭して自供したのだからとその時は余り気にしなかったからね」
当時の状況を思い出す為に左の顳かみを叩いた。
「失礼ですが、どうしてそんなにはっきりと言い切れるのですか。車には本当に3人乗っていたのですか」
7年前のことをはっきり言い切る朝比奈の言葉を反対に疑っていた。
「話せば長くなりますので割愛させていただきますが、顔までは覚えていませんが車に乗っていたのは3名だったのは間違いありませんよ。どんな理由で西本さんが残りの2人を庇っているのかは分かりませんが、もし同乗していれば本人にも執行猶予が付いた可能性もあるし、他の2人にも刑罰が付いていたかもしれないからね」
頭を傾げて腕を組んだ。
「西村さんが庇うとすれば、会社関係であれば、当然西村さんよりも上の立場の人間ってことになりますよね」
芹沢は少し冷めたコーヒーを口に運んだ。
「それを調べるのが警察のお仕事ですよね。そして、瀬戸市の文化センターでの催しに出席していた人間。それとも西村さんが信者であった『世界幸福の会』の関係者かもしれません。そうか、その線から調べてみるのもいいかもしれませんね」
朝比奈はあることに気が付いて頷いた。
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