上 下
17 / 65

第17話 4/19-B 物々交換

しおりを挟む
「おーい起きてるー?」
「いい天気だし起きたー」
「草むしりするんか? 今日だったら掘れるんじゃね?」
「あ」

 ……また何だかんだで考えがあっちこっち行ってたな。
 
「お十時にねーさんが蒸しパン作るとさ」
「あ、行く」
「何とっとく?」
「何混ぜる?」
「よもぎ、芋、レーズン?」
「よもぎ取った」
「伝えとく。それとムスカリの球根居るか? 今年花にするんなら植えとくならちょうどいいけど」
「そっちはいいんか?」
「増えすぎてさー。ねーさん今年モッコウバラが咲いたからって何か庭の色変えたいらしくって」
「だったら欲しいー。あれ綺麗だし毎年咲くし」
「わかった言っとく」
「ムスカリかー。青紫のあの花かわいくて好きなんだよなー。だけどすぐに雑草に紛れちまうのが問題なんだよなあ」
「フリージアは結構毎年咲くだろ。ああいう風に固めておけばいいんじゃね? 今日はアタシも手伝おーか?」
「え、いーの?」
「今日は日曜だし。アタシも休みだし。だったらおめーんとこの畑見ときたいし」
「頼むわー」

 さすがにげんなりした顔だ。
 そもそも向いてねえんだよこいつ! 畑作業に!
 何か育てようってときどき考えるらしいんだがな、手入れが続かないんで結局うまくいかない。
 性格! 飽きっぽいのと、まあ、今の仕事のせいもある。
 だったらウチに土地貸してくれれば管理するのに、と思うんだけど、それはどうも今のとこ、したくないらしいし。
 あいつの親が居たころは、まあそれなりに草取りとかしていたらしいんだけど、今はダメだなー。冬の焚き火も苦手そうだしなー。
 それでも枝払いのことは後で言っておくか。
 この家の梅は放っておいてもよく生るし、柿も美味いんだけど、枝が高くて取り切れない。
 切らなくちゃと思いつつ放っておいてるのはよーく知ってる。
 つか、あいつのハハオヤも結構ウチに切ってくれってよく頼みに来たんだぜ?  それを知らないのか何なのか…… 
 その代わりにウチが梅や柿もらってたんだから、そこんとこはとんとんなんだけどなあ。ねーさんは「今年も梅ジャム作りたいんだけどユクエちゃんに聞いてみて」って言ってるし。
 道具はウチの方が揃ってるんだし。
 ともかくお十時の後はアタシも草取りだな。
 今日使うのは土が掘れる仕様の小さい刃の鎌と、掘り返すものだな。
 石箕も持ってくか。去年初めて作ったやつ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【ワタシのセンセイ外伝1】 鍋島晃子の憂うつ

悠生ゆう
恋愛
『ワタシのセンセイ』に登場した保健室の先生、鍋島先生の大人百合です。

吐き気と、君の唇を貸して

御厨カイト
恋愛
都内のとある高級クラブでキャバ嬢として働いている『私』が、余りの忙しさに具合が悪くなっているのを彼女である女性の黒服が助けるお話です。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

わたしと彼女の●●●●●●な関係

悠生ゆう
恋愛
とある会社のとある社員旅行。 恋人(女性)との仲がうまくいていない後輩(女性)と、恋人(男性)からプロポーズされた先輩(女性)のお話。 そして、その旅行の後……

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...