〈完結〉夫を亡くした男爵夫人、実家のたかり根性の貧乏伯爵家に復讐する

江戸川ばた散歩

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男爵未亡人は語る(4)

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 で、伯爵家がまたそれに便乗して。
 そうしたら今度は国外の過激思想の連中とも連絡を取る様になっちゃったのね。
 結構居るものよ。おおもとの思想は経済学から出たものなのだけど、それがどう化学変化起こしたのかね、北の帝国では更に過激な連中が出てきているっていうの。
 そう。今通っている地域からもう少し北になると、それで国家転覆させてやろうとした連中が流刑になっているということも多い訳よね。
 ただ、その中でも指導者層の連中は案外国外に出ていることも多いのよ。
 もしくは、国外に出る用事が多い人々。
 今は特にね、北の帝国は国力が落ちているでしょう? 
 だからこそ余計に今が好機とばかりに口先で甘いことを言って仲間――と当人達は思っているのでしょうが、実際は指導者層の奴隷の様なものね。
 それを集めているといえ訳。
 私達の国からしたら、向こうの皇帝一家とこちらの王室とは血縁関係もある訳だし、そのままの状態が続いて欲しい訳よ。
 でもあの国は何と言っても広すぎるでしょう? 
 そして何と言っても、昔から血で血を洗う政争が行われてきたところなのよ。
 あと、強い者が勝ち、というのもね。
 今の皇帝一家の血筋にしても、綺麗に繋がっている訳ではないわ。
 何百年か昔に王朝を立てた家にしても、直線的に親から子に行くことが結構少ないのよ。
 だから何度か女帝も出てきたわ。
 私達の国でもあったけどね。
 でもそれ以上よ。
 何でだと思う? 
 皇帝の妹、とかだったらまだ理解できるかもしれないわ。
 先の皇帝の娘ですものね。
 ところがあの国の場合、皇帝の配偶者、皇后が皇帝を排してその座につくということもあるのよ。
 または、直線的に正統的と思われる男子の跡継ぎがあったとしても、政治的に妹君の方が強かったら女帝が立つとか。
 そしてまたその女帝達が強いのよ。
 ただ今はどうなのでしょうね。
 跡取りの皇太子殿下は病弱ということだし。
 これもまた、過激派にとっては好機と思われているのじゃないかしら。
 皇帝の弟君の大公殿下は常に海外に遊学しているようなひとだし。
 そう、だから今通っているあたりもだけど、いつ何処で、そういう過激派が潜んでいるのか判らないのよ。
 それだけじゃないわ。
 その過激派が、北の帝国の敵だから、ということで、今通っている辺りの地域に住む人々と組む可能性もある訳。
 敵の敵は味方、という理由だけでね。
 そういう連携があるのを判っているのか居ないのか……
 判っているなら大問題よね。
 そして判っていないただの馬鹿なら、伯爵家は、いつ国の機関によって粛正されてもおかしくはなくなるわね。
 確実な証拠があれば。
 私個人としては、実家がどうなろうとどうでもいい。
 いえ、実家なんか無くなればいいと思うのよ。
 そうね。いっそ過激派とつるんでいる事実が情報部がちゃんと掴んでいればいいんだけど。
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