【R18・完結】結婚はしません、お好きにどうぞ

hill&peanutbutter

文字の大きさ
上 下
4 / 47

4 マスカレード R18

しおりを挟む

(sideアギット)


「……何故、兄さんまで? 義姉さんに叱られないの?」

「はっはっは、実はニーナも来ている。俺はニーナを口説き落として二人で非日常を楽しむんだ。」
 
 
 仮面舞踏会マスカレード当日、コンラート兄さんまでついて来たかと思えば、兄さんの妻の義姉さんまで来ているとは……仲がよろしい事で。
 
 
「そう、なら早く行かないと……義姉さんが知らない男に連れて行かれちゃうよ」
 
「それは困る! じゃーなアギット、健闘を祈る!」



 隣国とは言え知り合いがいないとは限らないので、前髪をおろし、仮面マスクも顔が隠せる物を選んだ。


 それにしても……すでに帰りたい……。
 女性だけでなく、男性からも強く香ってくる香水の匂いで鼻が痛い……吐きそうだ。

 駄目だ……一旦外の空気を吸おう。


 扉が閉まったテラスは、すでに使用中・・・だと聞いているから、俺は扉が開いているテラスを探し、外に出た。


「……あ、すみません先客がいらしたのですね」

「……いえ、すぐに戻るつもりで扉を開けたままにしていたので、お構いなく……では」

 テラスにはモスグリーンの長い髪をした女性が一人で外を見ていた。

 俺が現れた事で、女性は気を使い会場へと戻る事にしたようだが、なんだか申し訳ないな。

 しかし、扉へと向かう女性とのすれ違いざま、俺は思わずその手を掴んでしまった。

「っな、なにか?」

「……あ、すみません……とてもいい香りがしたのでつい……」


 しまった。
 こんな薄暗い場所で身体に女性の触れたりしたら、そういった意味で・・・・・・・・誘ったと思われるかもしれない。

 だが、彼女からいい香りがしたのは本当だ。

 先ほどまでの吐きそうな気分が、少し良くなった。


「……あの……すみません、特に何も付けていないのでなんの香りかはわかりかねますが……」

 何も付けていない? 香水の香りではないと言う事か。


「では、貴女自身から香っているのですね、私にはとても好ましい香りです」

「……」

 気を使ったつもりだったが、ちょっと気持ち悪かっただろうか。

「……ふふっ……それは良かったです……よろしければ、少しご一緒しても?」

 仮面マスクの奥に見えた女性の金色の瞳が細まり、笑顔を見せてくれた事に、安堵し、俺は女性の申し出を受け入れた。



 そして、しばらく二人きりでくだらない会話をしていると、隣のテラスから、いかがわしい声が聞こえてきてしまったのである。

 そうだった。このパーティーはそういう所だ。
 ……つまりこの女性もそれが目的で?

 なんとなくお互いに気まずくなるも、俺も男だ。

 その場の空気に任せて、女性の手をそっと取り、チュッと指先に口付けて様子をみる。


 ……嫌がる様子はない。

 続けて、ひと言添えて女性の手を引き、自分の胸に抱き寄せてみる。華奢な女性は俺の身体にスッポリと収まってしまった。


 ……これも嫌がる様子はない。


「……私は貴女に触れてもいいのですか?」

 女性は無言だが、静かにコクリと首を縦に振る。

 ならば、と思い、俺は女性の顎を引き寄せ、逃げ出す猶予を与えるようにゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねた。


 はじめは何度か軽く……えっと次は……。
 俺は、女性が無抵抗な事をいい事に、コンラート兄さんから言われたとおりにチュッチュッブチューのリズムで口付けを続ける。

「……ん……っ」


 女性から甘い吐息が漏れ聞こえはじめ、俺は決めた。

「……部屋にお連れしても?」

 俺の言葉に、女性はまたも恥ずかしそうに無言でコクリと頷く。
 その様子に、慣れていないのかな? とも思いつつ、女性の手を引きテラスから移動する。

 よし、ここまでは順調だ。スマートに出来ているんではないだろうか。


 会場内にいくつもあるベッドルームの一室に入り、再び口付けを交わしながらベッドへ女性を沈め、ドレスを脱がせようと手をかけると、女性が気まずそうに口にした言葉に、思わず手が止まる。



「あの……ここまで来て騙したようで申し分ないのですが、私……その……経験が無くて……」
 
「……」

 聞き間違いか?
 経験が無いのに、何故こんな場所にいるんだ?
 ……いや、俺もだが……男と女とでは重みが違うだろ!

 俺が無言だったせいか、女性が慌てたように次の言葉を口にする。


「あ、でも、やめましょうとか、そんな事を言うつもりは全くありません! ただ、少しだけ手加減を……して頂ければと……」
 
 ……一体この女性はどんな理由で大切な初めてを、ゆきずりの相手なんかに? ……ただ、純粋に湧いた疑問だったが、口に出してしまった。


「……何故、初めてをこのような仮面舞踏会マスカレードで行きずりの相手に?」

 俺は話をするために、一度女性の身体を起き上がらせる。


「っ……実は私、親ほど歳の離れた方のもとへ嫁ぐ事が決まっているのです。……大きなお腹に立派な二重顎……髪の毛は申し訳程度に残っているだけのお方なのですけど……。噂では数年前から若く美しい女性ばかりを集めて屋敷に囲っているそうでして……」


 なんという事だ。
 見た所、まだ10代後半でしかないようにも見えるこの女性がデブハゲのおっさんに嫁ぐだと? ましてや話を聞くに、まるで愛人じゃないか。


「……つまり、そんな男に初めてをやるくらいならば、仮面舞踏会マスカレードで素性を隠し出会った男と、後腐れなく、初めてを捨てようとした、というわけか……すまない、なんと言っていいか……」


 本当になんと言っていいかわからなかった。
 きっと、経験のない俺では、この女性の大切な一夜を満足のいくものにはしてやれない。

 でも……彼女が今から違う男に、という姿も見たくない。


「……どうかされましたか? あと、少々誤解されているようですが私はっ……」

「っすまないご令嬢……実は……」
 
 
 俺は、意を決して本当の事を話す事にした。


「……実は私も経験がないんだ」

「……え?」


「「……」」


 気まずい沈黙が流れたが、女性は俺の手をそっと握ってきた。


「話してくださってありがとうございます。ですが、貴方様が私でもよろしければ、このまま続けては頂けませんか? 未経験同士ですので上手くいくかはわかりませんが……」

「っ貴女こそ、よろしいのですか? 大切な初めてを私のような素人に……」

「経験がないので、素人かどうかすらわかりませんので安心してください」


 そう言って、女性自ら俺の頬に手を添え引き寄せると、ゆっくりと唇を重ね合わせた。

 女性の気持ちを尊重し、俺はそのまま出来る限り丁寧に優しく触れ、女性の表情や声を見ながらゆっくりと進め、まるで指南書のとおりに丁寧に丁寧に口と指とでほぐせば、次第に女性の秘部から蜜が溢れ始める。

 女性はその自身の身体の違和感に戸惑う様子を見せていた。


「んっ……やだ……何か……っ」

「大丈夫です、この蜜は貴女の身体が感じている証拠です」

 っなんちゃって……指南書にかかれていた言葉をそのまま口にしてみる。


「違くてっ痛っ……痛いですわ!」

「っえ?! すまないっ」

 なぜだ……こんなにも蜜が出てきているのに……痛い?
 指か? 指二本はまだ早かったか?

 俺は慌てて指を引き抜く。

「まだ指二本は早かったようです、もう一度いいですか?」

「……はい、私もすみません」

 俺は記憶の中の指南書を思い浮かべ、女性の秘部にある小さな突起に着目した。

 女性の蜜を指に絡め、その突起に優しく触れると、女性はビクンと身体を弾けさせる。

 ますます奥から蜜が溢れ出したため、俺は引き続き突起に触れつつ、指一本で入口をひたすらほぐし、そしてひと言伝えて、指を二本に増やした。

「……んんっ……」

 違和感を感じたようだが、女性は痛がる様子もなく俺の指を二本受け入れていたため、調子に乗った俺は三本に調整してみる。

「っ痛っ……っ!」

 駄目か……俺は、やっぱり下手くそなのだろうか。


「ごめんなさい、一旦抜いていただけますか?」

「ああ、すまない……」

 こんな状況でも、俺の息子は硬くその存在をアピールしていた。
 しまいには、女性に俺の張り詰めた息子の存在がバレてしまい、それは一体なんだ、大丈夫か、と問われてしまう始末。なんか、恥ずかしいなコレ……いたたまれないぞ。

 女性を痛がらせているくせに硬くしてるなんて、最低じゃないか俺は。

「ああ……最終的にはコレを貴女のここに入れて、交わるのです。」

 俺はもうどうにでもなれ、と思い、着ていた服を全て脱ぎ捨てた。彼女はすでに裸だ。俺が全て脱がしたからな。


「えっそんな大きなモノをですか?! 男性は皆さん、そんなに大きいのですか?!」

「え? あ、いや、最大値は人それぞれかと思いますが……同性同士でもあまり目にするモノでもないので……普段のサイズで言えば、私は人より少し大きめかもしれません。」


 俺は馬鹿か? 何を真面目に答えているんだ! 何が最大値だ、何が人より少し大きめだ!


「……そうなんですね、なら貴方様のソレを受け入れることができれば、大抵の方のサイズが大丈夫そうですわね……あの、もう、指はやめて、ソレに挑戦してみませんか?」

 と、女性が言ってくれたので、俺は女性の濡れた秘部に昂った己のソレをピタリと添えた。

 女性の蜜と俺の唾液で濡れたその部分は、滑りが良過ぎてなかなか入らない。

 俺は裏半分だけが濡れて滑りが良くなった自分の息子を手でしごき、全体に女性の蜜を行き渡らせた後、そのまま息子を手で固定し、グッと女性の中に押し進める。

「っ……!」

 亀頭が入った所で、女性が痛みからか唇を噛んでいた。

 俺はそれ以上中へ挿れる事をやめて、女性の唇にそっと口付け、噛むのをやめさせる。

「痛っ……っ全部入りましたか?」

「……いいえ、すみません、まだ2割程です……」

「に、2割……!?」

「ですがっ後は奥に進むだけです……ただ、膜を貫通する瞬間は痛みが強いと聞きます……」

「ま、膜……? 私の中にあるのですか?」

「はい、そのようです。その膜を破ると破瓜の出血があるのだとか……」

「貴方様はお詳しいのですね……私は自分の身体なのに何も知りませんでした……恥ずかしいです……」

「いいえ! 私も付け焼き刃で……」

「あの……痛みがあってもかまいません、なんとか我慢しますので、ひと思いにお願いします。」

 と、女性が言うので、俺もそろそろ我慢の限界だった事もあり、お言葉に甘えてチュッと口付けた後、一気に奥へと突き進んだ。

「っ! ……」

「……っ」

 キツい。ものすごい圧迫感だ……ちぎれる……。

「……ゆっくり息を吐いて、チカラを抜けますか? ……私を見てください……スゥ~、ハァ~、いいですか?」

 爪が食い込む程に、俺の腕を掴みながら痛みに耐える女性に、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

「痛い! 痛いですっ……何故っこんなっみんな……」

 もしかしたら、この女性はとてつもなく痛みに弱い人なのかもしれない……。

「お願い、抜いてっ痛いわっ!」

「え? 今抜くと、もっと痛くなりますよ? 少し馴染めば楽になり……」

「痛いのっ! いいから抜いてってば! ……この……下手くそ!」


 なっ! へ、下手くそだって?!

 出来る限り、いや、それ以上に慎重に丁寧に優しくしたんだが……。

「失礼ですが、貴女は少し痛みに弱いのでは? 少しチカラを抜いてみてください」

「痛くてチカラなんて抜けないわっ! いいから、一気に抜いて! っ下手くそ!」

 また下手くそって言ったな。

 だが俺は頑なに己を抜かなかった。

 コンラート兄さんが言っていたからだ。
 一度入れてすぐに抜いてしまうと、中途半端になり、女性のトラウマになる可能性がある、と。

「どうして抜いてくれないのっ! このっ最低男!」

 さ、最低男だと?!
 俺は貴女のためを思って……! クソッ……だがこの状況では、完全に男の俺が悪いか。


 しかし、次第に痛みが引いてきたのか、締め付けが若干緩み、俺の腕も開放された。
 絶対に腕から血が出ている気がする。


「あの……取り乱してすみませんでした……。もう大丈夫そうですわ……あの、これで終わりですか?」

 女性は落ち着きを取り戻したのか、俺に謝罪したが、俺の次の言葉に再び動揺を隠せていなかった。

「いいえ……このまま、男性が腰を動かし、絶頂に達すると子種が外へ出ていきます……そのつまり、貴女の中に……」

「っな! まだ動くのですか?! それにっ私の中に子種が?! それは困りますわ、妊娠してしまうのでしょう?」

 若干だが、腰が引けていったので、俺は引けていったぶん、己を挿れ直す。

「安心してください、避妊薬を飲めば大丈夫です、それでも心配なら魔……あ、いや、何でもありません。とにかく、妊娠の心配はありませんよ。」

「……そうですか、では、どうぞ動いてくださいませ。」

 女性はそう言うと、俺の身体に腕をまわした。

 ……清々しい程に思い切りがいい女性だな。
 でも、痛がりなんだよな……。次は背中に爪を立てられて血が出るかもしれない……。

 俺はそう思いながらも腰を動かし、その気持ちの良さに感動しつつもあまり早く果てすぎないように調整しながら、タイミングを見計らって、達した。

 女性も初めは唇を噛んで俺の背中に爪を立てていたが、後半は、少し気持ち良さそうに感じていたような気がする。





「……こんな事は言うのはものすごく間抜けですが、これでひと通りやり終えました、ありがとうございました。」

「……こちらこそ、ありがとうございました。情事とはこんなにも過酷なのですね……勉強になりました……」

 ……すみません、過酷な思いをさせてしまって……俺が下手くそなばっかりに……。

 とは、悔しいので言わなかった。




 それから俺達は少し休んで各々がシャワーを浴び、身なりを整えてから、別れたのだが、別れ際に彼女は言った。

「はじめにお伝え出来ませんでしたが、私、この結婚が嬉しいのです……お相手の方は愛人が何人いても頷けるほどにとても優しそうな方ですの……私、年齢や見た目は気にしませんし……情事についてはもう少し、座学で勉強してみますわ。では、貴方様もどうかお元気で。」


 仮面マスクで見えないが、頬を赤らめ口元緩くデブハゲとの結婚が嬉しい……と言うその女性は、やはり少しどこか変わっている。

 もう二度会うことがないとは言え、忘れられそうにない夜となったのだった。



 
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話

下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。 御都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...