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辺境伯令嬢の婚約者は早く事件を解決したい
23 個別訪問⑥(第四側妃とトバーシュ王女)
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「バルバラ様、アマニから伺いましたわ! 採寸なさったのですって!」
第四側妃の離れに行くと、トバーシュ王女は勢いよくバルバラに駆け寄ってきた。
「耳がお早い」
「私達は仲良しですもん。同じ歳ですし。それに、アマニはよくここに来るんです。向こうではエルデお姉様が何かとお勉強とか公務とか忙しいということで、小さい頃から寂しがってたものだから、こっちで遊ぼうってことになって」
「ふと思ったんだが」
バルバラはそう言いつつ、焦ってこちらへどうぞ、とうながすトレス妃の言葉に従って席についた。
「貴女方は皆仲がいいな。普通後宮とか、側室制があるところは、結構異母きょうだいとは仲が悪くなることがあると思うんだが」
「私達はそういうことはありません! ねえお母様」
「ええ。私もここに入れられる時にはちょっと怖かったのですが……」
たしかこの第四側妃と第五側妃は下級貴族の出だと聞いている。
それを上級貴族の養女として入れているとか。
「でも私を推薦してくださったセレジュ様のお世話もあって、心配することなくやっておりますの」
「先日伺った」
「セインお兄様はバルバラ様から見て如何ですか? 私は結婚するなら、お兄様以上のひとがいいと思うんですが」
「ふむ」
バルバラは注がれた茶を口にしながらやや考える。
「先日、セイン王子とは此奴がチェスを打ったんだが」
「チェスですか! ああ私前々駄目! お母様は?」
「私も駄目ね。セレジュ様は私達の中では一番お強いのですよ。あの方とは対戦なさいましたか?」
「いや、つれなくて」
「確かに。セレジュ様は何処かいつも涼やかにかわしてしまうのですよね」
ふふ、とトレス妃は微笑む。
「皆でチェスをやったことが?」
「国王様がある程度お好きなので、皆一応覚えたのですが。たぶんセレジュ様が一番お強いのだと思いますわ。実際の勝ちは、アマイデ様なのですが」
「実際の勝ち?」
「手を抜いていらっしゃる…… というと失礼なのですが、私達の様に真剣に考えて打つことは無くって。それでもある程度勝ってしまわれて。だからもっと強いのじゃないか、と思うんです。国王様も、よく遠来の客人と打たせようとするんですが、その都度何処か嫌そうなんだ、とおっしゃって」
国王からの伝聞らしい。
「アマイデ様はのびのび打っていらっしゃって、そして勝ったら真剣に嬉しがるのですよ。私はその方が見ていて気持ちいいと思うのですが」
「お母様、そんなことおっしゃるとセレジュ様を非難しているみたいよ」
「あら? そう聞こえたかしら?」
「それより今日は、私、バルバラ様に合う服の色の話をしたいと思っていたのに!」
「む」
バルバラはこの少女の威力にはなかなかどう反応していいのか難しそうだ。
そこでゼムリャが口を挟む。
「トバーシュ様は、そんなにバルバラ様にドレスを着てもらいたいのですか?」
「勿論! だって、バルバラ様、私とそう変わらないから!」
あ。
俺はゼムリャと顔を見合わせた。
確かに。
アマニ王女はもう少し小柄だったのだが、同じ十三歳のトバーシュ王女は、背格好がバルバラとそう変わらないのだ。
無論それは、トバーシュ王女が歳の割に大きいから、ということではない。
これは逃げられないな、と俺もゼムリャも覚悟を決めた。
第四側妃の離れに行くと、トバーシュ王女は勢いよくバルバラに駆け寄ってきた。
「耳がお早い」
「私達は仲良しですもん。同じ歳ですし。それに、アマニはよくここに来るんです。向こうではエルデお姉様が何かとお勉強とか公務とか忙しいということで、小さい頃から寂しがってたものだから、こっちで遊ぼうってことになって」
「ふと思ったんだが」
バルバラはそう言いつつ、焦ってこちらへどうぞ、とうながすトレス妃の言葉に従って席についた。
「貴女方は皆仲がいいな。普通後宮とか、側室制があるところは、結構異母きょうだいとは仲が悪くなることがあると思うんだが」
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「先日伺った」
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「ふむ」
バルバラは注がれた茶を口にしながらやや考える。
「先日、セイン王子とは此奴がチェスを打ったんだが」
「チェスですか! ああ私前々駄目! お母様は?」
「私も駄目ね。セレジュ様は私達の中では一番お強いのですよ。あの方とは対戦なさいましたか?」
「いや、つれなくて」
「確かに。セレジュ様は何処かいつも涼やかにかわしてしまうのですよね」
ふふ、とトレス妃は微笑む。
「皆でチェスをやったことが?」
「国王様がある程度お好きなので、皆一応覚えたのですが。たぶんセレジュ様が一番お強いのだと思いますわ。実際の勝ちは、アマイデ様なのですが」
「実際の勝ち?」
「手を抜いていらっしゃる…… というと失礼なのですが、私達の様に真剣に考えて打つことは無くって。それでもある程度勝ってしまわれて。だからもっと強いのじゃないか、と思うんです。国王様も、よく遠来の客人と打たせようとするんですが、その都度何処か嫌そうなんだ、とおっしゃって」
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「アマイデ様はのびのび打っていらっしゃって、そして勝ったら真剣に嬉しがるのですよ。私はその方が見ていて気持ちいいと思うのですが」
「お母様、そんなことおっしゃるとセレジュ様を非難しているみたいよ」
「あら? そう聞こえたかしら?」
「それより今日は、私、バルバラ様に合う服の色の話をしたいと思っていたのに!」
「む」
バルバラはこの少女の威力にはなかなかどう反応していいのか難しそうだ。
そこでゼムリャが口を挟む。
「トバーシュ様は、そんなにバルバラ様にドレスを着てもらいたいのですか?」
「勿論! だって、バルバラ様、私とそう変わらないから!」
あ。
俺はゼムリャと顔を見合わせた。
確かに。
アマニ王女はもう少し小柄だったのだが、同じ十三歳のトバーシュ王女は、背格好がバルバラとそう変わらないのだ。
無論それは、トバーシュ王女が歳の割に大きいから、ということではない。
これは逃げられないな、と俺もゼムリャも覚悟を決めた。
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