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六章
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おい、朝比奈、何で昭和製薬の社長に会わなきゃないんだよ」
大神は車のハンドルを握りながら、助手席に座る朝比奈に声を掛けた。
「だって俺、新宮司社長と面識無いから、簡単には会ってはもらえないだろ。それに比べて、お前は昭和製薬の後継者にもと思われていた人間だったんだから、電話1本でコンタクトが取れるだろ」
朝比奈は、昭和製薬の社長がどんな人物なのか楽しみで仕方なかった。
「でも、どうして突然会いたいなんて言い出したんだ」
いつものこととは言え、今回は意図が全く分からなかった。
「お前のカミさんとデートしている時に、救急車で女性が病院に運ばれてきたんだ。ちょっと気になって、後で聞いてみたら昭和製薬の秘書だったからね」
横を向いて景色を楽しんでいた。
「たったそれだけのことで、忙しい俺を呼び出したんだな。この貸しは大きいぞ」
「事件かもしれないんだぞ、人生何事も当たるも八卦い当たらぬも八卦。どんなに小さなことにも気を留めて置かないと、世の中から事件はなくならないと思うけど、反対に借りを作らなければいいけどね」
「本当に変わらないな」
「お前は変わったのか」
「もういい」
それ以降、新宮司社長に会うまでは互いに言葉を発することはなかった。
「こんにちは、無事社長に復帰されたのですね。おめでとうございます」
女性に案内された社長室で、大神が新宮司に声を掛けた。
「ああっ、崇。久しぶりだな。あっ、君は・・・・・・・」
大神の顔を見て表情を崩したが、後ろから現れた朝比奈に気付いた。
「朝比奈優作です。一応、大神の悪友です」
頭を下げると早速花束の方へ向かった。
「ああっ、それなら、崇から聞いたことがある。確か、お姉さんが地検の検事さんでしたよね」
2人に席を勧めた。
「いえ、現在は地検を辞めて、小さな弁護士事務所を開いています」
沢山並べられた花束を一つ一つ確認し始めた。
「そうですか、弁護士として頑張っていらっしゃるんですね」
「社長も、多くの方に慕われていらっしゃるんですね」
「まぁ、一応、社長をやっているから、送ってくれた奴もいるんだろうけどね。崇、今日は何の用なんだ。社長復帰を祝う為、ましてやただたんに儂の顔を見に来たって訳じゃないよな」
大神の顔を見た。
「昨日、この会社の女性秘書が、東名医科大学付属病院に、突然救急車で搬送されました。
その理由をお聞きになっていますか」
1つの花束に立ち止まって尋ねた。
「いや、なぜか全身の痛みを訴えての救急搬送だったようですが、心配して病院にも尋ねてもらったが、まだ病状は解っていないようだけど、それがどうしたのかな」
大神の友達とはいえ、口の利き方が気に食わなかった。
「その前に、この豪華な花束は厚生労働大臣からのようですが、親しくされていらっしゃるのですか、確か愛知県の出身ではないですよね」
「何度かお会いしたことはあるが、親しい関係までには至っていないな」
「メッセージなんかは、付いていませんでしたか」
「ああっ、社長への復帰を祝うとの文面だったと思う」
「その厚生労働大臣への連絡先をご存知ですか」
「連絡先は伺っていないな」
「そんな関係で、どうして社長が復帰されることを知っていたのでしょう」
「それは色々横の繋がりがあるから、それにこれでも昭和製薬の社長だからな」
「そっ、そうだぞ、ちょっと朝比奈さっきから失礼だろ」
大神が間に入った。
「何のこと。別に失礼なことを言った覚えはないけど」
「それが失礼だということ。初対面の人、それも昭和製薬の社長に対する言葉じゃないってことだ」
呆れ顔で答えた。
「別にこの会社の社員じゃない、社長の肩書きを外せばただのおじさん。知識・教養・人格者であれば、尊敬もしますがどうなんでしょうね」
「崇の友人だから我慢もしていたが、話すこともないもう帰ってもらおうか」
新宮司は、流石に堪忍袋の緒が切れて強い口調で言い放った。
「先程言われましたが、その秘書の女性はここで倒れられたのですよね。それも全身の痛みを訴えられて。恐らくその女性が、こちらの花束を運んでこられたのでしょう」
右手で花束を示して尋ねた。
「そっ、そうだが」
意味が分からず戸惑った。
「この花束に紛れ込んでる葉は、多分猛毒植物『ギンピ・ギンピ』の葉だと思います。自生地は、オーストラリアの北東部の熱帯雨林。見た目はこんなふうに、シソの葉をでっかくしたような形をしていますが、近づいてよく見るとグラスファイバーのような細かいトゲが表面を覆っています。その葉の刺毛に触れててしまったら最後、数日感は激痛が全身を襲い、眠れない程の痛みが2年もの間止まらないこともあります。逸話ではありますが、ある保安官はその痛みに耐えきれず、銃で自殺してしまったと言われていて、自殺草とも呼ばれているくらいです。大きな製薬会社の社長ならそれくらいのことは知っていて、運ばれた病院に指示できて、秘書の方も苦しまなくても済んだかもしれませんよ、社長さん」
ドヤ顔で新宮司を見た。
「朝比奈、その対処法を知っているのか」
大神が慌てて尋ねた。
「先ずは、脱毛ワックスを使ったトゲの除去。それか、粘着テープとピンセットを併用してトゲを抜くのが望ましいのですが、大切なのはスピードよりは丁寧さ。細かいトゲを壊さないように、最善の注意を注がなければならず、破片が体内に残った場合は、激痛の悪化と長期化を招くことになります。」
「わっ、分かった、東名医科大学付属なんだな」
大神はスマホを取り出して優子に連絡を取った。
「どうして君はそんなことまで知っているんだね」
新宮司は驚いて朝比奈を見た。
「ああ、昔製薬会社に勤めていましたから、それくらいは覚えていますよ。もし、新宮司社長がその葉に触れていたらどうなっていたのでしょうね」
「まっ、まさか私を狙ったってことなのか」
驚いて声のトーンが高くなった。
「社長が狙われたのかどうかは現時点では分かりませんが、その可能性は十分にあると思います。その場合、社長が一線を退いて一番得をする人物を考えるべきでしょうね。会社もそうですが、社長にもしものことがあった場合の財産分与に関してはどうでしょう」
「何でそんなことを君に心配してもらわなきゃいけないんだね」
どういう事なんだと言わんばかりに大神を睨んだ。
「遺産の金額が、100万とか200万なんかじゃなく桁違いですから、そりゃ気になりますよ。それに、突然現れた2人のお孫さんは、2人とも知らない人ではないですからね。」
大神の顔を見て微笑んだ。
「まぁ、血の繋がりは確認できたから、それ相応の財産分与は考えている。君に話すのは、それくらいでいいだろう。もう帰ってくれないか」
流石に朝比奈の無礼な態度に我慢できなくなっていた。
「それでは失礼します。さぁ、行こうか」
大神に催促して出口へと向かった。
「おいおい、紹介した俺の立場も考えろよ」
朝比奈の後を追い、頭を下げて部屋を出たところで声を掛けた。
「立場ね・・・・・あっ、それで、優子さんの方はどうだった」
「気づかなかったようで、早速処置してみるって言ったけど」
それに関しては驚いていた。
「今は解らないが、恐らく解毒剤などはまだ見つかっていないはず。暫くは、鎮痛剤でしか対処する方法はないだろうな。それでも、原因がわかっただけでも、ここに来た価値があった訳だ。ああ、それと、あの花束の送り主を、一応調べてみておいた方が良いかも。『ギンピ・ギンピ』を使うくらい用意周到だから、見つからないと思うけどね」
「ちょっと待てよ。お前は、本当に新宮司社長が狙われたと考えているのか。俺の知る限り、亡くなって得する人間はいないと思うけどな」
朝比奈の前を遮って大神が尋ねた。
「会社のことは分からないが、遺産のことを考えれば2人だよな。まぁ、優子さんでなければ、残りは川瀬刑事かな」
「お前、本気で言ってるのか」
「まさか、いずれは入ってくるんだから、敢えて今殺害することはないだろうからな」
本気になった大神のかおを見て微笑んだ。
「じゃあ、どうして、一体何が起こっているんだ」
妻の優子にも関係してくることで驚いていた。
「ヒントは見つかってるよ。さっき俺が遺産のことを聞いた時に、新宮司社長は優子さんと川瀬刑事にそれ相応の遺産を用意するって言ったよな」
「ああっ、確かにそう言ってたな」
先程の2人の会話を思い出していた。
「ちょっと引っ掛かって考えてみたんだけど、新宮司社長の周りで最近何か変化があったんじゃないのかな。跡取りを考えて何とか2人の孫を探し出したんだよな。と言うことは、この2人しか血縁者はいないということだろ。となれば、法定相続人は2人だけ財産を2等分することになる」
「そうだな、遺言状で会社や他の施設などに寄贈するにしても、3分の1程度だからな」
「それ相応と言うことは、当然相続権利のある、3分の1以下ってことだと思える。2人よりも相続権が上の人物が現れた。例えば、養子を迎えるとかね。優子さんや、川瀬刑事に見きりをつけて、会社を相続できそうな人物が現れたかもな」
朝比奈は面白くなってきたと早足で玄関へと向かった。
大神は車のハンドルを握りながら、助手席に座る朝比奈に声を掛けた。
「だって俺、新宮司社長と面識無いから、簡単には会ってはもらえないだろ。それに比べて、お前は昭和製薬の後継者にもと思われていた人間だったんだから、電話1本でコンタクトが取れるだろ」
朝比奈は、昭和製薬の社長がどんな人物なのか楽しみで仕方なかった。
「でも、どうして突然会いたいなんて言い出したんだ」
いつものこととは言え、今回は意図が全く分からなかった。
「お前のカミさんとデートしている時に、救急車で女性が病院に運ばれてきたんだ。ちょっと気になって、後で聞いてみたら昭和製薬の秘書だったからね」
横を向いて景色を楽しんでいた。
「たったそれだけのことで、忙しい俺を呼び出したんだな。この貸しは大きいぞ」
「事件かもしれないんだぞ、人生何事も当たるも八卦い当たらぬも八卦。どんなに小さなことにも気を留めて置かないと、世の中から事件はなくならないと思うけど、反対に借りを作らなければいいけどね」
「本当に変わらないな」
「お前は変わったのか」
「もういい」
それ以降、新宮司社長に会うまでは互いに言葉を発することはなかった。
「こんにちは、無事社長に復帰されたのですね。おめでとうございます」
女性に案内された社長室で、大神が新宮司に声を掛けた。
「ああっ、崇。久しぶりだな。あっ、君は・・・・・・・」
大神の顔を見て表情を崩したが、後ろから現れた朝比奈に気付いた。
「朝比奈優作です。一応、大神の悪友です」
頭を下げると早速花束の方へ向かった。
「ああっ、それなら、崇から聞いたことがある。確か、お姉さんが地検の検事さんでしたよね」
2人に席を勧めた。
「いえ、現在は地検を辞めて、小さな弁護士事務所を開いています」
沢山並べられた花束を一つ一つ確認し始めた。
「そうですか、弁護士として頑張っていらっしゃるんですね」
「社長も、多くの方に慕われていらっしゃるんですね」
「まぁ、一応、社長をやっているから、送ってくれた奴もいるんだろうけどね。崇、今日は何の用なんだ。社長復帰を祝う為、ましてやただたんに儂の顔を見に来たって訳じゃないよな」
大神の顔を見た。
「昨日、この会社の女性秘書が、東名医科大学付属病院に、突然救急車で搬送されました。
その理由をお聞きになっていますか」
1つの花束に立ち止まって尋ねた。
「いや、なぜか全身の痛みを訴えての救急搬送だったようですが、心配して病院にも尋ねてもらったが、まだ病状は解っていないようだけど、それがどうしたのかな」
大神の友達とはいえ、口の利き方が気に食わなかった。
「その前に、この豪華な花束は厚生労働大臣からのようですが、親しくされていらっしゃるのですか、確か愛知県の出身ではないですよね」
「何度かお会いしたことはあるが、親しい関係までには至っていないな」
「メッセージなんかは、付いていませんでしたか」
「ああっ、社長への復帰を祝うとの文面だったと思う」
「その厚生労働大臣への連絡先をご存知ですか」
「連絡先は伺っていないな」
「そんな関係で、どうして社長が復帰されることを知っていたのでしょう」
「それは色々横の繋がりがあるから、それにこれでも昭和製薬の社長だからな」
「そっ、そうだぞ、ちょっと朝比奈さっきから失礼だろ」
大神が間に入った。
「何のこと。別に失礼なことを言った覚えはないけど」
「それが失礼だということ。初対面の人、それも昭和製薬の社長に対する言葉じゃないってことだ」
呆れ顔で答えた。
「別にこの会社の社員じゃない、社長の肩書きを外せばただのおじさん。知識・教養・人格者であれば、尊敬もしますがどうなんでしょうね」
「崇の友人だから我慢もしていたが、話すこともないもう帰ってもらおうか」
新宮司は、流石に堪忍袋の緒が切れて強い口調で言い放った。
「先程言われましたが、その秘書の女性はここで倒れられたのですよね。それも全身の痛みを訴えられて。恐らくその女性が、こちらの花束を運んでこられたのでしょう」
右手で花束を示して尋ねた。
「そっ、そうだが」
意味が分からず戸惑った。
「この花束に紛れ込んでる葉は、多分猛毒植物『ギンピ・ギンピ』の葉だと思います。自生地は、オーストラリアの北東部の熱帯雨林。見た目はこんなふうに、シソの葉をでっかくしたような形をしていますが、近づいてよく見るとグラスファイバーのような細かいトゲが表面を覆っています。その葉の刺毛に触れててしまったら最後、数日感は激痛が全身を襲い、眠れない程の痛みが2年もの間止まらないこともあります。逸話ではありますが、ある保安官はその痛みに耐えきれず、銃で自殺してしまったと言われていて、自殺草とも呼ばれているくらいです。大きな製薬会社の社長ならそれくらいのことは知っていて、運ばれた病院に指示できて、秘書の方も苦しまなくても済んだかもしれませんよ、社長さん」
ドヤ顔で新宮司を見た。
「朝比奈、その対処法を知っているのか」
大神が慌てて尋ねた。
「先ずは、脱毛ワックスを使ったトゲの除去。それか、粘着テープとピンセットを併用してトゲを抜くのが望ましいのですが、大切なのはスピードよりは丁寧さ。細かいトゲを壊さないように、最善の注意を注がなければならず、破片が体内に残った場合は、激痛の悪化と長期化を招くことになります。」
「わっ、分かった、東名医科大学付属なんだな」
大神はスマホを取り出して優子に連絡を取った。
「どうして君はそんなことまで知っているんだね」
新宮司は驚いて朝比奈を見た。
「ああ、昔製薬会社に勤めていましたから、それくらいは覚えていますよ。もし、新宮司社長がその葉に触れていたらどうなっていたのでしょうね」
「まっ、まさか私を狙ったってことなのか」
驚いて声のトーンが高くなった。
「社長が狙われたのかどうかは現時点では分かりませんが、その可能性は十分にあると思います。その場合、社長が一線を退いて一番得をする人物を考えるべきでしょうね。会社もそうですが、社長にもしものことがあった場合の財産分与に関してはどうでしょう」
「何でそんなことを君に心配してもらわなきゃいけないんだね」
どういう事なんだと言わんばかりに大神を睨んだ。
「遺産の金額が、100万とか200万なんかじゃなく桁違いですから、そりゃ気になりますよ。それに、突然現れた2人のお孫さんは、2人とも知らない人ではないですからね。」
大神の顔を見て微笑んだ。
「まぁ、血の繋がりは確認できたから、それ相応の財産分与は考えている。君に話すのは、それくらいでいいだろう。もう帰ってくれないか」
流石に朝比奈の無礼な態度に我慢できなくなっていた。
「それでは失礼します。さぁ、行こうか」
大神に催促して出口へと向かった。
「おいおい、紹介した俺の立場も考えろよ」
朝比奈の後を追い、頭を下げて部屋を出たところで声を掛けた。
「立場ね・・・・・あっ、それで、優子さんの方はどうだった」
「気づかなかったようで、早速処置してみるって言ったけど」
それに関しては驚いていた。
「今は解らないが、恐らく解毒剤などはまだ見つかっていないはず。暫くは、鎮痛剤でしか対処する方法はないだろうな。それでも、原因がわかっただけでも、ここに来た価値があった訳だ。ああ、それと、あの花束の送り主を、一応調べてみておいた方が良いかも。『ギンピ・ギンピ』を使うくらい用意周到だから、見つからないと思うけどね」
「ちょっと待てよ。お前は、本当に新宮司社長が狙われたと考えているのか。俺の知る限り、亡くなって得する人間はいないと思うけどな」
朝比奈の前を遮って大神が尋ねた。
「会社のことは分からないが、遺産のことを考えれば2人だよな。まぁ、優子さんでなければ、残りは川瀬刑事かな」
「お前、本気で言ってるのか」
「まさか、いずれは入ってくるんだから、敢えて今殺害することはないだろうからな」
本気になった大神のかおを見て微笑んだ。
「じゃあ、どうして、一体何が起こっているんだ」
妻の優子にも関係してくることで驚いていた。
「ヒントは見つかってるよ。さっき俺が遺産のことを聞いた時に、新宮司社長は優子さんと川瀬刑事にそれ相応の遺産を用意するって言ったよな」
「ああっ、確かにそう言ってたな」
先程の2人の会話を思い出していた。
「ちょっと引っ掛かって考えてみたんだけど、新宮司社長の周りで最近何か変化があったんじゃないのかな。跡取りを考えて何とか2人の孫を探し出したんだよな。と言うことは、この2人しか血縁者はいないということだろ。となれば、法定相続人は2人だけ財産を2等分することになる」
「そうだな、遺言状で会社や他の施設などに寄贈するにしても、3分の1程度だからな」
「それ相応と言うことは、当然相続権利のある、3分の1以下ってことだと思える。2人よりも相続権が上の人物が現れた。例えば、養子を迎えるとかね。優子さんや、川瀬刑事に見きりをつけて、会社を相続できそうな人物が現れたかもな」
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