64 / 65
第64話 5/25-B やっと解除。
しおりを挟む
「おー、全国的に解除されたな」
メシを口にかっこみながら兄貴が言った。
「何かほっとするわー。ここいらのど田舎に何かあるとはまあ思ってなかったけど、何っっっっかどっか行っちゃいけないんだろなー、とか県越えたら空気が悪くなるんじゃないかって思いすぎでさー」
「確かに」
時々かーさんを車で隣の県の病院に連れてくたび、そう思った。
「まあだいたい健康で喉とか悪くないなら元々いいんじゃないかとは思うけどさ」
「おかげでお義父さん煙草やめてくれたし?」
ねーさんはかーさんに向かって言う。当の本人はまだやり残したことがあるということでビニルハウスに居る。
ということでさらっと口に出してみた。
「ところでさー、ユクの奴と一緒に暮らそうと思うんだけど」
「へ? あんた等今も一緒に住んでるようなもんだろ?」
「まーそうなんだけど」
かーさんの反応にねーさんが苦笑いする。アタシの言いだしたさげなことを半ば予想してるとみた。
「いやまあずっと暮らそうかなあと」
「あー」
あー? 大きくうなづきながらのその反応に娘達も息子も嫁も皆一斉に微妙な顔をした。
「まーあんた等ならいいんじゃね?」
「いいんかよ」
兄貴がそう言いやがる。
「いやだってお前、これが男に興味あったことあったか?」
「……ねーな」
「小ちゃい頃からユクちゃんユクちゃんで、どっちも戻ってきたらべったりで、時々とんでもない声出してるくらいだし」
「かーさん……」
知ってたんかい、このひと。
「まあ養子縁組の籍入れる方法は知らんけど、もし保証人必要ならこっちにしときな」
そう言って兄貴達の方を指す。
「俺等かい!?」
「悪いかい?」
「悪くはないけどさ」
「まー父さんも今っ更あんたに夢なんか持ってないけどさ、まあ一応。気がついたら向こうの籍に入ってたー、くらいにしときな。こういうの結構男親の方がショックだよ」
「ういっす……」
「けどヨツバちゃん、それもうユクちゃんに言ってあるの?」
「まだー。まあ完全に断らないとは思うけど。生活が変わる訳じゃないし」
「つかお前等相変わらずここにメシ食いに来る予定だろ」
「つか生活は変わらないし」
「そんじゃ何でわざわざ?」
そう聞いたのはイツハだった。
「んー。やっぱあいつが今本当に一人だからさあ、何かあった時に怖いなーと思って」
ああ、と皆うなづいた。
メシを口にかっこみながら兄貴が言った。
「何かほっとするわー。ここいらのど田舎に何かあるとはまあ思ってなかったけど、何っっっっかどっか行っちゃいけないんだろなー、とか県越えたら空気が悪くなるんじゃないかって思いすぎでさー」
「確かに」
時々かーさんを車で隣の県の病院に連れてくたび、そう思った。
「まあだいたい健康で喉とか悪くないなら元々いいんじゃないかとは思うけどさ」
「おかげでお義父さん煙草やめてくれたし?」
ねーさんはかーさんに向かって言う。当の本人はまだやり残したことがあるということでビニルハウスに居る。
ということでさらっと口に出してみた。
「ところでさー、ユクの奴と一緒に暮らそうと思うんだけど」
「へ? あんた等今も一緒に住んでるようなもんだろ?」
「まーそうなんだけど」
かーさんの反応にねーさんが苦笑いする。アタシの言いだしたさげなことを半ば予想してるとみた。
「いやまあずっと暮らそうかなあと」
「あー」
あー? 大きくうなづきながらのその反応に娘達も息子も嫁も皆一斉に微妙な顔をした。
「まーあんた等ならいいんじゃね?」
「いいんかよ」
兄貴がそう言いやがる。
「いやだってお前、これが男に興味あったことあったか?」
「……ねーな」
「小ちゃい頃からユクちゃんユクちゃんで、どっちも戻ってきたらべったりで、時々とんでもない声出してるくらいだし」
「かーさん……」
知ってたんかい、このひと。
「まあ養子縁組の籍入れる方法は知らんけど、もし保証人必要ならこっちにしときな」
そう言って兄貴達の方を指す。
「俺等かい!?」
「悪いかい?」
「悪くはないけどさ」
「まー父さんも今っ更あんたに夢なんか持ってないけどさ、まあ一応。気がついたら向こうの籍に入ってたー、くらいにしときな。こういうの結構男親の方がショックだよ」
「ういっす……」
「けどヨツバちゃん、それもうユクちゃんに言ってあるの?」
「まだー。まあ完全に断らないとは思うけど。生活が変わる訳じゃないし」
「つかお前等相変わらずここにメシ食いに来る予定だろ」
「つか生活は変わらないし」
「そんじゃ何でわざわざ?」
そう聞いたのはイツハだった。
「んー。やっぱあいつが今本当に一人だからさあ、何かあった時に怖いなーと思って」
ああ、と皆うなづいた。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる