【R18・完結】結婚はしません、お好きにどうぞ

hill&peanutbutter

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46 最終話 R18

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 (sideイヴリン)
 

 双子が三歳になり、ギルバート様の出勤と共に貴族教育のためにラウリルアへ通う生活が始まると、アギット様は静かになった森で、なんだか寂しそうに、ノワールと共に畑をいじりだした。

 そんないじらしい背中を見ていると、なんだか胸が苦しくなってしまう。

 ……もう三年も経つのね。とても待たせてしまいましたわ……。





「アギット様。」

「イヴリンっ、どうしたの? 呼んだ?」



 昔から変わらず、大型犬のように私の所に尻尾を振り駆け寄って来てくれるアギット様が、なんだか愛しく感じ、私はそのままアギット様に口付けた。

 そして自分から舌を絡ませ、彼の欲を引き出すように首に腕をまわし、身体を密着させる。



「……イヴリン……っ?」

「……アギット様、愛してますわ。」

「……っ!」

 初めて誰かに愛という言葉を伝えた。ギルバート様にだって、兄様にだって言った事はない。

「……も、よく聞こえなかった、もう一回言って……?」

 絶対に聞こえていたはずだ。


「アギット様、愛しています……私は貴方を愛しく思いますわ……長い間、お待ち下さってありがとうございます……。」

 私がどんなに酷い態度や言葉をぶつけても、あの言葉のとおり、彼は決して私の側から離れなかった。
 違う男性の子供を身ごもった私の事すら、彼は愛し続けて、子供達の事も同じように愛してくれた……。

 そんなアギット様をどうすれば愛せずにいられようか。

 認めるしかなかった。
 ……私は、アギット様を愛している。

 彼は、私を裏切らない。
 もちろん今は、ギルバート様だって私を裏切るとは思っていない。





「っ……イヴリンっ! 俺もっ俺も君が愛しくてたまらない! 愛してる……ずっとずっと愛してたよイヴリン……。」

 今度はアギット様が私に口付け、激しく舌を絡ませた。

 そのまま彼の腕に抱き上げられ、アギット様の部屋のベッドまで運ばれる。

 アギット様とは結局、仮面舞踏会マスカレードの夜から今日まで、最後まですることはなかった。
 口付けや愛撫をされる事は何度かあったが、挿入までは至らなかったのだ。

 それがわざとだったのかはわからないが、彼なりに思う所があったのかもしれない。


 そして、性急にシャツを脱ぎ捨てたアギット様の身体に、私は目を奪われた。
 25歳になった彼の身体は、三年前とは全く異なり、鍛え上げられ逞しく、とても美しかったのだ。


「……美しいですわね……」

 目の前のアギット様の腹筋に手を伸ばし、指先でそっと触れ、ゆっくりと滑らせるようになぞれば、腹筋はより深く硬くなり、その先にある彼の息子も誇張した。

「っ……イヴリン、君の方がずっとずっと美しいよ……」

「ん……っ」

 我慢出来ない、とばかりに唇を塞がれ、そのまま彼の時間をかけた丁寧な愛撫を経て、私の身体はとろとろに解かされる。


「イヴリン、君の中にはいってもいい?」

「はい……何年ごしですの?」

「三年越しかな!」

「……ふふ……っ」

 アギット様は気をそらすように私に口付けながら、ゆっくりとその先を私の中に埋めていく。

「っ……んっ……!」


 やはり大きい……。しかし、たっぷりと解され潤った私の中は、そんなアギット様をしっかりと受け入れ、のみこんでいく。

「イヴリン、痛くない?」

「……ええ、痛くありませんわ。」

 私は彼のトラウマを消し去ってあげたかった。私のせいで、アギット様にセックスが下手だと思い込ませてしまったのだから。

「……とても気持ちがいいので、もっと奥までくださいませ。」

 そう伝え、彼にまわしていた腕にチカラを込める。

「っ……エッチなイヴリンの破壊力すごい……っ!」

 どういう意味かはわからないが、直後、ズンッと、奥を貫かれた。

「っ! ……ん……っ」

「っ……!」

 アギット様の表情がなんとも色っぽく、私は思わず顔に触れ、口付ける。

「……煽るし」

 そう呟いた彼は、ゆっくりと腰を引き、抽挿を始めた。


「……イヴリン、好きだ……愛してるよ……」

 幾度となく私に愛を伝えながら、アギット様は何度も何度も何度も……。

 何度も何度も何度も……!

 彼は本当に人間だろうか?
 本当は、人間の皮を被ったドラゴンなのではないのかしら……。

 絶倫もいい所だ。




 何度絶頂を迎えたかわからない。

 何度彼の白濁を中に出されたかわからないほど、アギット様と一つに溶け合うように身体が交わり、意識を手放すように私はそのまま眠りについた。




 ○○●●



(sideアギット)


 ベルントとコリンナがラウリルアへお勉強に行ってしまい、森は静かになってしまった。

 寂しいけど、仕方ない。



『アギット、そっちの畝が下手くそだよ。』

 畑に関しては、何故か自分の管轄だと思っており、なかなかに口うるさいノワールに注意され、俺はせっせと畝を直し、畑をいじっていた。



『ねぇ、アギット、ベルントとコリンナが大人になったら、次は小さいアギットが産まれてくるの?』

「……どうかな? そうだといいが……俺はまだあの夜以来イヴリンに入れてすらいないからな……何故かいつも邪魔が入って……。」

 テオ義兄さんしかり、大家さんしかり……双子しかり、お前しかり……。


『小さいアギットが生まれたら、僕はお兄ちゃんになるの?』

「……お兄ちゃんかはわからないが、次はブラックじゃなくて、お前が繋がってやってくれよな、逆鱗、生え変わっただろ?」

『うん! 僕がいっちばん最初に小さいアギットとおしゃべりするんだ! アギットの悪口で盛り上がる予定。』

 なんでだよ。





『ねぇアギット、僕ね、イヴリンと初めて会った時さ、とってもいい匂いがしてね、とにかく気持ちが落ち着くいい匂いだったの!』

「そうか、奇遇だな、俺もだ。」

『父上に聞いたら、遺伝子レベルで相性のいい相手なんだって! 身体の強い子供が産まれるって言われたよ!』

 ……お前より強い子が生まれたら、そりゃただの化け物だ。

『だから、小さいアギットをイヴリンが産んだら、強い子になるって事でしょ? 僕と一緒に遊べるかな?』

 それは無理だろうな。俺ですらまだどうやったらお前と遊べるのか、わからない。

『僕も、精霊達とベルントとコリンナみたいに、あんな風に一緒に遊びたいな。』

「駄目だ、潰しちまうだろうが。」

『潰さないもん!』

 だが、言われてみたら、エレミ族の精霊士の血とオスマンサスの血は混ざりあっても大丈夫なのだろうか?

 どっちのチカラも引き継ぐのか?

 俺は精霊が見えないし、話しもできない。もちろんイヴリンもノワール達と話しはできない。

 さっきのノワールの話じゃないが、もしかしたら、男なら二つのチカラを持った、最強の息子が生まれるんじゃないか?
 女の子なら、コリンナみたいに可愛い可愛い天使ちゃんに違いないだろうが……俺も双子がいいなぁ。

 





 俺は畑でまたも妄想を膨らませていた。


「アギット様。」

 
 その時、イヴリンに呼ばれる。




 俺の妄想が妄想でなくなる日は近かった。


 
 
 
 fin
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