燃える銃弾

後編

思惑

「あの男はどこへ行った」「申し訳ありません」芝警察署ではS・A・Tは引き下がり、榊原は警視正の眞鍋に何が起きたのかを伝えていた、「早く真城の居場所を見つけなければ」榊原は警視正に伝え、その場から素早く去ると、共に三上が警視正のもとへと駆けつけた、「眞鍋警視正ご報告があります」「すまないが今は忙しいんだ、あとにしてくれ」「私が持ってきた情報はまだ本部に預けていません、なぜ真城が狙われているか自分は、ある程度わかっています」三上は普段とは違う力強い目で眞鍋を見つめた、「三上、その話聞かせろ、今は数ある情報が何よりだ」二人は余り捜査員がいない部屋へと移動した。


朝の８時真城が乗っている車は、神戸のとある屋敷みたいな所へと入っていた、中に入ると若い男達が自分達を迎え入れるかのように斜め左へと並び頭を下げている、それは屋敷の扉の方まで続いているように真城には見えた、東、そして小池と呼ばれていた男は平然と入り口まで歩いていると、その前に立ちすくっている男が現れた、「お待ちしていました、会長が痺れをきらしています、」真城はヤクザに殺されるとその時覚悟を決めて前へ進んだ、「見ないうちに随分若頭ぽくなってんじゃねえか山本」東は馴れ馴れしく前に立ちすくむ山本と挨拶を交わしていた、「東さんこちらへ」そう言うと四人は会長のもとへと連れてこられた、会長がいる部屋へと入ると、回りには幹部のような人間が横へと座りその奥のソファで居座っている男が見えた、その男は袴を来てかなりヤバイ人物だとその時すぐに察知した、「阿部川会長、随分長くお待ちいただいたようで、遅くなりました」「待たせ過ぎだぞ東、だがよく連れてきたな」阿部川と名乗る会長は笑いながらそう話してきた、「お前の後にいる男が真城か？」足をくみこちらを会長は除きこんだ、「真城！」東は後を振り向くと、真城は東の胸のポケットに隠している銃を素早く奪い、阿部川に銃口を向けた、「俺を殺す前に、あんたも道連れにする」真城は阿部川に圧をかけたがしばらく阿部川は驚いたがそのあとに又真城に笑みを浮かべた、「やってみろ素人が」そう言うと真城は強く銃を握りしめ叫んだ、「ウォーーー」しかし撃つことが出来ずそのまま小池に銃を奪われ押さえつけられた、「グッ  クソ」「東、優秀なお前が捕まえられなかったのがよくわかったよ」阿部川は立ち上がり床に押さえつけられている真城の前へと来た、「君はなかなかの者だが、一つ勘違いしているようだ」「会長こっからは自分が説明します」東が割って話しかけてきた。


芝警察署では、「三上それは本当か、そのICチップは今どこに」そう眞鍋が言うと三上は胸ポケットからチップを取り出した、「これです」眞鍋は三上の話しに最初は疑っていたが、次々起こる事件にそれ以外の確証が見つからなかった、「恐らくこのチップには、今関東で勢力をあげている白川会を崩せる物があるはずです」今警察組織は関東ヤクザの壊滅には低迷している時期であった、そのため眞鍋は三上の話を聞くと捜査員をすぐさま会議室へと集めだした、会議室に集まる捜査員達は重要人を取り逃がしたことに誰もが不安になっていた、会議室で捜査員達が座る前の席で眞鍋は立ち上がると、不安を打ち消すかのように緊張感を作り出し捜査員を鼓舞した、「現在行方が不明になっている真城大紀、２９歳、恐らく彼は今現在我々が壊滅へと動き出している白川会にとらわれ、危険な状況に置かれている、一刻も早く真城を見つけ出し」話続けると眞鍋は自分のテーブルに置いてあるICチップを取り捜査員達に見せた、「今私が持っているこのチップは白川会壊滅へとつながる大きな鍵だ、警察の威信を懸けて取り組んでくれ」眞鍋が鼓舞したことにより捜査員達に大きな力を組織の団結が強く固まった、その場にいた三上も眞鍋の熱い鼓舞により覚悟を決めた、捜査員達は動き始めた。


夜の８時真城は東と共に関西ヤクザのもとを離れ、余り人通りが少ない所へと車で移動し、海辺の見える所へと車を止めた、真城は屋敷の時決死の覚悟で入り込んだが今まだ生きていることに実感がわかず只じっと雨が降り続ける景色の窓を見つめ考え込んでいた、「真城、お前の役目はわかっているな」東はハンドルを握ったまま辺りを見渡しながら話始めた、「俺を何故解放する」「フッ、今この状況を解決するためには、お前が必要だった、お前もこちらも関東ヤクザを潰すためにな」「あんたはこれからどうするんだ、たしか公安だったんだよな」車内は静かな空気が流れ込んでいる、真城は車を降りようとした瞬間、「警察が所持しているICチップを奪い警視庁へと届けろ、もしお前が逃げたら唯一の母親はどうなるか考えることだな」そう東が言うと真城は東を睨み何も言わず車のドアを閉めた、外は冷たい大雨が降り急いでその場から離れた、車内の中にいる東は車を動かそうとした瞬間携帯から電話が鳴った、「はい、私です、これからそちらに向かいます」。




「プルルル、プルルル」芝警察署の捜査一課へ宛先がわからない電話が鳴り出し一人の捜査員が電話にでた、「はい、こちら芝警察署です」若手刑事の安田が電話にでたが、電話の先が大雨の音によって聞き取りにくい、「すいませんよく聞こえないのですが」電話は微かに聞こえる声を安田はたどった、強い大雨から避けるため、シャッターで閉まっている小さな店の屋根へと雨宿りしながら真城は携帯で電話をかけていた、「芝警察署の三上刑事に用件があるんですが」真城は強く降る雨音に邪魔されながらも大声で話しかけた、「クソ、何で届かねぇんだよ」真城は母親の危険な状況に目に涙を流しながらも落ち着くことができずシャッターの所へ座り込んだ、冷静になれない中だが電話の向こうで聞き覚えのある声が返ってきた、「真城さん、三上です今どこにいるんですか！」