57 / 65
第57話 5/16-B 知らない側からすると
しおりを挟む
つか確かにこいつの説明は昔から判りやすかったんだよなー。
「そもそも源氏って女官とか姫さんとか、少女マンガを回し読みしてた様なもんなんだって」
「そうかいな」
「主人公の源氏だってさあ、まあ本当は源の何とかって名前があるけど」
「へ? 光源氏って名前じゃねえの?」
「光ってのはあだ名。本当の名は出てこないよー。つか、本名出てきたの、この中では玉鬘の君だけだし」
「たまかずら?」
「源氏が若い時下町で知り合って時々通ってた夕顔の君が物の怪に取り殺されてるんだけど、彼女には娘が居たんだよね。それが実は義理の兄で友人の通称頭中将との間にできてる」
「世界って狭いー」
「そら狭いよ。だってこの時代の話って基本的に京の都と、せいぜい牛車で行ける距離のとこだよ。まあ玉鬘は九州から京まで逃げてきたんだけど」
「何で?」
「向こうで美しい姫が欲しい! って地元のむくつけき男に求婚されて、しないと自分を育ててくれたひと達に危害が加えられそうだったから」
「世知辛いねー」
「でも都で引き取ってくれたのは本当の父親ではなく、その友人の源氏なんだよな。あ、そうそう、その玉鬘が藤原の瑠璃君と呼ばれていた、ってあるんだよな。まーこれも幼名で、何かしら大人になるときちんとした名がつけられる訳だー。だけどその名前も、この時代の場合はそうそう作者紫式部もそうだけどきっちり残る訳でないんだよな。だれそれの娘とかだれそれの母とか」
「そーいや百人一首にもあったなあ」
「だろ?」
「名前にしては面倒だなーと思ってたけど」
「それだけかい」
「うん」
いやだって、全部名前だよな、とそのまんまアタシは信じてたもの。こいつの解説が無い時には。
「だから例えば蜻蛉日記を書いたひとだって、あくまで藤原道綱くんの母なんだよな」
「どっかの奥さんではあったんだよな」
「蜻蛉日記は正妻じゃないけど気位の高い女性の日記だからもう何というかどろどろだわな」
「正妻じゃないっていうと何だ、愛人?」
「いや一応妻なんだよ。相手は当時の偉い人だし、息子もその関係でちゃんと官位も貰えるし。だけど自分より低い身分の女に夫の心が移るとどろどろ……」
「むむむむむむ」
「趣味じゃねーがな。まだ和泉式部日記の方がさっぱりしてる」
「あ!」
「何」
「そーいえば百人一首で紫式部と和泉式部は親戚だと思ってたことがあった」
「お前なー」
まあまあ、と背後からむしゅ、と乳を揉む。あーやらかいのは癒やし。
「そもそも源氏って女官とか姫さんとか、少女マンガを回し読みしてた様なもんなんだって」
「そうかいな」
「主人公の源氏だってさあ、まあ本当は源の何とかって名前があるけど」
「へ? 光源氏って名前じゃねえの?」
「光ってのはあだ名。本当の名は出てこないよー。つか、本名出てきたの、この中では玉鬘の君だけだし」
「たまかずら?」
「源氏が若い時下町で知り合って時々通ってた夕顔の君が物の怪に取り殺されてるんだけど、彼女には娘が居たんだよね。それが実は義理の兄で友人の通称頭中将との間にできてる」
「世界って狭いー」
「そら狭いよ。だってこの時代の話って基本的に京の都と、せいぜい牛車で行ける距離のとこだよ。まあ玉鬘は九州から京まで逃げてきたんだけど」
「何で?」
「向こうで美しい姫が欲しい! って地元のむくつけき男に求婚されて、しないと自分を育ててくれたひと達に危害が加えられそうだったから」
「世知辛いねー」
「でも都で引き取ってくれたのは本当の父親ではなく、その友人の源氏なんだよな。あ、そうそう、その玉鬘が藤原の瑠璃君と呼ばれていた、ってあるんだよな。まーこれも幼名で、何かしら大人になるときちんとした名がつけられる訳だー。だけどその名前も、この時代の場合はそうそう作者紫式部もそうだけどきっちり残る訳でないんだよな。だれそれの娘とかだれそれの母とか」
「そーいや百人一首にもあったなあ」
「だろ?」
「名前にしては面倒だなーと思ってたけど」
「それだけかい」
「うん」
いやだって、全部名前だよな、とそのまんまアタシは信じてたもの。こいつの解説が無い時には。
「だから例えば蜻蛉日記を書いたひとだって、あくまで藤原道綱くんの母なんだよな」
「どっかの奥さんではあったんだよな」
「蜻蛉日記は正妻じゃないけど気位の高い女性の日記だからもう何というかどろどろだわな」
「正妻じゃないっていうと何だ、愛人?」
「いや一応妻なんだよ。相手は当時の偉い人だし、息子もその関係でちゃんと官位も貰えるし。だけど自分より低い身分の女に夫の心が移るとどろどろ……」
「むむむむむむ」
「趣味じゃねーがな。まだ和泉式部日記の方がさっぱりしてる」
「あ!」
「何」
「そーいえば百人一首で紫式部と和泉式部は親戚だと思ってたことがあった」
「お前なー」
まあまあ、と背後からむしゅ、と乳を揉む。あーやらかいのは癒やし。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら侯爵令嬢だった~メイベル・ラッシュはかたじけない~
おてんば松尾
恋愛
侯爵令嬢のメイベル・ラッシュは、跡継ぎとして幼少期から厳しい教育を受けて育てられた。
婚約者のレイン・ウィスパーは伯爵家の次男騎士科にいる同級生だ。見目麗しく、学業の成績も良いことから、メイベルの婚約者となる。
しかし、妹のサーシャとレインは互いに愛し合っているようだった。
二人が会っているところを何度もメイベルは見かけていた。
彼は婚約者として自分を大切にしてくれているが、それ以上に妹との仲が良い。
恋人同士のように振舞う彼らとの関係にメイベルは悩まされていた。
ある日、メイベルは窓から落ちる事故に遭い、自分の中の過去の記憶がよみがえった。
それは、この世界ではない別の世界に生きていた時の記憶だった。
最後に選ばれたのは、妹ではなく私でした
新野乃花(大舟)
恋愛
ある日、ミリアはドリス伯爵から婚約関係を結ばされる。しかしそこにあったのはミリアに対する愛情ではなく、ミリアの妹であるセシーナに対する愛情だった。伯爵はミリアの事をセシーナの身代わりとして婚約を企み、ミリアにはセシーナとして振舞うよう命令していた。二人の関係は後にドリスが婚約破棄を告げることで終わりを迎えることになるものの、その時セシーナの本性を知ったドリス伯爵は、ミリアを愛さなかった過去の自分の行いを後悔することとなり…。
怒れるおせっかい奥様
asamurasaki
恋愛
ベレッタ・サウスカールトンは出産時に前世の記憶を思い出した。
可愛い男の子を産んだその瞬間にベレッタは前世の記憶が怒涛のことく甦った。
日本人ので三人の子持ちで孫もいた60代女性だった記憶だ。
そして今までのベレッタの人生も一緒に思い出した。
コローラル子爵家第一女として生まれたけど、実の母はベレッタが4歳の時に急な病で亡くなった。
そして母の喪が明けてすぐに父が愛人とその子を連れて帰ってきた。
それからベレッタは継母と同い年の義妹に虐げられてきた。
父も一緒になって虐げてくるクズ。
そしてベレッタは18歳でこの国の貴族なら通うことが義務付けられてるアカデミーを卒業してすぐに父の持ってきた縁談で結婚して厄介払いされた。
相手はフィンレル・サウスカールトン侯爵22歳。
子爵令嬢か侯爵と結婚なんて…恵まれているはずがない!
あのクズが持ってきた縁談だ、資金援助を条件に訳あり侯爵に嫁がされた。
そのベレッタは結婚してからも侯爵家で夫には見向きもされず、使用人には冷遇されている。
白い結婚でなかったのは侯爵がどうしても後継ぎを必要としていたからだ。
良かったのか悪かったのか、初夜のたったの一度でベレッタは妊娠して子を生んだ。
前世60代だった私が転生して19歳の少女になった訳よね?
ゲームの世界に転生ってやつかしら?でも私の20代後半の娘は恋愛ゲームやそういう異世界転生とかの小説が好きで私によく話していたけど、私はあまり知らないから娘が話してたことしかわからないから、当然どこの世界なのかわからないのよ。
どうして転生したのが私だったのかしら?
でもそんなこと言ってる場合じゃないわ!
あの私に無関心な夫とよく似ている息子とはいえ、私がお腹を痛めて生んだ愛しい我が子よ!
子供がいないなら離縁して平民になり生きていってもいいけど、子供がいるなら話は別。
私は自分の息子の為、そして私の為に離縁などしないわ!
無関心夫なんて宛にせず私が息子を立派な侯爵になるようにしてみせるわ!
前世60代女性だった孫にばぁばと言われていたベレッタが立ち上がる!
無関心夫の愛なんて求めてないけど夫にも事情があり夫にはガツンガツン言葉で責めて凹ませますが、夫へのざまあはありません。
他の人たちのざまあはアリ。
ユルユル設定です。
ご了承下さい。
【完結】試される愛の果て
野村にれ
恋愛
一つの爵位の差も大きいとされるデュラート王国。
スノー・レリリス伯爵令嬢は、恵まれた家庭環境とは言えず、
8歳の頃から家族と離れて、祖父母と暮らしていた。
8年後、学園に入学しなくてはならず、生家に戻ることになった。
その後、思いがけない相手から婚約を申し込まれることになるが、
それは喜ぶべき縁談ではなかった。
断ることなったはずが、相手と関わることによって、
知りたくもない思惑が明らかになっていく。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
奪われたものは、もう返さなくていいです
gacchi
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……
傷モノ令嬢は冷徹辺境伯に溺愛される
中山紡希
恋愛
父の再婚後、絶世の美女と名高きアイリーンは意地悪な継母と義妹に虐げられる日々を送っていた。
実は、彼女の目元にはある事件をキッカケに痛々しい傷ができてしまった。
それ以来「傷モノ」として扱われ、屋敷に軟禁されて過ごしてきた。
ある日、ひょんなことから仮面舞踏会に参加することに。
目元の傷を隠して参加するアイリーンだが、義妹のソニアによって仮面が剥がされてしまう。
すると、なぜか冷徹辺境伯と呼ばれているエドガーが跪まずき、アイリーンに「結婚してください」と求婚する。
抜群の容姿の良さで社交界で人気のあるエドガーだが、実はある重要な秘密を抱えていて……?
傷モノになったアイリーンが冷徹辺境伯のエドガーに
たっぷり愛され甘やかされるお話。
このお話は書き終えていますので、最後までお楽しみ頂けます。
修正をしながら順次更新していきます。
また、この作品は全年齢ですが、私の他の作品はRシーンありのものがあります。
もし御覧頂けた際にはご注意ください。
※注意※他サイトにも別名義で投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる