20 / 65
第20話 4/21-B 寒天とゼリー
しおりを挟む
「ねーさんは何で牛乳寒天の方が好き?」
ふと気になって聞いてみた。
「え? 美味しいじゃない」
「ミルクゼリーより?」
「うーん」
義姉さんは料理が上手い。というか手際がいい。それこそ蒸しパンだのプリンだの、一気に沢山できるもののレパートリーが広い。もの凄く助かってる。
「やー、その代わりヨツバちゃんの様には力無いからね」
あはは、と笑ってアタシの前にその牛乳寒天を置いた。
ミルクゼリーとの違いはやっぱり舌触りだ。歯応えだ。
それとスプーンで取る時の感触。
寒天がさくっ、ふるふるっ、ほろり、という感じだとすれば、ゼリーはぷぬっ、ぷるぷるっ、ぷるり、とつけたくなる。
「まー、昔よりずいぶん作るの楽になったなー」
「? 粉溶かしてその中に牛乳と砂糖だよね?」
「いやー、あたしの小さい時はうちのおかんが棒寒天使うひとだったんだよねえ」
「棒寒天?」
「スーパーでさ、乾物のとこに無え? 半透明でかさかさした感じの……」
「ごめん覚えてない」
まあそんなものだよね、とねーさんはうなづく。
「いちいち寒天を水につけてふやかす手間が要るんだよね。あ、ゼラチンもクックゼラチンみたいのじゃなければ今でもふやかすんだよ。時間は寒天ほどじゃないけど。でも今じゃ寒天のもと自体が粉の簡単な奴出ててさー。んで、寒天でもゼリーの様な感触に近いものもできてさー。うーんだから何っていうか、あたしにとって慣れ親しんだ味なんだよね。あのさっぱり感は」
「なるほど」
「……ってお義母さん、作らなかったっけ?」
こそっ、とねーさんは声を潜めた。
「蒸しパンはよく作ったよ。あとその『ポットのお湯で溶ける』寒天ゼリーはね。何せウチきょうだい多かったしさ」
「たーしかに」
「そのうえ時々あいつが来るし」
「逆はなかったの? ユクちゃんとこは」
「あそこのおかーさんは何というか、紅茶にクッキーのひとだったんだよなあ……」
「作らないひとだったんだあ」
「作らない訳じゃないんだけど、何かこだわりがあるらしくって。蒸しパンだったら普通にホットケーキミックスでやればいいじゃん、ってアタシなんか思うんだけどさ、いち黄身白身分けて泡立てて作った生地を蒸すんだよね」
「……それシフォンケーキの作り方と違う?」
「そのへんはわかんね。ただウチの蒸しパンと味は違うなー、とは思ったけど。でもその都度腕が痛そうだったよ」
「……ハンドミキサー使ってなかったの?」
「だからこだわるひとだったんだってば……」
ふと気になって聞いてみた。
「え? 美味しいじゃない」
「ミルクゼリーより?」
「うーん」
義姉さんは料理が上手い。というか手際がいい。それこそ蒸しパンだのプリンだの、一気に沢山できるもののレパートリーが広い。もの凄く助かってる。
「やー、その代わりヨツバちゃんの様には力無いからね」
あはは、と笑ってアタシの前にその牛乳寒天を置いた。
ミルクゼリーとの違いはやっぱり舌触りだ。歯応えだ。
それとスプーンで取る時の感触。
寒天がさくっ、ふるふるっ、ほろり、という感じだとすれば、ゼリーはぷぬっ、ぷるぷるっ、ぷるり、とつけたくなる。
「まー、昔よりずいぶん作るの楽になったなー」
「? 粉溶かしてその中に牛乳と砂糖だよね?」
「いやー、あたしの小さい時はうちのおかんが棒寒天使うひとだったんだよねえ」
「棒寒天?」
「スーパーでさ、乾物のとこに無え? 半透明でかさかさした感じの……」
「ごめん覚えてない」
まあそんなものだよね、とねーさんはうなづく。
「いちいち寒天を水につけてふやかす手間が要るんだよね。あ、ゼラチンもクックゼラチンみたいのじゃなければ今でもふやかすんだよ。時間は寒天ほどじゃないけど。でも今じゃ寒天のもと自体が粉の簡単な奴出ててさー。んで、寒天でもゼリーの様な感触に近いものもできてさー。うーんだから何っていうか、あたしにとって慣れ親しんだ味なんだよね。あのさっぱり感は」
「なるほど」
「……ってお義母さん、作らなかったっけ?」
こそっ、とねーさんは声を潜めた。
「蒸しパンはよく作ったよ。あとその『ポットのお湯で溶ける』寒天ゼリーはね。何せウチきょうだい多かったしさ」
「たーしかに」
「そのうえ時々あいつが来るし」
「逆はなかったの? ユクちゃんとこは」
「あそこのおかーさんは何というか、紅茶にクッキーのひとだったんだよなあ……」
「作らないひとだったんだあ」
「作らない訳じゃないんだけど、何かこだわりがあるらしくって。蒸しパンだったら普通にホットケーキミックスでやればいいじゃん、ってアタシなんか思うんだけどさ、いち黄身白身分けて泡立てて作った生地を蒸すんだよね」
「……それシフォンケーキの作り方と違う?」
「そのへんはわかんね。ただウチの蒸しパンと味は違うなー、とは思ったけど。でもその都度腕が痛そうだったよ」
「……ハンドミキサー使ってなかったの?」
「だからこだわるひとだったんだってば……」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる