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第一部
43 第一部【完】R18
しおりを挟む「あははははっ! 蓮司、あんただけなんか……どうした? はははっ!」
久しぶりにバカ笑いしてしまった。
会場に到着すると、虎谷組の完全なアウェー空間で鼻たれんじが一人待っていたが、昔同じ道場にいた仲間もいるため、久しぶりの再会を果たして、なんだかんだ楽しそうにしている。
しかし、私のバカ笑いの理由は一応イケメン要員の蓮司のコスプレが、一人だけ残念な事になっていたからだ。
「うるせぇな! ウォーリーだよ! 今は試着だ試着! 今日のパーティー中のゲームで俺を探せたら金一封なんだと!! 本当にいい性格してるぜ柚一郎さん! ガキの頃から全く変わらねぇっ」
ムスッとするウォーリー蓮司は、なかなかに萌えるが、それ以上に面白すぎる。
「ひぃ! お腹痛いっ! 試着ね、ならゲーム中以外はなんのコスプレするの?」
「……そ、それは……」
急に言いにくそうにする蓮司だったが、桃一郎が後ろから突然現れ、代わりに答えてしまった。
「鼻たれんじのコスは、鬼畜看守だよ牡丹ちゃん♡」
「ぶは! 鬼畜看守がウォーリーになって追われる身になるの?! ははは! お腹痛いっ頑張ってね蓮司! 体力温存しときな! ひゃはははは!」
と、蓮司をからかっていると、ファントムマスクをつけた一八さんが私の腰を抱き寄せた。
「ほら、牡丹も着替えないとだ。行こうか」
──え、そうか、そうだよね……何にしようかなぁ……。
「……っちょ、一八さんっ……んっ──ぁっ……やっ駄目っ……」
「……駄目じゃない……牡丹……っ」
何故か私の着替え用に用意された控え室で、突然盛りだした一八さんに襲われています。
「ドレス汚れちゃっ……んぁっ! ……」
私に用意されていたのは、もちろん、オペラ座の怪人のヒロインのような真っ赤な中世風のお胸ボンッのドレスだった。
「……んっ」
キスから始まり胸元がさらけ出され、散々愛撫された後、一八さんは後ろから私のドレスのスカートをまくり上げ、下着だけを脱がしてしまった……私のショーツはそのまま膝付近に引っかかっている。
彼の指先が私の秘部をなぞる頃には、期待からすでに蜜を纏い、彼の指が中へ出入りし私の弱い所を容赦なく擦り上げていく。
「……っふ……っぁん……っ!」
「牡丹……挿れるよ」
性急ではあるが、しっかりと潤い解れた私は後ろからくる彼をすんなり受け入れてしまった。
「──っ」
「ぁっ……!」
立ちバックはあまりしたことが無かったが、凄く奥にくる。
獣のように激しく腰を打ち付けてられ、立っている事が困難になり、思わず下半身にチカラが入り意図せず中を締め上げてしまう。
「──っ牡丹! 待て、まだ」
「駄目……もう立ってられ……っんぁあっ!」
一八さんは一度己を抜き、ソファーに腰掛け私を向かい合うように自分の上に跨がらせてそのまま挿入し直した。
「ぁっ! ……んん……っやっこれ気持ちぃ……っ!」
向かい合った状態でお尻を掴まれ、擦るように前後されると、クリまで一緒に触れてしまうせいか、私はその同時の刺激に耐えられない。
「やっ……ぁっイクっ……っんんっ!!」
「っ! ……」
私がイクと、もちろん彼も果ててしまう。
ギュッと私を抱きしめる一八さんを、弱々しくも抱きしめ返す。
「やっと今日がきた……今日から俺だけの牡丹だ」
「はい、一八さんだけの牡丹です」
私が会社を退職する日を彼がどれだけ待っていたかは、毎日の様子から伝わってきていたので、言葉の意味は痛いほどわかっている。
「……もう一回い──」
「駄目です! 着替え、メイク、ヘアセット! 時間がありません!」
「……はい、すみません」
「おい、随分と時間がかかったな!」
「「……」」
「盛ってんじゃねぇぞ怪人」
「……」
柚一郎に叱られる一八さんは可愛かった。
パーティー会場に入ると、虎谷組の見知った顔やモデルやアイドルなどの姿があったが、皆コスプレやハーフフェイスのマスクをしているため、ハッキリと人物を特定出来ないようになっている。
まぁ、極道が開催するパーティーである以上は仕方ないだろう。
ハロウィンで良かった。
もちろん、私もハーフフェイスのマスクをつけているため、主役とか全く関係なしだ。
私は久しぶりに非日常を心から楽しむ事にした。
しかし、事件は突然おきた。
「怪人、私の恋人を返してもらおう」
「……ら、ラウル先生?!」
そ、そういえばオペラ座の怪人のヒロインの恋人の名前って……
……ラウルだったな。
「お、余興が始まったか?」
会場ではそんな声があがっているため、皆余興だと思っているようだ。
ラウル先生の真意はわからないが、今彼が一八さんにレプリカの剣を向けている状況であることは間違いない。
「……招かれざる客が入り込んだようだ」
普通の意味で言ったのだろうが、何故かセリフに聞こえてしまうのは、クオリティーの高い衣装と彼が似合いすぎているせいだろう。
「牡丹、もう一度チャンスをやる、俺と結婚しよう!」
「……チャンス?」
意味がわからない。
「ラウル先生……私は自分の意思でこの人を愛し、この身を捧げたのです、それを言うためにいらっしゃったのなら、お引き取りください」
こうなったら、余興に徹するしかない。恥は捨てて役になりきろう!
幸い、キャストはみんなイケメンだ。
「その男より、俺の方が牡丹を幸せにできるっ! 君が望むなら、独立したっていい! 大好きな仕事も続けさせてやれる!」
その自信、どこから湧いてくるの……怖い。
「……」
「ラウル、と言ったな……お前と牡丹とでは幸せにはなれない。私だから、牡丹は全てを失う事なく幸せになれるんだ」
「何を言ってる! お前はすでに牡丹から仕事を奪っただろ!」
「……いや、仕事は私が自分で辞めたんですけどね……?」
……って、誰も聞いちゃいない。
何故か会場は、演劇を観るかのように静かだ。
「牡丹、こっちに来るんだ」
「お引き取りください。私は彼を愛しているんです」
「それは君の本心ではないはずだ! その男に何か弱みでも握られて、脅されているんだろ?」
……ラウル先生、ガチなの? 演劇なの? わかりづらっ。
「──っ!! ……ん……んん……!」
突然、怪人は私にくちづけた。
先ほどの身体の火照りが完全に消えないうちに、こんなに深いキスをされたら、立っていられない。
カクンッと膝が落ちる直前に、一八さんに腰を抱き上げられ、頭の後ろをそっと支えられその胸に顔を隠される。
「君の恋人は……脅されている相手にキスされて、こんなになるのか? 顔は見せてやらないがな」
私は一八さんにしがみつくように顔を隠す。
「っ! 牡丹……」
なんて事だ! みんなが見てるのに! 絶対に余興で終わらせなければ!
「彼女は私の物だ、二度と誰にも触れさせないし渡さない……諦めて違う女にしろ、女は大好きだろ?」
「俺は牡丹しか好きじゃない! ずっと! ずっと彼女だけが好きだった! それなのにっ……俺との結婚をはぐらかす彼女の気持ちを確かめたくて……わざと女性達と食事に行っていただけだ!」
え、あ、やっぱりそうだったんだ……。
でも、行き過ぎじゃなかった? 一人や二人じゃなかったですけど。
「……それが愚かだと言っているんだ。己が相手に何かを望むなら、まずは同じ事を示す事が重要なのは至極当然の事。ましてや、君のような容姿に恵まれた男なら尚更だ」
「……っ?」
理解できていない様子のラウル先生に、一八さんはため息をもらし、続けた。
「つまり、彼女の気持ちを試すような君のやり方は間違いだった……君はあの時、結婚したいと思ってもらえるように彼女の信頼を得るべきだった。悩みを打ちあけるに値しない男と結婚出来るわけがないだろう」
一八さんはラウル先生を優しく諭した。
私の未来の旦那様、最高すぎる。
「そ、そうなのか? 牡丹」
私は無言で頷いた。
「……」
「わかっただろう、彼女は私の物だ──諦めろ。代わりにいい女を紹介してやる。新しい恋をしろ」
と、ここで兄柚一郎の仕業に違いない美女達が、ラウル先生に群がってきた。
まるで、本当に余興のようだ。
会場からは拍手と怪人コールが起きて、一八さんは恥ずかしそうに私を連れて会場を出た。
そして、次の余興として“ウォーリーを探せ”が始まり、人々の注目は金一封に注がれ、蓮司が邸宅中を逃げ回り始める事となる。
……こうして、私とラウル先生のすったもんだは無事に私の退職とともに終わりをむかえた。
── 第一部 完結 ──
── 第二部 秘書牡丹と龍虎の話に続く
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強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
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※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白い!
設定もストーリー展開も(R18も)サイコーです!
第二部も楽しみにしてます♪
アル 様、感想を頂きありがとうございます!この話がアル様のお好みに合ったようで大変嬉しく思います(^^)第二部も頑張りたいですっ୧( ˵ ° ~ ° ˵ )୨引き続きよろしくお願いしますします(^^)
面白くて何度も読み直しました。第2部を楽しみに待ってます。 ( `・∀・´)ノヨロシク
wakupen 様、感想を頂きありがとうございます!読み返して頂けたとは、大変嬉しく思いますっ!誤字脱字の修正しながら第二部も頑張ります୧( ˵ ° ~ ° ˵ )୨引き続きよろしくお願いします(^^)
( ̄^ ̄)ゞ✨❤️✨
おこ 様、ご丁寧にありがとうございますっ(灬º‿º灬)♡