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番外編集【BL含む】
2 若葉・ヴィンセント・クーパーの場合
しおりを挟む本社のエースの補佐に就いて今日で二週間……。
俺は毎日毎日金髪碧眼のイケメンに愛をささやかれ続け、唇を奪われ、寝るときはベッドに潜り込まれるという爛れた生活を送っている。
セレスティン・オーゲン・ハーヴェイ35歳……コンサルタントとしてアメリカの本社において優秀な成績を上げ続け、エースを呼ばれる人物。
そんな彼の補佐となった初日に、自分はゲイだと告げれば、大変喜ばれ、告白された俺。
はじめは冗談か気づかいかと思ったが、エースの俺への気持ちが冗談でないことはすぐに理解できた。
というか、甘すぎる。
初日の夕食時に、敬語は禁止、名前もセスと呼ぶように言われたため、そう呼ぶようにしているが……俺が名前を呼ぶたびに、セスは嬉しそうに近寄ってきて、軽いキスをしていく。
この二週間、会社に行ったのは初日のたった一度のみ。
セスは料理が上手で、ほとんど彼が毎食手作りしてくれている。一人暮らしの頃に比べ、とても健康的になった気がする。
たまに酒を飲むこともあるので、その時に話を聞いてみたが、どうやらゲイである俺とは違い、セスはノンケだったようだ。
ちなみに俺は、前も後ろも経験がない。
自分がゲイであることは自覚していたので女性との経験はもちろんなく、かといってゲイであることをオープンにもしていなかったため、男性との経験もないのだ。
つまり、仮に俺がセスの告白を受け入れそういうことになった場合、どっちがどっちなのだろうか……。
最近の俺はそんな事ばかり考えてしまっている。
つまり、そうなってもいいと思っているわけで……流されたようでかっこ悪いが、俺もこの二週間二人で生活してみて、セスの事は嫌いではないし恋人になってもいいと思っている。
(いっそ、本人に聞いてしまおうか……)
俺は、別に抱かれる側でも抱く側でも経験がないのでこだわりはない。
自分で言うのもアレだが、勉強熱心な俺は基本的な男同士のやり方は一応両方把握しているので、どちらでもできると思う。
「ヴィンス、今夜は久しぶりに外に食べに行くかい?」
「ああ、セスも毎日大変だしな、いつもありがとう……何が食べたい?」
「そうだなぁ……」
とその時だった。
ブブッ……。
腕に付けたスマートウォッチがメッセージを受信したので、確認する。
『緊急事態、集合せよ』
母親からのたったそれだけのメッセージが入っていた。
俺はその意味深なメッセージに、何か胸騒ぎがしたため慌ててセスに事情を説明いし、断りを入れたうえで慌てて実家へと戻ることに。
正直、何故かはわからないが、少し動揺していたため、自分で運転するのは危険だと判断した俺はタクシーを使った。
実家の前に到着し、タクシーを降りると家の門の前に3名の人と……犬がいた。
(……あの犬……まさか伝次郎か?! )
伝次郎、と、犬に声をかけると、犬は立ち上がり俺に向かって尻尾を振りワッフ、と鼻を鳴らす。
間違いない、伝次郎だ。
俺は、伝次郎を囲むようにして立っている男三人に視線を移した。
(黒髪……はいいとして、なんだあの二人の髪は……コスプレか何かか? )
いずれにせよ、この三人が伝次郎を拾って届けてくれたのかどうかはわからないが、俺の目の前には、間違いなく桜とともに5年前に行方不明になった伝次郎がいる。
俺は三人に、話が聞きたいと言いくるめて、伝次郎とその三人を連れて自宅へと入った。
玄関には見慣れない靴が置かれ、不思議に思いながらも伝次郎の存在を早く両親に伝えたくてリビングに急ぎぐ。
「母さん! 何だよあの緊急事態、集合せよっ、てメッセージは! ってか、家の前に伝次郎がいたんだけどっ! 知らない双子のイケメン2人と黒髪のイケメンに連れられてたから、とりあえず桜に繋がる手がかりかと思って全員連れてきた!」
叫ぶように言葉を発しながらリビングのドアを開け放つと、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「伝次郎っ! ジェイファオっ! ロイっ!」
(……え、あ……え……? )
驚く声を上げてリビングの入り口に駆け寄ってきた女性の姿には見覚えがあった。見慣れない服装をしているが、俺が見間違えるはずはない。
俺の大事な大事な妹、桜だ。
しかし、俺は空気を読む男だ、室内の状況を瞬時に把握し、すでに感動の再会といった場面は過ぎ去っていることに気付く。
ここで俺が感動の再開をしたところで、桜はきっとすでに両親と楓との再会で涙は枯れていることだろう……その証拠に、桜の目は真っ赤に腫れている。
俺は心の中で一人、桜と感動の再会を喜び涙を流すことにし、表面上は飄々とした態度を見せることにした。
「って、桜!? お前、桜か!? なんてこった!」
その日は、俺達家族が真っ暗闇を抜け出し、光が差し込み笑顔が戻った、記念すべき日となったのだった。
○○●●
桜との再会の翌日、俺は、セスに有給を願いでた。
俺の仕事に興味があるという桜の旦那の双子の片割れで、通称ファオと一緒に、セオと生活している今のマンションではなく、本当の自分のマンションに帰っていた。
異世界人であるにもかかわらず、ファオは言葉も読み書きも問題無くできるようだったので、俺が昔勉強に使っていた税務関係の本などをすべてファオにくれてやったのだ。
とはいえ、基本的なことは口頭で説明してやる必要があり、俺が直々に教えてやったわけだ。
ファオは、乾いたスポンジが水を吸い込むがごとく、すぐに税金の仕組みをマスターしてしまった。
まぁ、俺の教え方がよかったのだろうが、それにしてもすごく学習能力の高い奴だ、これで桜より年下とは……。
それから俺は、ファオを自慢のバイクの後ろに乗せて、少し海岸沿いを走りに連れて行った。
桜の事も昔はよくこうして乗せてやって、凄く喜んでいた事などをファオに話すと、ファオは桜に喜んで貰いたいからと、自分もバイクを買うと言い出したのである。
あれよあれよと進み、ファオは本当にハーレーを契約してしまった。
俺と歳がひと回り以上離れているファオは、双子のジェイと違って大人っぽく落ち着いた雰囲気の奴だと思っていたが、根底にある豪快さはやはりジェイと似ているようだ。
それでも、弟がいたらこんな感じなのかもしれない、と、俺もファオと過ごす時間が楽しくなっていた。
日も暮れ始めたので、ハーレーの販売店から実家に帰る途中、ファオを連れてセスのマンションに寄ると、食事に出ていたのか、丁度バイクの駐輪場でセスが外から帰ってきた所に出くわした。
「セスっ今日は急に有給ありがとう、紹介するよ、妹の旦那のファオだ、ファオ、俺の会社の上司のセレスティンさんだ」
「はじめまして、ファブリツィオでファオです、ワカバさんの有給を許可して頂きありがとうございました」
「セレスティンだ、セスでいいよ」
ファオは握手をしたままじっとセスを見つめていた。
そして、ファオはフッと微笑んでこう言った。
「ワカバさん、帰りましょう、なんだか愛する妻に会いたくなりました」
「ん? ああ、そうだな、俺も桜の顔をたっぷり見ておきたいしな……じゃセス、今夜も実家に泊まるけど、明日は昼前には戻って仕事をするよ、詳しい事も明日話す」
「ああ、なら昼は一緒に食べよう、用意しておく」
「サンキュー、またな」
俺はヘルメットを被り、バイクに跨りエンジン音を轟かせファオを乗せて実家へと帰った。
途中、ファオに言われてしまう。
「ワカバさん、セスさんに、愛されてますね……なんか、申し訳なくなりましたよ俺……」
「っは!? えっ!?」
「黙っていてすみません、俺とジェイは人の精神に干渉するチカラがあるんです、クーパー家はお父上以外は干渉出来ないんですけどね、きっと薄くても愛し子の血なんでしょうかね」
俺はファオの言っている意味がわからなかった。
「……人の精神に干渉って……なに?」
「そうですね、人の頭の中を自由に出来るとでも言いますか……考えている事はわかりますし、本人の意思を好きなように変えてしまう事が出来るんです」
つまり……さっきセスと握手しながらファオはセスの頭の中を覗いたって事だろうか。
「っバカ野郎、お前、それプライバシーの侵害だぞっいいか、プライバシーと言うのはな……つまりだな……いいかファオ、セスの頭の中で見た事は忘れなさい」
あの時セスが何を考えていたかは俺にはわからないが、さっきファオは俺に、セスに愛されてる、と言った。
つまり、セスは頭の中でいつものように俺の事をマイスウィートだとかなんとか考えていたに違いない。
「忘れませんよ、結構衝撃でしたから……セスさんは俺がワカバさんのライダー姿を自分よりも先に目にした事や、バイクの後ろに乗った事、有給使って1日中一緒に過ごした事に対して妬いていたのか、相当苛ついて暴言はいてましたよ、明日、帰ったらフォローが必要かもしれませんね」
「セスが暴言?」
「ええ……あの人、結構腹の中真っ黒ですよ、ご存知の上であればいいんですが、恋人ではないなら気をつけたほうがいいです、必要があれば俺がなんとでもしますからいつでも言ってくださいね」
「……お、おう……ありがとな、でもひとまずは別に恋人ってわけでもないから、誰にも言うなよ」
「わかりました」
ファオの言う事は本当だと思う。初めて会った人間でかつ、これから先、ファオは関わる事のない人なのだから、わざわざ嘘をつく必要はないだろう。
(セスが腹黒……まぁ、たまに胡散臭い気配があるとは感じていたけどな……ありとあらゆる伝手ってのも、謎のままだしな……)
やっぱり、俺はセスについて知らない事が多すぎる。安易に恋人になるのは危険かもしれない、今日、ファオに会わせて良かったかもしれない。
○○●●
翌朝、桜と旦那達は帰って行った。
寂しいは寂しいが、異世界といえども居場所がわかっているだけでこんなにも気持ちが違うものかと、不思議だった。
きっとまた会えるだろう。
俺はそのまま、セスの待つ二人のマンションへバイクで帰った。
「ただいま~」
「おかえりヴィンスっ! 思ったより早かったね」
セスはまだパジャマ姿で、朝食を食べてリビングで寛いでいたようだ。ダイニングには飲みかけのコーヒーが置いてある。
「俺もコーヒー飲もうかなっ仕事の前に話ししよう」
「……わかった、ヴィンス着替えて来たら? コーヒーは私が淹れておくよ」
「ありがとう」
俺はセスに桜の事をどう説明しようか悩んだ。
悩んだ結果、ひとまずはファオの提案してくれた作り話しを採用する事に決めたのである。
「……はい、コーヒー……妹さん、本当に良かったね、私もホッとしたよ」
「ん、ああ、本当に……アイツ、腹の中に赤ん坊までいたんだ、びっくりだったよ……でも、旦那はいい奴だし、まぁ、結果的には幸せそうで良かった……」
俺は、桜が散歩中に転んで頭を打ち、記憶喪失になった所をファオに助けられてずっと記憶が戻らないままファオと生活していた、と話した。
妊娠をきっかけに記憶が戻り、帰ってきた、という事にしたのである。
間違っても、異世界に転移したとか旦那が5人もいるとか、魔法が使える、何て事は言えない。
「……なら、ヴィンスはもう、一人で妹さんの画像を見ながら涙を流さずに済むね……良かった、本当に……良かった……」
セスは俺の手を握りしめ、心から安堵した表情をしている。
嘘をついている手前、少し罪悪感を感じるが、これは誰の迷惑にもならない優しい嘘だ、と思うことにする。
「セス、妹の事が解決したからってだけではないけど、俺も前向きにセスとの事考えたい……でも、セスは俺の事調べたみたいだから知ってるだろうけど、俺は俺の知らないセスがもっと沢山あると思う……つまり、少し不安」
「……ヴィンス……嬉しい……ありがとう……何が知りたい? 何でも聞いてくれ、何でも話すよ!」
すこぶる前向きな姿勢でそう言われても、いきなり何を聞けばいいのだろうか。
でもまぁ、まずは……。
「セスはゲイじゃないなら……男を抱けるのか?」
いきなりだが、ずっと気になっていた事から聞いてみる事にする。
「男を抱くと言うより、ヴィンスなら抱きたい……いや、ヴィンスなら抱かれてもいいかな……昨日のバイクに跨る姿は本当にかっこ良かった……ヴィンスは? 今まではどっちだったの」
「……」
「……?」
セスは当たり前のように俺に経験があると思って聞いている。だが、隠してもしょうがない。
「笑うなよ? ……俺は前も後ろも女も男も経験がない!」
「……っ?!」
自慢じゃないが、いや、自慢だな。
正直俺は男にも女にもモテる。ぼーっとしているだけで、口説かれる事など日常茶飯事だった。
だがしかし……。
「知ってのとおり、俺は超ど級のシスコンだろ? 女には興味なかったし、自分がゲイだって自覚するのもわりと早かったんだ……でも、声かけてくる男はみんなヤリ目みたいなのばっかりで、なんか引いちゃってたんだよな……ピュアな恋愛すらしたこと無いのにいきなりケツの穴使ってセックスとか、ちょっとハードル高くて……」
「……ヴィンス……」
セスは俺の話しを黙って聞いている。心なしかセスの口元が緩んでいる気もするが……。
「だからつまりだな……俺は今からお前とするなら初めてだから、どっちにもなれるんだよ」
「……ヴィンス……私は一つ心配な事がある」
「なんだよ」
「もし、私がヴィンスの中に入るとしたら……したらだよ? ……ヴィンスを壊してしまうかもしれない」
「……いや、そこは気合いでどうにか……ってか、セスのセスはそんなに凄いの?」
アレだろうか、XLサイズというやつだろうか。
「……まず、日本には私のサイズのコンドームは無い」
つまり、XLサイズをも凌駕するというのか……とはいえ。
「でも、女性には入っていたんだろ?」
「……」
「……え、何その沈黙……」
「……全部は……入らなかった」
セスのセスは、長さがあるのかもしれないな。
「……そうか……それは、俺のお尻と腸が危険だな……なら、俺がセスに入れるか?」
「……(ぽぽぽ……)」
……頬を染める金髪碧眼35歳の破壊力たるや……無言は肯定とみなす。
「わかった……その時が来たら俺がセスの中に入る……安心してくれ、実践はなくとも、勉強熱心な俺はわりと何でもそつなくこなしてきたから、きっと大丈夫だ」
「……うん……(ぽぽぽ……)」
なんだか朝からおかしな空気になったな。
「えーと、じゃ、話しかえるか……セスの家族は?」
「……私の家族はちょっと特殊なんだ」
そう言って告げられたセスの家族構成は……複雑だった。
まず、セスの父親はFBIの副長官だった。それだけでも驚きだが、母親はなんとロシアンマフィアの一人娘……しかも、どっぷりマフィアの一員なのだそう……ゆえにセスの両親は籍を入れる事ができず、事実婚なのだという。
セスには弟が二人おり、真ん中の弟は母方のマフィアの道に進み、母親の姓を名乗っているそうだ。末の弟はまだ20歳になったばかりで、父親の姓を名乗り学生だという。
長男であるセスも、若い頃は弟のようにマフィアの道に進むつもりだったそうだが、当時まだ幼い末の弟が心配で、17歳の時に進路を変え、弁護士と公認会計士を取得し、父親の姓を名乗り、今のコンサルの道に進んだという。
「でもね、複雑だけど、家族はみんな仲がいいんだ、両親は別々の家に住んでるように見えて、実は地下で繋がっててさ、今も昔もずっと一緒に住んでいるし、凄く仲が良いんだよ」
「……俺は、セスが17歳までマフィアになろうとしてた事が一番驚いたよ」
「……ははは、そう? 本当だよ、ほら」
そう言っておもむろに服を脱ぎだすセス。
そういえば、男同士一緒に生活しているが、風呂上がりも寝る時も、着替えの時ですら、俺はセスの肌を一度も見たことがなかった。
俺なんかはよく風呂上がりにパンツ一枚でウロウロしているのに。
そして初めて目にする服の下から現れた彼の身体には、広範囲にタトゥーが入っていた。
「おお……日本のヤクザの和彫とはまた違うんだな……ってか、めちゃめちゃいい身体してんだなセスって……」
俺はそっとセスの彫物に触れてみると、セスの肌はひんやり冷たい。
「ポリネシアンタトゥーって言って、色々意味が込められてるんだよ……ヴィンスの方が筋肉質でいい身体してるよ」
なぜ俺達は互いの身体を褒め合っているのか……不思議なほどに甘い空気になんだかいたたまれない。
「なるほど、だからセスはいつもインナーが黒だったんだな」
「白だと透けるからね……」
俺は無意識にセスのその不思議な模様を指でなぞっていた。
「っ……」
「あ、悪い乳首触ってた」
セスの身体がピクンと反応し、ハッとする。
「ヴィンス……」
セスは俺を抱き寄せ、唇を重ねた。
普段の軽い挨拶のキスとは違う……熱を帯びコーヒーの香りのする舌が入ってきた。
素肌のセスからはドクンドクンと心臓の鼓動が伝わってくる。
(ああ、セスは本当に俺の事……)
マフィアになろうとしていたような奴だ、きっとセスはファオが言っていたように普段俺に見せているほんわかした性格とは異なる面を持っているのだろう。
それがファオの言う“腹の中が真っ黒”と言う事であれば、それは別に許容範囲だ。
「セス……」
俺はセスの舌を受け入れ、自分の舌を絡ませる。
セスは俺のその行動に、閉じていた目を見開くも、すぐにフッと目元を緩め再び瞼を閉じた。
「っふ……ん……」
キスってこんな気持ちいいものだったのか、そんな事を考えていた時、俺の下半身に何かが当たった。
(……ん? )
それは、大きく立ち上がったセスのセスであり、パジャマを持ち上げている。
「……セス、当たってる」
「……当ててるんだ」
いっそ清々しいセスの答えに、俺は笑った。
「……はぁ、ヴィンス、君は酷い男だ、私がどれだけ我慢しているか知らないだろう……」
「……いや、今のお前の心臓の音聞いてたらなんとなくわかった」
「なぁ、やっぱりセスが俺に入れたら?」
「……なっ! こ、コレがヴィンスの小さなお尻に入ると思うのか?!」
セスは立ち上がった自分のソレを指差し言った。
「入るだろ、ゲイビとか見ててもえげつない大きさのも入ってたぞ」
「それはベテランのゲイビ俳優だからだ、現実は甘くない」
「ふむ……ちょっと色々調べてみるから、それまでは出し入れは待っただな」
「っえ!」
(え、ってなんだよ、可愛いな)
あからさまに残念そうにするセスがなんだか可愛く見えてしまう。
「出し入れはしないけど……」
「うわっなにするんだ、重いだろ」
「まぁ、重くなくは無いけど俺って力持ちだから」
俺はひょいっとセスを横抱きに持ち上げ、セスの寝室に移動し、朝起きたままの少し乱れたベッドにセスを転がす。
「抜きっこしようぜセス」
「っ!?」
驚く事に、セスの先ほどの残念そうな“っえ”の表情で、俺のも元気になってしまった。
俺はつい先ほど覚えたばかりのキスをセスにそっくりお返しし、舌を絡ませ、セスから溢れる唾液を舐めとる。
「っ……経験がないんじゃなかったのか!」
「ないよ、言っただろ、俺は勉強熱心なんだ、さっきのお前とのキスから学習した」
「……天才かよ」
「お気に召していただけたと思っても?」
ニヤリ、とする俺に、セスは自分の顔を両手で隠した。
「駄目だ……私は君の顔がとても好きみたいだ……それでいてそのよくわからない自信と男気……(よく今まで貞操を守ってこれたな……)」
「ん? なんだよ」
勢いづいた俺は、セスのセスを下着の中から取り出し握りしめ舌先を這わせる。
(それにしてもデカいな……ゴムが無いってのも冗談じゃなさそうだ)
「っ! ……つっ……んっ」
セスから甘い吐息が漏れる。
(ヤバい、なんか興奮する……)
デカいと言っても、男の俺の口には何とかおさまりそうなセスのソレを俺は自分の唾液で滑らせるように咥え、見様見真似でフェラをしてみる。
「っ……っつ……ん……ふ……」
良さそうな反応の見せるセスの姿に、俺のソレも立ちすぎて痛いくらいだった。
俺は自分の下をくつろげ、自分のモノを取り出し軽くしごくと、俺の唾液とセスの先走りで滑りの良くなったセスのソレにピタッと合わせる。
二本でしごけば、初めての体験だが、なかなか気持ちがいい。
(……ん? あれ? )
こんな時でも勉強熱心な俺は、ある事に気付く。
「なぁ、セス……見て、意外と俺のもデカいのかもっ比べた事ないから気づかなかったけど」
「っ……」
セスはゆっくりとダルそうに身体を少し起こし、自分のソレと俺のソレとがピタッとくっつく様子に頬を染めながらも、しっかりと俺の言葉の意味を確認していた。
「……No way(まさか嘘だろ)……間違いなく君のもデカいよ、ヴィンス……コレは……私のお尻も壊れるかもしれないな」
「っはは、なら振り出しに戻ったじゃねーか」
俺は再びセスにキスをしながら、握る二本をしごき続けた。少しして二人ともほぼ同時でイくと、何とも言えない空気になる。
「……さて、次は俺の尻とセスの尻とを比べてみるか」
「っ?!」
「っでもその前にハッキリさせないとな……セス、俺の恋人になってくれ、俺もお前を好きになった……Would you like to go with me?(私と付き合いませんか? )」
「Sure. I’d love to.(もちろん喜んで! 是非、そうしたい)……愛してるヴィンセント……」
こうして俺は本社のエースと恋人関係になったのだった。
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