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第27話 4/24-B 手に仕事は大事

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 温泉。うん。行きたいよなあ。
 確かにあの頃はともかく温泉に行ってた。
 行き詰まるとまず風呂! だったしな。
 それでさっぱりしてごはんも美味しく、またそれで課題に取り組む日々だったんだよなー。
 頭も使わない訳ではないけど、まず手。
 ……そーいえばこいつに一度プラテープで籠作りやらせてみたことがあったけど、こっちとあっちと組んで~という説明していたら大混乱してしまったんだっけ……

「同じ色と形のものがこんなにばらばらしてるとダメ~」

と編めなくなってしまった。
 三色四色使わせたら何とかなったけど。目が同じものを別々に動かす時に混乱するんだと。
 うん、絶対こいつには無理。そういうのに全く向いてない。
 でもなー、その代わりアタシにはこいつの様に滅茶苦茶な量の文字見てるんなんて無理だっーの。
 それに比べれば、なあ。小説だって一冊読み通せるか……

 アタシはしょーじき、勉強はまったく縁がない。
 通ってた別府の職業センターの試験の中学卒業程度の数学だって慌ててがんばって詰め込んだくらいだ。あれ倍率数倍なんだぞ。年12名だし。
 あとはもう、面接で思いっきり「じーさんに教わったものを生かしたい、竹を扱うのが好き、もっと上手くなりたい」その他もろもろアピール。
 一応じーさんに教わって作った青竹ものも一つ持ってった。

「これだけでも民具として売れるんじゃない?」

という質問もされたけど、そこは攻めた。

「自分を越えろと祖父に言われましたしそのつもりです」

と。
 覚えて損なことは絶対にない。それに、それ以外のことで何処かに勤めたり、うちの仕事継げるか、っていうとこれも怪しい。
 ずっとウチに居て、家の仕事の手伝いだけしていても、兄貴が継ぐことに決めていたから、そこに嫁さんが来て…… ガキができて…… とやってくと、そのうち来るのは、これだ。

「ヨツバちゃんにいい話があるんだけど……」

 それだけは困る!
 それだけは!
 今でこそ、あいつが戻ってきたから家に住んでるんだけど、そうでなかったらそれこそ何処かで一人暮らしするとこだった。
 あいつが家を管理しなくちゃならない、というか、あいつが残されたものを守ってこっちで生きてくこと決めたからには、アタシはこっちに居ようと思ったんだ。

 ……まあ結果として、こうだらだらとあいつと半同居みたいになったるんだから、結果良ければ何でもいいんだけどさー。
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