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第14話 4/18-A 唐突な天気

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 もの凄く寝苦しくて何か割と早く目が覚めた。
 と思ったらとんでもない雨だった。ぎゃー。
 古いボロ家の軒先からぼたぼたぼたぼた雨の音がっ!
 あいつの家は…… 
 慌ててスマホを取って一時間毎の天気予報を見る。うわぁ何ってことでしょう。この後風がっ! 突風に注意しましょうが出てるじゃないかい!
 とりあえず連絡を送る。起きてるだろーし。

『起きてるー?』
『寝てるー』
『寝てろ』
『どしたん?』
『だいじょーぶ? 雨』
『うん、ひとまず畑気になるから見に行くって言うからアタシも行く』
『そっか。気いつけ』
『だな』

 ぽん、と切れる。
 そっかー、とスマホを放り出す。
 身体重いー。天気病みだ絶対。息苦しい。気圧下がってるー。
 ということは言わんでおく。後で散々言おう。

 ともかく起きてしまったのでシャワー浴びよ。
 のそのそと這いだしてずるずるとバスタオルを引っ張り出して。
 湯船の縁に座ってしばらくざーざーと湯を掛ける。胸が重力に従って落ちる。うわあ左だけ腫れてるー。
 こういう時って結構野生も増すんだー。
 天気病みにはまあ色々あんだけど、ワタシ個人で言うなら、考えるのがめんどくなるというのがでかい。
 本能に忠実というか。
 あれ? それとも単に排卵日とかぶってんか?
 まあいっか。ともかくちょっと晴らしておこう。
 ……
 ……
 ……
 ん?
 水音で聞こえなかったが、……何か気配がするぞ。

「何一人で楽しいことしてんだよ」
「うぉっ」

 シャワーノズルがぶっ飛んだ。肩こり予防に背中温めながら、片方の手であれこれしてたんだが……

「お前…… いつ来た?」
「今。今んとこアタシがするこたない、と言われたからさー。もっと酷くなったら駆り出すとさ。で?」

 ぽいぽい、と奴は上着を放り出した。いや上着だけじゃねえー!

「ちょーどいいからアタシも浴びるわー」

 空向いてるシャワーヘッドを手に取って頭から浴びやがった。

「ボディシャンプー?」
「お前せっけん派だったっけ」
「一応~だけど据え付けにならうさー」

 ぴょい、とポンプを押すと、ワタシの横に座って思い切り泡立てる。
 んだが、それを頭につけるか!

「いやーあまり変わんないって」

 ねえ、と言いながら奴は左の胸にするんっと塗りつけてきた。腫れて敏感になっているとこをあえて付いてきたとみた。

「いやー天気がこんなおかしいと、なかなか血が騒いでさー」

 野生か。……って自分に対してもさっきそう思ってたし! 
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