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第23話 4/22-B 今やってる作業

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 つかそもそもこいつ、こっちに戻ってきてからずっと一人暮らしやんか。
 で、このあたりではウチ位しか付き合いがないだろ。もともとご両親が付き合いよくない方々だったし。
 まああのひと達、アタシとの仲をやっぱ疑ってたよなー、と今では思うぞ。間違ってねーが。下手に街型だったひとたちだから警戒したかいな。
 そんでそのウチとは、今じゃ離れの離れ程度の、殆ど家族みたいな暮らししてるだろーに……
 何をまた都会のそれみたいなこと言ってるんだこの馬鹿が。
 だいたいアタシとの普段の距離は何だと思ってる。
 それでいて、今アタシ作業してるのが、自分が頼んだ「余った材料でいいから何か作って」ってこと気付かないんだよなあ……
 こっちも始終仕事で頼まれたことばかりやってる訳じゃない。
 それに確かに材料の中でも、「使う部分」ってのは結構少なくて「何でこれ捨てるの?」って部分は多い。つか使えないんだってば!

 だいたい竹は、まず切ると、その真ん中辺りしか細工には使えない。
 上の方、細かい葉のついた部分は、それはそれで葉を落とすまで乾かして、その上で綺麗に束ねれば竹箒の材料になる。
 ただアタシはその作業は残念ながら教わっていない。じーさんも竹箒は専門じゃなかった。
 だから最終的には乾いたその部分は焚きつけの着火剤にされることが多い。細くて早く乾くそれはすぐに火が点く。
 で、使える部分でも、それをある程度の長さまで切る場合と、そのまま長いひごを作るために取る場合もある。
 そのひごにしても、だいたい全体であの厚みのものを基本四枚に剥いで、アタシはそのうちの一番外側の皮ひごと、その次の身ひご一つを使う。1㎜以下の薄さだ。
 ただし身ひごは竹によっては上手く剥げずに取れない時もある。竹の筋の流れによっては、真っ直ぐ割けないこともままある。
 で、二番目の身ひごと、節がそのままついた一番端はまあゴミになってしまう訳だ。
 それを見て、二番目の身ひごがつねに外で乾燥されられた後、焚きつけになってしまうのを見て、勿体無いとか言いだしたんだよなあ……
 ということで二番ひごで編んでみたりしているんだが、難しいんだぞそれが! 一番ひごよりやわになってるし! 水分がどんどん抜ける上にこっちの手の水分もどんどん取ってくんだから!
 それこそいつも水に浸けておいて作ったとしても、乾けば割れる場合もあるんだからな!
 ……そんな奴でとりあえず編んでみてる時点で負けなんだがな……
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