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第36話 4/29-B 足のツボ

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 朝起きたら、何かむにむに心地よいので、またずるずる寝てしまったー
 なにごとかと思ったら、アタシが昨日やってたマッサージをこいつがやってるじゃないの。腕とか肩とか。

「何っでこいつこんな堅いんだああああ」

とか、

「くそぉ筋肉こんなにありやがって」

とか言ってるのは聞こえたけど、ゆるゆるした揉み心地たまんねー……
 とか思ってうとうとしているうちに、やっぱり何だか腹立ってきたらしく起こされた。

「おはー」
「おはじゃねえよ! 何だよこの揉めない堅さ!」
「ぬはー……」

 いけねまだ頭がぽわぽわしてる。つか昨日何だかんだ言って、あの後ねーさん宛のかこを三つ途中まで仕上げたんだっけ……
 一つは玉ねぎとか重いのを入れるやつ。これは六つ目で太めのひごで編んで補強入れる。
 それから菜っ葉系のために浅手でみっしりと底を菊にしたザルめいたもの。こいつを作るには長い長いひごが必要なのが少々厄介。

「へーこの籠には身ひご使うんだあ」

とこいつは今更の様に言う。まあそうだ。補強と、一番上を〆るのに身ひごの方がいいんだよな。
 最後にまあ何でも使ってくれい、という感じの四つ目。これは底が四角くなる。補強は底だけ。

「おめーの手つき見てると、簡単そうに見えるんだけどなー」

 こいつは四つ目をやろうとして思いっきり失敗していた。六つ目は重なり方がよく判らないから、竹かごの作り方としては基本なんだけどこいつはともかく敬遠する。
 まあ確かに、こいつは色がついてやっと見分けがつくくらいだから、六つ目の重なりは理解するのが難しいだろなー……
 とか何とか言いつつ、起きてからも何かまだ押してるから、よいしょ、とひっくり返して裏返す。

「何だよー」
「足の方にもツボがあってだな」

 そう言って膝裏少し下を押してやる。

「ひえい」
「痛いだろー」
「喜ぶなっーの!」

 んで、その斜め横。ひー、と声がでかいぞ。……つか腕も何だが、運んでたりしゃがんでたりしてるこの運動不足が、足が痛くない訳ねえんだ。

「あとー」

 足首の、くるぶしのすぐ下。ここのツボは……

「痛いー!」
「あー血行悪いなあお前本当に。冷え性だしなー」
「悪いかーい」
「ふくらはぎは第二の心臓ってねー」

 冷え性なのはそもそも運動不足でここいら辺りの筋肉がまるで無いのが原因だとアタシは思ってる。

「毎日散歩しろや」
「だったら一緒に来いや」
「裏山!」
「よし」

 それでいいのか。まあいいか。
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