33 / 65
第33話 4/27-A 竹やぶ
しおりを挟む
マスクやっとできたー! しかも三枚ー!
ちくしょー絶対縫う作業手伝ってくれなかったぜあいつぁー!
いやもう昔っからそうだった。小学校でも中学校でも家庭科の時、ミシン作業が手間取って残らざるを得なかった時も、横で見ててくれるけど絶対に代わりはしてくれなかったものなー!
ミシンはあまり好きじゃねえとか言ってるけど、動かせばできるってことワタシは知ってるんだせえ!
とか何とか眠い目をこすりながらのたのたしていたら、離れに奴が戻ってきた。
「竹採りに行くけど来る?」
「え、行くの?」
「まあだいたい注文のは済んだし。竹藪の状態も見たいし。ここんとこ雨と一緒に風酷かったじゃん。あれで結構ばきばきやられてるからなあ」
ふう、と奴はため息をつく。まあ確かに。時々見に行くけど、選ぶ時の目は厳しいんだよな。真っ直ぐであるか、下手に傷ついて茶色くなっていないか、節が出っ張っていないか。とかとかとか。
「行く行く。でもだいじょーぶ? 結構地盤が緩んでね?」
「うん、その辺りも見たくてさ。来るなら滑らない靴でな」
「へいよっ」
ワタシはそう言って一旦戻った。裏山なんだけど、採る時には数本なんで軽トラに乗ってく。
「一本なら持って来れないことないんだけどさ」
「いやワタシにゃ無理だ」
「まーそうだな、お前のその腕じゃ」
ひょい、と取るワタシの腕には筋肉が実に少ない。ぱちぱちキーボードを叩くばかりの手だから仕方ない。
奴の手は固くて筋肉がついていて、傷を治した跡ばかりだ。
軽トラに乗って行くと言っても、すぐそこだ。ただ藪の中の道には入っていけないので、道の端に止めて。
背負ってる袋には滑り止めのついた手袋と鉈と鋸。
「今日はねーさんから頼まれた籠用だから、ざっくり採ってく」
「いいの?」
「うん。ウチのが壊れそうだから、ってことだから早く作ることのほうが大事」
そーいうもんか。
それにしても竹藪というか竹林というか、その中に風が吹くと本当にかちかちかちかちと音が凄い。
「いい音してますなあ」
「倒れてなけりゃいいんだけどな」
ここは冗談の通じないところだったらしい。
太さとか節の長さを見ながら奴はこれ、と決めた竹を切って行く―――んだが、かなり下の方で鉈を振るっている。
「切った後をちゃんと腐らせないと、次のが出てこれない」
ということで、できるだけその切った後の部分を蹴散らせる程度に刃を入れるとか。
いやもうこういう時には何も言えんわ。惚れ直すぜ。
ちくしょー絶対縫う作業手伝ってくれなかったぜあいつぁー!
いやもう昔っからそうだった。小学校でも中学校でも家庭科の時、ミシン作業が手間取って残らざるを得なかった時も、横で見ててくれるけど絶対に代わりはしてくれなかったものなー!
ミシンはあまり好きじゃねえとか言ってるけど、動かせばできるってことワタシは知ってるんだせえ!
とか何とか眠い目をこすりながらのたのたしていたら、離れに奴が戻ってきた。
「竹採りに行くけど来る?」
「え、行くの?」
「まあだいたい注文のは済んだし。竹藪の状態も見たいし。ここんとこ雨と一緒に風酷かったじゃん。あれで結構ばきばきやられてるからなあ」
ふう、と奴はため息をつく。まあ確かに。時々見に行くけど、選ぶ時の目は厳しいんだよな。真っ直ぐであるか、下手に傷ついて茶色くなっていないか、節が出っ張っていないか。とかとかとか。
「行く行く。でもだいじょーぶ? 結構地盤が緩んでね?」
「うん、その辺りも見たくてさ。来るなら滑らない靴でな」
「へいよっ」
ワタシはそう言って一旦戻った。裏山なんだけど、採る時には数本なんで軽トラに乗ってく。
「一本なら持って来れないことないんだけどさ」
「いやワタシにゃ無理だ」
「まーそうだな、お前のその腕じゃ」
ひょい、と取るワタシの腕には筋肉が実に少ない。ぱちぱちキーボードを叩くばかりの手だから仕方ない。
奴の手は固くて筋肉がついていて、傷を治した跡ばかりだ。
軽トラに乗って行くと言っても、すぐそこだ。ただ藪の中の道には入っていけないので、道の端に止めて。
背負ってる袋には滑り止めのついた手袋と鉈と鋸。
「今日はねーさんから頼まれた籠用だから、ざっくり採ってく」
「いいの?」
「うん。ウチのが壊れそうだから、ってことだから早く作ることのほうが大事」
そーいうもんか。
それにしても竹藪というか竹林というか、その中に風が吹くと本当にかちかちかちかちと音が凄い。
「いい音してますなあ」
「倒れてなけりゃいいんだけどな」
ここは冗談の通じないところだったらしい。
太さとか節の長さを見ながら奴はこれ、と決めた竹を切って行く―――んだが、かなり下の方で鉈を振るっている。
「切った後をちゃんと腐らせないと、次のが出てこれない」
ということで、できるだけその切った後の部分を蹴散らせる程度に刃を入れるとか。
いやもうこういう時には何も言えんわ。惚れ直すぜ。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
わたしと彼女の●●●●●●な関係
悠生ゆう
恋愛
とある会社のとある社員旅行。
恋人(女性)との仲がうまくいていない後輩(女性)と、恋人(男性)からプロポーズされた先輩(女性)のお話。
そして、その旅行の後……
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる