51 / 56
51 彼の歌の中でどうしようもなく立ちすくんでいた
しおりを挟む
水曜日、僕はACID-JAMに居た。
何故かその日、ケンショーにはそこに行くとは言えなかった。
別に言ったところで何かある訳ではない。
だけど、何故かあの高校生と話したことを、彼に言いたくなかったのは確かだ。
ナナさんにも何も言わず、当日券を買って入った。
素顔だし、地味な格好をしていたから、あの時のカナイというSSのヴォーカリスト同様、僕がRINGERのKということは気付かれはしない、と思った。
何かすごく久しぶりだった。
客としてそこに居るのは。
この日は、三つくらいのバンドが一緒に出ていた。
SSは二番目だった。
まだ本当に出たばかりのバンドだというから、そういう位置なのだろう。
最初と最後のバンドの名は僕も聞いたことがある。このライヴハウスの常連だ。
だけどどうも、時間が経つにつれて、フロアを埋めだした客のかなりが、SS目当てで来ていることを、僕は次第に気付きだしていた。
客層。
若い女の子が多い。
彼女達は一番新しくて尖ったものに敏感だ。
聞き耳を立てる。
その会話の中には、僕も名をよく知ったメジャーのバンド名に混じって、聞いたことがないインディーズのバンドの名が飛び交う。
この間は――― のライヴに行って、そこの――― 君の服がどうの、ステージでこけたの、ヴォーカルとギターが接近しただの肩を組んだだの、それに対してベーシストが何か少し奇妙な視線を送っただの。
僕にしてみれば、どこまでが本当でどこまでが妄想だか判らない会話だったが、彼女達はそんな話を延々としている。そのエネルギーがどこから来るのだろう。
待ち時間は退屈だ。
一人で居るとなおさらだ。
ジーンズのポケットに手を突っ込んで、床の端の段差に座り込む。
誰の選曲だろうか、一昔まえの洋楽が延々スピーカーからは流れている。
やがて客電が消え、最初のバンドが出てきた。
案の定、あの女の子達は、そのために前へ突っ込んだりはしない。あちこちに置かれている丸いテーブルに肘をついて、時々くすくすと笑い合っている。
目障りだろうな、と僕はふと、ステージのヴォーカリストに目をやる。
一生懸命歌ってるのに。
でもそう考えてる僕自身、別にその音にも声にも惹かれるとこがないから、立ち上がることもせずに、ぼんやりと音が流れていくのをそのままにしている。
つまりは、それが音の持つ力なんだろうとは思うんだけど。
全部で八曲くらいやったのだろうか?
途中から曲数を数えることも忘れてしまった。
眠くなりそうだった。
退屈だ、と僕はそれでもまた次のバンドの準備の間に流れる音を聞きながら思った。
今度は、何故かピアノ曲が流れていた。
「あ、この曲好き」
丸テーブルで話していた女の子がそうつぶやく。
そう大きな声ではなかったけれど、妙にその声が僕の耳についた。
「知ってんの?」
連れの女の子は訊ねる。
「何かー、誰かは忘れたけど」
そう言われてみたら、確かに何処かで耳にはしているクラシックのピアノ曲。
タイトルも誰のものかも出てこないけど。
さっきまでのバンドが、中途半端ににぎやかな音で、それを好きな客が踊っていたような状態だったから、客の入れ替えにはいい感じなのかもしれない。
女の子達はそのままテーブルを離れると、羽織っていた長袖のシャツを取って、腰に巻き付けた。
中からは派手な柄の、ぴったりした半袖のTシャツが現れる。
ふわふわした髪を、後ろできゅ、と結ぶ。僕はその様子に目を見張る。
戦闘準備OK、という感じだ。
よく周りを見てみると、皆そんな感じだ。
次第にそんな女の子達が、前へ前へと移動している。
僕はふらりとその場に立ち上がった。
やがてまた客電が消えた。
ピアノ曲はまだ続いている。
ステージが明るくなり、のっそりとメンバーが歩いてくる。
四人編成のバンドのようだ。
ドラマーがまずゆっくりと配置についた。
そして次にベーシストが出てくる。
小柄な、……これも、高校生?
ベースが重そうに感じる程に、華奢な。
でもベーシスト。
とすると、この間ピアノを弾いていたのはこの子だろうか。
マキノくん、と声が飛ぶ。
呼ばれた本人は、そんな声は耳を通り過ぎていくように、何処かを向いている。
次にギタリストが入ってきて、ベーシストと同じくらいに声が飛んでいる。
このひとは高校生ではなさそうだ。
もう少し…… そう、僕くらいの年齢に見える。
そして不意に、そのギタリストが弾き出した。
はっ、として僕は顔を上げる。
かきむしる様な音が響き、そこへベースが絡み、リズムが叩き込まれた。
女の子達の声が高くなる。
と。
いきなりステージの左から駆けだしてきた姿があった。
ほとんど飛び跳ねる様な勢いで、彼は現れたのだ。
カナイだ、と僕は気付いた。
あの時の彼だった。
別に特別目立った格好はしていない。
そりゃあ無論普段着ではないだろうが、だけど別に衣装らしい衣装、という感じでもない。
黒い皮のパンツに、ただの大きめの白シャツを、裾をひろげ、袖をまくり、ボタンを上から三つほど外した、そんなシンプルと言えばシンプルな格好で。
マイクを両手で掴んだ彼は、声を飛ばした。
僕はそして、立ちすくんだ。
まっすぐ、その声が、響いてくる。
思わず僕は、近くの鉄柵を掴んでいた。
何か掴むものが、欲しかった。
別に好きなタイプの曲じゃない。
上手いかどうかなんかなんて、さっぱり判らない。
でもこれだけは判る。
声が、突き刺さる。
言葉の一つ一つが、判る。
聞き取りやすいとか、詞が上手いとか、そういうことではなく、ただもう、コトバが、そのまままっすぐ。
かっと目を見開いて、彼はただひたすら、言葉を吐き出していた。
目が座っている。
こんな位置から見ても判る。
怖いくらいに。
ふらふら、と僕は前の集団に近寄って行った。
女の子達が押し合いへし合いしている。
踊り狂っている。笑っている。
彼女達は強いリズムの中で、ダンゴの様になっては、それでもその状態を延々続けている。
すきまに入ろうとする僕など、押しつぶされそうな勢いで。
そしてその女の子達を、(時には男も居たけれど)カナイはにらみつける。
決まった動きなどない。
カナイはもう、ひたすら、声を前に前に叩き込むことだけを考えてるに違いない。
歌が切れるし彼はせわしなく動きだす。
落ち着かない。
あっちへ駆け出しこっちへ飛び跳ね、めまぐるしい。
その姿から、目が離せない。
決して曲は好きなタイプじゃないというのに!
そんなことをしているからすぐに汗びっしょりになって、それでも若いからだろうか、息も切らさずに、これでもかとばかりにどんどんテンションを上げて、声を張り上げ、口からやや離さないとマイクの音が割れる程のヴォリュームで。
僕はその中で、どうすることもできず、ただ立ちすくんでいた。
右に左に揺れる集団の中で、押されつぶされしながら、どうしようもなく、立ちすくんでいた。
だって。
僕は轟音の中で、奇妙に冷静になって内心叫んでいる自分に気付く。
これは、彼の声だ。彼のうただ。
誰かに歌わされてるのではなく、誰かの音を声にしているのではなく、ただひたすら、自分の中の何か、を外に引っぱり出して前に投げつけてる、彼自身の、うただ。
それじゃあ僕は、何なんだろう。
僕は僕は僕は僕は。
何故かその日、ケンショーにはそこに行くとは言えなかった。
別に言ったところで何かある訳ではない。
だけど、何故かあの高校生と話したことを、彼に言いたくなかったのは確かだ。
ナナさんにも何も言わず、当日券を買って入った。
素顔だし、地味な格好をしていたから、あの時のカナイというSSのヴォーカリスト同様、僕がRINGERのKということは気付かれはしない、と思った。
何かすごく久しぶりだった。
客としてそこに居るのは。
この日は、三つくらいのバンドが一緒に出ていた。
SSは二番目だった。
まだ本当に出たばかりのバンドだというから、そういう位置なのだろう。
最初と最後のバンドの名は僕も聞いたことがある。このライヴハウスの常連だ。
だけどどうも、時間が経つにつれて、フロアを埋めだした客のかなりが、SS目当てで来ていることを、僕は次第に気付きだしていた。
客層。
若い女の子が多い。
彼女達は一番新しくて尖ったものに敏感だ。
聞き耳を立てる。
その会話の中には、僕も名をよく知ったメジャーのバンド名に混じって、聞いたことがないインディーズのバンドの名が飛び交う。
この間は――― のライヴに行って、そこの――― 君の服がどうの、ステージでこけたの、ヴォーカルとギターが接近しただの肩を組んだだの、それに対してベーシストが何か少し奇妙な視線を送っただの。
僕にしてみれば、どこまでが本当でどこまでが妄想だか判らない会話だったが、彼女達はそんな話を延々としている。そのエネルギーがどこから来るのだろう。
待ち時間は退屈だ。
一人で居るとなおさらだ。
ジーンズのポケットに手を突っ込んで、床の端の段差に座り込む。
誰の選曲だろうか、一昔まえの洋楽が延々スピーカーからは流れている。
やがて客電が消え、最初のバンドが出てきた。
案の定、あの女の子達は、そのために前へ突っ込んだりはしない。あちこちに置かれている丸いテーブルに肘をついて、時々くすくすと笑い合っている。
目障りだろうな、と僕はふと、ステージのヴォーカリストに目をやる。
一生懸命歌ってるのに。
でもそう考えてる僕自身、別にその音にも声にも惹かれるとこがないから、立ち上がることもせずに、ぼんやりと音が流れていくのをそのままにしている。
つまりは、それが音の持つ力なんだろうとは思うんだけど。
全部で八曲くらいやったのだろうか?
途中から曲数を数えることも忘れてしまった。
眠くなりそうだった。
退屈だ、と僕はそれでもまた次のバンドの準備の間に流れる音を聞きながら思った。
今度は、何故かピアノ曲が流れていた。
「あ、この曲好き」
丸テーブルで話していた女の子がそうつぶやく。
そう大きな声ではなかったけれど、妙にその声が僕の耳についた。
「知ってんの?」
連れの女の子は訊ねる。
「何かー、誰かは忘れたけど」
そう言われてみたら、確かに何処かで耳にはしているクラシックのピアノ曲。
タイトルも誰のものかも出てこないけど。
さっきまでのバンドが、中途半端ににぎやかな音で、それを好きな客が踊っていたような状態だったから、客の入れ替えにはいい感じなのかもしれない。
女の子達はそのままテーブルを離れると、羽織っていた長袖のシャツを取って、腰に巻き付けた。
中からは派手な柄の、ぴったりした半袖のTシャツが現れる。
ふわふわした髪を、後ろできゅ、と結ぶ。僕はその様子に目を見張る。
戦闘準備OK、という感じだ。
よく周りを見てみると、皆そんな感じだ。
次第にそんな女の子達が、前へ前へと移動している。
僕はふらりとその場に立ち上がった。
やがてまた客電が消えた。
ピアノ曲はまだ続いている。
ステージが明るくなり、のっそりとメンバーが歩いてくる。
四人編成のバンドのようだ。
ドラマーがまずゆっくりと配置についた。
そして次にベーシストが出てくる。
小柄な、……これも、高校生?
ベースが重そうに感じる程に、華奢な。
でもベーシスト。
とすると、この間ピアノを弾いていたのはこの子だろうか。
マキノくん、と声が飛ぶ。
呼ばれた本人は、そんな声は耳を通り過ぎていくように、何処かを向いている。
次にギタリストが入ってきて、ベーシストと同じくらいに声が飛んでいる。
このひとは高校生ではなさそうだ。
もう少し…… そう、僕くらいの年齢に見える。
そして不意に、そのギタリストが弾き出した。
はっ、として僕は顔を上げる。
かきむしる様な音が響き、そこへベースが絡み、リズムが叩き込まれた。
女の子達の声が高くなる。
と。
いきなりステージの左から駆けだしてきた姿があった。
ほとんど飛び跳ねる様な勢いで、彼は現れたのだ。
カナイだ、と僕は気付いた。
あの時の彼だった。
別に特別目立った格好はしていない。
そりゃあ無論普段着ではないだろうが、だけど別に衣装らしい衣装、という感じでもない。
黒い皮のパンツに、ただの大きめの白シャツを、裾をひろげ、袖をまくり、ボタンを上から三つほど外した、そんなシンプルと言えばシンプルな格好で。
マイクを両手で掴んだ彼は、声を飛ばした。
僕はそして、立ちすくんだ。
まっすぐ、その声が、響いてくる。
思わず僕は、近くの鉄柵を掴んでいた。
何か掴むものが、欲しかった。
別に好きなタイプの曲じゃない。
上手いかどうかなんかなんて、さっぱり判らない。
でもこれだけは判る。
声が、突き刺さる。
言葉の一つ一つが、判る。
聞き取りやすいとか、詞が上手いとか、そういうことではなく、ただもう、コトバが、そのまままっすぐ。
かっと目を見開いて、彼はただひたすら、言葉を吐き出していた。
目が座っている。
こんな位置から見ても判る。
怖いくらいに。
ふらふら、と僕は前の集団に近寄って行った。
女の子達が押し合いへし合いしている。
踊り狂っている。笑っている。
彼女達は強いリズムの中で、ダンゴの様になっては、それでもその状態を延々続けている。
すきまに入ろうとする僕など、押しつぶされそうな勢いで。
そしてその女の子達を、(時には男も居たけれど)カナイはにらみつける。
決まった動きなどない。
カナイはもう、ひたすら、声を前に前に叩き込むことだけを考えてるに違いない。
歌が切れるし彼はせわしなく動きだす。
落ち着かない。
あっちへ駆け出しこっちへ飛び跳ね、めまぐるしい。
その姿から、目が離せない。
決して曲は好きなタイプじゃないというのに!
そんなことをしているからすぐに汗びっしょりになって、それでも若いからだろうか、息も切らさずに、これでもかとばかりにどんどんテンションを上げて、声を張り上げ、口からやや離さないとマイクの音が割れる程のヴォリュームで。
僕はその中で、どうすることもできず、ただ立ちすくんでいた。
右に左に揺れる集団の中で、押されつぶされしながら、どうしようもなく、立ちすくんでいた。
だって。
僕は轟音の中で、奇妙に冷静になって内心叫んでいる自分に気付く。
これは、彼の声だ。彼のうただ。
誰かに歌わされてるのではなく、誰かの音を声にしているのではなく、ただひたすら、自分の中の何か、を外に引っぱり出して前に投げつけてる、彼自身の、うただ。
それじゃあ僕は、何なんだろう。
僕は僕は僕は僕は。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる