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第54話 5/14-B 枕で枕のはなし
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「つまり話の枕とか枕もとに置く冊子とか、そーいうことも色々兼ねてそう言ってるわけ」
というのを寝物語にして二晩ー!
ついついスイッチが入ってしまったらしい。
いやまあそうだよなとは思う。
こいつ基本的に自分の得意分野を話せる時にはがーっと話し出すんだよな。
まあそれについていける奴はここいらには居ない。こいつの専門分野に関わってる奴がこの辺りに居るかいっ!
なので奴はだいたいそういう話は電話だのメールだのネットで発散させているんだが、時々まじで「講義」したくなるんだと。
半分は自分の記憶の確認、らしいが…… 記憶ってのはなあ……
「ちなみに何で清少納言って名なんだっけ?」
ごろんとこいつの方を向きながらそう訊ねたら。
「前も言っただろ! 清原さんなんだってば! 清原何とかさんなんだけど、その名前ははっきりしてなくて」
「清原の少納言ってことかー。女でそういう地位になれたって凄いね」
「それ違う。あだ名。候名って言って、仕える時専用の名をつけてもらうの」
「んじゃ少納言っていうのは?」
まあ一応少納言中納言大納言(そう言えば大納言もなかとかそういうお菓子があったよーな記憶が)ってのが大将中将少将の様に地位の様な職のようなもの、ってことは何とか覚えた。もう何度も講義されてるからな!
「これが今一つはっきりしないんだよー。父親とか親戚とか身近な男性の官位とか任国とかから付けるんだけどさ、今一つこの清原元輔さんの娘さんの場合出所がわかんないんだよ」
「へえー。源氏の作者の方は」
「あっちははっきりしてるんだけど。でもあっちはあっちでまた問題があって」
「何」
「一応本名は『香子』じゃないか? ということと、藤原為時の娘で惟規のねーさんじゃないかとは出てるのね。で、実際に当時香子ってひとが居ることは居るんだけど、その本当に作者かどうかというのがはっきりしないんだわ」
「日記もあるんだろ? 確かお前途中から愚痴手紙になるって言ってた」
「はじめは仕えてる中宮のお産が凄い! 素晴らしい! 綺麗! とちゃんと色々書いてるんだけど、途中から何故かどんどん人物評みたいのになってくんだわ。文章も鬱陶しいものになってくし」
「名作の著者だろ?」
「名作の著者が必ずしもいい人とは限りませんー。それに日記自体も本当にそれ全体でまとまったものなのか、というとこれはこれでまだわかってないし」
「面倒……」
うん、絶対アタシには関われない世界だ。
というのを寝物語にして二晩ー!
ついついスイッチが入ってしまったらしい。
いやまあそうだよなとは思う。
こいつ基本的に自分の得意分野を話せる時にはがーっと話し出すんだよな。
まあそれについていける奴はここいらには居ない。こいつの専門分野に関わってる奴がこの辺りに居るかいっ!
なので奴はだいたいそういう話は電話だのメールだのネットで発散させているんだが、時々まじで「講義」したくなるんだと。
半分は自分の記憶の確認、らしいが…… 記憶ってのはなあ……
「ちなみに何で清少納言って名なんだっけ?」
ごろんとこいつの方を向きながらそう訊ねたら。
「前も言っただろ! 清原さんなんだってば! 清原何とかさんなんだけど、その名前ははっきりしてなくて」
「清原の少納言ってことかー。女でそういう地位になれたって凄いね」
「それ違う。あだ名。候名って言って、仕える時専用の名をつけてもらうの」
「んじゃ少納言っていうのは?」
まあ一応少納言中納言大納言(そう言えば大納言もなかとかそういうお菓子があったよーな記憶が)ってのが大将中将少将の様に地位の様な職のようなもの、ってことは何とか覚えた。もう何度も講義されてるからな!
「これが今一つはっきりしないんだよー。父親とか親戚とか身近な男性の官位とか任国とかから付けるんだけどさ、今一つこの清原元輔さんの娘さんの場合出所がわかんないんだよ」
「へえー。源氏の作者の方は」
「あっちははっきりしてるんだけど。でもあっちはあっちでまた問題があって」
「何」
「一応本名は『香子』じゃないか? ということと、藤原為時の娘で惟規のねーさんじゃないかとは出てるのね。で、実際に当時香子ってひとが居ることは居るんだけど、その本当に作者かどうかというのがはっきりしないんだわ」
「日記もあるんだろ? 確かお前途中から愚痴手紙になるって言ってた」
「はじめは仕えてる中宮のお産が凄い! 素晴らしい! 綺麗! とちゃんと色々書いてるんだけど、途中から何故かどんどん人物評みたいのになってくんだわ。文章も鬱陶しいものになってくし」
「名作の著者だろ?」
「名作の著者が必ずしもいい人とは限りませんー。それに日記自体も本当にそれ全体でまとまったものなのか、というとこれはこれでまだわかってないし」
「面倒……」
うん、絶対アタシには関われない世界だ。
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