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194 ポーレの結婚式④旅立つ直前
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宴の翌々日、二人が任地の南東辺境領へと向かうこととなり、テンダー達は帝都総合中央駅まで見送りに出た。
広い総合駅では見送りのための個室というものがある。
無論庶民はそうそう借りるものではない。通常の待合室の一角を陣取るのが普通だ。
だが今回は別だった。
何せやはり人員が多い。
「今度この面子で集まることができるのはいつかしらね」
ふう、とヘリテージュはため息をつく。
そう、この日は南東の任地へ行くポーレ達だけでなく、戻るキリューテリャ達、そして北西に戻るリューミン達も同じ日にしたのだ。
何だかんだ言って、皆それぞれの場所での役割があり、合間を抜けてきたのだ。
「姫様はまたすぐにこっちに来ますし、私も布地の関係ではできるだけ出張の機会を増やしますし」
「その前ににキリーも結婚しなくちゃ。お父様がしつこいのよ。お前がもたもたしているからキリー嬢がなかなか嫁に行けないって」
「別に話が無い訳ではないですよ姫。そのうち! します!」
その時には来てね、と皆にちら、とキリューテリャは目をやる。
「海の神様っていうのも興味深いわね」
「ぜひ招待してね」
「っていうか、そもそも結婚式しなかった誰かさんも居るし!」
エンジュはちら、とセレの方を見た。
「あ、いやまあ、別にいいじゃないか。ともかく時間なかったし。一応家族の前ではしたし」
セレは困った様に短い髪をかき回す。
今回のポーレの件でセレは言わなかったことが正解だと胸をなで下ろしていたのだ。
友人達は愛すべき者だが、どうにもお祭り騒ぎにされるのは困ったものだった。
特に自分の場合はあまりにも立場が違い過ぎる。
下手にこんな各界の著名人達が関わっていると知れたら、技師や研究者としての社内での立場というものが夫婦して微妙になる。
言えば分かってくれるとは思うのだが、……まあ、彼女の場合は時期と物理的に忙しかったのだ。
正直、ポーレもよくこれだけ好きにさせてやったな、とセレは思わないでもない。
そんな視線に気付いたのか、ポーレはこそっとセレに耳打ちした。
「私は何事も大丈夫ですよ。面白がれるだけの度胸は帝都で付けさせていただきました」
そしてにっこりとポーレは微笑む。
ポーレにとって帝都での生活のうち、気持ちが一番騒いだのはヘリテージュのサロンに連れていかれた辺りだった。
テンダーも気を遣ってくれなかった訳ではないが、やはり元々の身分がまるで違うヘリテージュに気さくに話して欲しい、と言われることには少なからずプレッシャーがあったのだ。
「高位貴族のお嬢様」を「テンダー様のお友達」に変換するのはなかなか内心の苦労があった。
そこを乗り越えてしまうのが、ポーレにとっての一番の山だった。
越えてしまえばあとはもう怖いものはなかった。
特にカメリアの工房から独立してからは、何事も躊躇する暇が無かった。
仕事自体もそうだが、ともかく目立つため、宣伝のための行動には躊躇は不要だった。
たださすがにそんな日々ばかりだと疲れてしまう。
ポーレにはテンダーと違って学生時代というものが無かった。
この「お祭り感覚」には時々疲れてしまうこともあったのだ。
そんな折りに出会うこととなったのが今現在横に居る夫君となったエイザンだった。
彼と居るとほっとした。息がつけた。
仕事は楽しい。宣伝活動も。
それでも息抜きできる場所が必要だった。
だがテンダーに言うことはできなかった。
この主人兼乳姉妹には理解ができないことだということをポーレは知っていた。 男の側で安らげるということを、テンダーにはさすがに言えなかった。
だからその件はさておき、ともかくいい縁がありましたよね、という形に持っていったのだ。
そしてポーレとしては、テンダーが発表会の時にヒドゥンの手を取れたことに驚き、そして心から安堵したのだった。
ああこれで大丈夫、と。
広い総合駅では見送りのための個室というものがある。
無論庶民はそうそう借りるものではない。通常の待合室の一角を陣取るのが普通だ。
だが今回は別だった。
何せやはり人員が多い。
「今度この面子で集まることができるのはいつかしらね」
ふう、とヘリテージュはため息をつく。
そう、この日は南東の任地へ行くポーレ達だけでなく、戻るキリューテリャ達、そして北西に戻るリューミン達も同じ日にしたのだ。
何だかんだ言って、皆それぞれの場所での役割があり、合間を抜けてきたのだ。
「姫様はまたすぐにこっちに来ますし、私も布地の関係ではできるだけ出張の機会を増やしますし」
「その前ににキリーも結婚しなくちゃ。お父様がしつこいのよ。お前がもたもたしているからキリー嬢がなかなか嫁に行けないって」
「別に話が無い訳ではないですよ姫。そのうち! します!」
その時には来てね、と皆にちら、とキリューテリャは目をやる。
「海の神様っていうのも興味深いわね」
「ぜひ招待してね」
「っていうか、そもそも結婚式しなかった誰かさんも居るし!」
エンジュはちら、とセレの方を見た。
「あ、いやまあ、別にいいじゃないか。ともかく時間なかったし。一応家族の前ではしたし」
セレは困った様に短い髪をかき回す。
今回のポーレの件でセレは言わなかったことが正解だと胸をなで下ろしていたのだ。
友人達は愛すべき者だが、どうにもお祭り騒ぎにされるのは困ったものだった。
特に自分の場合はあまりにも立場が違い過ぎる。
下手にこんな各界の著名人達が関わっていると知れたら、技師や研究者としての社内での立場というものが夫婦して微妙になる。
言えば分かってくれるとは思うのだが、……まあ、彼女の場合は時期と物理的に忙しかったのだ。
正直、ポーレもよくこれだけ好きにさせてやったな、とセレは思わないでもない。
そんな視線に気付いたのか、ポーレはこそっとセレに耳打ちした。
「私は何事も大丈夫ですよ。面白がれるだけの度胸は帝都で付けさせていただきました」
そしてにっこりとポーレは微笑む。
ポーレにとって帝都での生活のうち、気持ちが一番騒いだのはヘリテージュのサロンに連れていかれた辺りだった。
テンダーも気を遣ってくれなかった訳ではないが、やはり元々の身分がまるで違うヘリテージュに気さくに話して欲しい、と言われることには少なからずプレッシャーがあったのだ。
「高位貴族のお嬢様」を「テンダー様のお友達」に変換するのはなかなか内心の苦労があった。
そこを乗り越えてしまうのが、ポーレにとっての一番の山だった。
越えてしまえばあとはもう怖いものはなかった。
特にカメリアの工房から独立してからは、何事も躊躇する暇が無かった。
仕事自体もそうだが、ともかく目立つため、宣伝のための行動には躊躇は不要だった。
たださすがにそんな日々ばかりだと疲れてしまう。
ポーレにはテンダーと違って学生時代というものが無かった。
この「お祭り感覚」には時々疲れてしまうこともあったのだ。
そんな折りに出会うこととなったのが今現在横に居る夫君となったエイザンだった。
彼と居るとほっとした。息がつけた。
仕事は楽しい。宣伝活動も。
それでも息抜きできる場所が必要だった。
だがテンダーに言うことはできなかった。
この主人兼乳姉妹には理解ができないことだということをポーレは知っていた。 男の側で安らげるということを、テンダーにはさすがに言えなかった。
だからその件はさておき、ともかくいい縁がありましたよね、という形に持っていったのだ。
そしてポーレとしては、テンダーが発表会の時にヒドゥンの手を取れたことに驚き、そして心から安堵したのだった。
ああこれで大丈夫、と。
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