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11 市場調査
しおりを挟むそれから三ヶ月が経つも、ジョルジュは現れず……。私の絵はどうなったのだろうか……お蔵入りだったりして……ぐすん。
私はといえば、あれからフェイロン31歳とウンラン30歳のローテーションの日々に割とすぐに不思議な強敵二人が加わっていた。
それは、小動物系DT(童貞)男子の浩然(ハオラン)20歳と、無口過ぎて困る正統派イケメンの颯懍(ソンリェン)の二人だ。
ハオランは赤面症で、とにかくそれを治したいと言って何故か私のもとに通い出した。
私の前で唯一、ちんこを出さない強敵だ。
金持ちのいい所の息子らしく、他の誰よりも頻繁に出没するので、正直困っているのだが、ハオランには“筆下ろし”という楽しみが待っているので、耐えている。
あの赤面顔を見ると、正直したくてしたくて仕方ないが、焦りは禁物。彼の性的欲求が目覚めてくれるまで、じっくり待って、頭からガブリと頂きこうと企んでいる。
ハオランと同時期に現れたのが、無口アンド無表情過ぎてその名前以外、聞き出す事が出来ていないという、別の意味での超強敵、ソンリェンだ。もちろん年齢もわからない。
彼は、無口で無表情なクセに、セックスはとっても濃厚でねちっこく、これで愛でも囁かれた日には、腰が砕けて蒸発してしまいそうな奴である。
ちなみに、ソンリェンは常に無言だが気配りは出来るし、女の扱いも丁寧で、いい男には間違いないが、なんとも不思議な存在すぎて、接し方については未だに模索中だ。
彼の金の出所はわからないが、稼ぎがいいのかお坊ちゃんなのか、いつもゆっくりとお泊りをしていく。無言なのに。
今の所、私を買える男はこの四人だ。
ジョルジュがくれば五人か。
彼らの予約取り合戦のせいで、何故か私の一晩の値段はつり上がり、他の迷えるイケメンが、来れずにいるようなのだ。
そこで私は、リンちゃんに眼鏡などの変装道具を準備してもらい、シアさんにもちゃんと行って来ます、と言って、リンちゃんと二人で市場調査に出る事にした。
なんの調査かといえば、街にはどんな男が何割で、ゲテモノが何割かを知りたかったのである。
あとはいつもありがとうの意味を込めて、リンちゃんに何か買ってあげたかったのだ。
私はお給料を全てシアさんに預けているので、手元に金はない。欲しいものは全てシアさんから支給してもらっているから、逃げる元手もないので、すんなり許可がでた。
今回は、軍資金としてシアさんにお小遣いをもらっている。
「おぉ! 花街を一歩出ると、以外と普通の繁華街なんだね!」
バスローブ一枚で歩いて来た時は、そんなに見回す余裕もなかったのか、あまり覚えていないが、こりゃ以外と楽しめそうです。
「レイラン様、美味しいものが食べたい、とおっしゃっていたので、いくつか調べておきました! ご案内しますね!」
リンちゃんは素晴らしいガイドさんだった。
私の好みを完璧に熟知してらっしゃる……。
こうして、私は市場調査という目的をすっかり忘れ、普通に街歩きを楽しんでいた。
……のだが。
「あれ? リンちゃん? ……あら?」
調子にのってたら、リンちゃんとはぐれてしまった。
間違いなく、リンちゃんがはぐれたんじゃなく、きっと私がはぐれてしまったのだろう。
迷子だ。
辺りは薄暗くなってきているため、絶対に慌てて私を探しているであろうリンちゃんが心配だった。
シアさんには帰館時間まで伝えてはいなかったが、きっと妓館のオープンまでには帰るだろと思っているはず……。
まずい……もうすぐ妓館がオープンする時間だ。今日の私は一応休暇扱いなので、予約は入っていないからそこは大丈夫だが……。
買い物袋をぶら下げながら、キョロキョロと足早に徘徊していると、面倒な酔っぱらいに出くわした。
「お、女じゃねぇか! 貧相な身体してんなぁ……ちゃんと食ってんのか?」
「……。」
「無視か? ん? よく見りゃお前、いい女じゃねぇか、太ればいいのに、もったいねぇ。」
酒臭い顔を近付けて、私の顔を覗き込んでくるおっさんが気持ち悪い。アソコ蹴り飛ばして逃げる? でも、迷子で逃げる場所がわからない。
怒らせて捕まったら、それこそ危ない。
こんな時、スマホがあれば解決なんだけど……。
「あの……私、道に迷ってしまいまして……花街はどちらですか?」
「声も可愛いじゃねぇか! うへへっ! ……ん? 嬢ちゃん迷子か? 花街に行きてぇのか?」
一か八か、道案内がてら花街に連れて行ってくれないかな、の作戦にでたが、難しいかもしれない。
花街と聞いた途端、おっさんの鼻の下がさらに伸びてしまった気がする。
「やっぱり結構です、失礼しますね。」
「待ちなっ連れてってやるよ、花街。」
いやぁ~、コレ絶対連れてかずにどっかで強姦されるパターンじゃん……。本当にどうしよう……。
警備員さんとかいないわけ?
誰か助けてくれないか、と、キョロキョロと周囲を見回すも、誰も目を合わせようとしてくれない。
……そんなもんだよね……どこの世界も一緒か。
「ほらっこっちだ!」
「っ痛!」
酔っぱらいの馬鹿力で腕を掴まれ、怪しい路地に連れ込まれそうになる。
「っやめて! 離してよ! 嫌だってば!」
「うるせぇな、騒ぐんじゃねぇよ!」
「痛いっ! 誰かっ! 見てないで助けてよ! ねぇ! どうして無視するの!」
道行く人に助けを求めるも、やはり皆面倒事には巻き込まれたくないのだろう、ヒーローは現れてくれそうにない。
仕方ない……客だと思って手と口だけで逝かせて、その隙に逃げるか。
不潔そうだから、超嫌だけど……。
それでもやっぱり悔しい……チカラで女をどうにか出来ると思ってるクソ男も、やっぱりチカラで敵わない無力な自分も……っ。
「イヤっ! やめてっ離してよ!」
抵抗してはいるが、いとも簡単におっさんに引きずられてしまい、悔し涙が溢れ出したその時だった。
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