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第37話 4/29-A そういえば昔

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 すっかり暖かい! というか暑いよ!
 そんで紫外線がきついのでグラサングラサン。

「いやーこれにマスクつけても不審者にならない時代ってのも乙ですなー」

 なんて奴は言うがなあ。目ぇ使うこっちとしては、死活問題なんだ。
 だから湿布にしたって紫外線過敏症系のはできるだけ避けたかったんだよなあ。待てよ?

「おめーはそもそも過敏症無いのかよ」
「いやーアタシは昔からその手のことは無縁で」
「恐ろしい子っ!」
「月影先生っ!」

 こいつあまり本読まないけど、「ガラスの仮面」は少年マンガみたいで面白いーって言って読んでたなあ、そう言えば。
 そーいえばあんまりにも「古文なんか使わないだろーっ!」て昔テストの時にわめいてたので、源氏物語の説明に親父の持ってた「あさきゆめみし」を持ち出してきたっけ。
 たしか枕草子はこれって言うマンガがその時見当たらなかったんで、やっぱり親父の持ってた橋本治の桃尻語だったけど。

「なー、そーいえばユウちゃん勉強の方は大丈夫か?」
「ユースケ? どーだろ。まあ別に本人は困ってないようだけど」

 こいつの兄貴とねーさんの子供達は漢字にすると木綿助ゆうすけきぬっていう。古風だ。
 まあこいつのきょうだい自体が、一樹かずき双葉ふたば三樹みつき四葉よつば五葉いつはってまあ、男は樹で女は葉に数字つけてるっていうのだしなあ。
 ワタシのユクエという名は、実際あの「行方」という漢字を当てはめる。
 人数が少なかった小学校ではともかく、中学ではなかなかに「あいつ居るかー?」「行方不明だぞー」とか言われたもんだ。その都度こいつが乗り込んでいったけど。
 だからまあ苛められずにも済んだと言えるけど。ワタシだけだったらやばかったなー。下手に成績良かったから、浮きかねなかったし。
 高校も通う距離の関係で一緒だったんだけど、さすが普通科とそれ以外があるとこの場合、「イジメとこじゃなーい」という風潮があったのはありがたかった。
 普通科は成績良くても通いづらい子、というのの中で何とか居られたし、専門科に居たこいつとそうでない時は一緒に居たし、つかこいつ人気あったんだよ!
 その意味でやばい視線はあったけど…… まあ何とかやり過ごしたけど……
 当時は今こういう生活しているとは思ってもみなかったなー。

「どっち行くー?」
「池の方ー」

 あくまで散歩なので、靴だけはちゃんと歩き仕様だけど、のたのた里山の方に歩いてく。
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