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O オクタヴィア(皇妃よりなりたかったもの)
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「オクタヴィア! お前の度重なるアンナ嬢への度重なるいじめ、俺はもう我慢ならない! ここにお前との婚約を破棄する! この場から立ち去れ!」
パーティの席上。
私を指さし、ふわふわした見掛けの少女を横に抱え、皇太子は言い放った。
「それは困るんですが」
「何故だ」
「今日この卒業パーティで学業の最優等賞のメダルを下賜されることになっております」
「却下だ!」
「殿下それはなりませぬ」
すっ、と横から生徒会の役員二人が皇太子の前に立ち塞がる。
「我ら学園で学ぶ者にとって、それは何よりも誇りある称号。その主役が居なくてどうなるのですか」
「道義的な部分は後に伺いましょう。同期の誇りであるオクタヴィアをこの場から排することはたとえ殿下でも」
くっ、と悔しげに殿下は歯を食いしばった。
「ありがとうお二方。そして殿下、私、婚約破棄は仰せの通り受け容れましょう」
「お、おう……」
「私は元々文官になるのが夢だったのですから! 閉ざされていたその道を開いてくれてありがとうございます!」
わあっ、と周囲の同期達の声が上がった。
殿下とアンナ嬢はうへぇ、という顔になっているが仕方ない。
この帝国は実力重視の国なのだから。親が決めた婚約よりも。
パーティの席上。
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すっ、と横から生徒会の役員二人が皇太子の前に立ち塞がる。
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