35 / 113
34.どんなものにも永遠はない
しおりを挟む
「来てたの」
鍵を渡していたから、確かに来る可能性はあった。朱夏はぼんやりと窓の外を眺めていた。
「お帰り安岐」
「ただいま」
「人が帰ってきたときには『お帰り』だろう?」
「うん。何か、嬉しいな」
「そうか?」
そのまま窓へ近付く。五階にある安岐の部屋からはSKの地上の街を歩く人の群れが見える。金曜日。夕方。
仕事を終えて、休日の始まりに、浮かれ出す人々。電波塔から、所々に設置されているFMのスピーカーへ音楽が流れる。あまり大きくはない。あまり小さくもない。街の喧噪には流れてしまう程度の大きさで、声の無い音楽が延々流れている。
通りの街灯が次第に光を灯し始める。街路樹の緑が光を反射して薄闇に浮かび上がる。空が暗くなるにつれて、鮮やかに。
屋台のベビーカステラの香りが甘く漂う。新聞スタンドと花屋が立ち並ぶ。笑い声。何処かでぽろぽろとかき鳴らされるアコースティックギター。生の声。練習する場所がないから、とコンクリートの花壇の枠をスティックで叩く少年、だけど花には決して当てないで音だけを跳ねさせる。
「何かあったのか?」
「まあね」
「大丈夫か?」
「あまり大丈夫じゃない」
朱夏はゆっくりと振り向く。確かに元気がない、と彼女は感じる。
手を伸ばす。触れた頬が冷たい。立ち上がる。抱きしめる。ゆっくりとキスをする。相手も手を回すのが判る。抱きしめられる。強く。
「でも、大丈夫」
「答が矛盾してるぞ、安岐」
「大丈夫にならなくちゃ」
「言ってるうちは大丈夫じゃないぞ」
「うん」
「判ってるのか?」
「判ってる」
それでも。
「あのさ朱夏、デートしない?」
安岐は唐突に言い出す。
「でーと?」
「考えてみたらさ、俺たち、いつもどっかで出会って、結局ここへ来てそれだけじゃない。何処か行こう。ただ遊ぼう」
「そうだな…… それもいいな」
*
「ソフトの横取り?」
安岐は目を大きく広げた。会合の後、安岐は一人、壱岐に呼ばれた。
ちょうどいい、と思った。今回の「仕事」からいきなり外されたことの説明を聞きたいとも思っていたところだった。ところが、言われたのは別の「仕事」だった。
「そういう言い方をするな、人聞きが悪い」
「そりゃそうですけど、壱岐、それは出どころが判らない情報の筈で、下手すると公安の」
「それだからお前に頼むんだよ」
奇妙だな、と安岐は思った。彼のもと保護者は、こういう頼み方をする方ではない。確かに石橋は叩けば渡るタイプではあるが、壊れそうな橋まで渡るタイプではない。
「それに、これはあくまで俺個人のことで、社長とは関係ないから」
「いいんですか?」
「いつものだってそんなものさ。お前を『橋』の偵察に行かせるのにいちいち許可は取らなかったろ?」
でもそれとこれとはやや違う、と安岐は思う。
それにそれだけで済めばまだ良かった。
「壱岐さんに、言うぞ」
まるで小学生が「先生に言いつけるぞ」とでも言う時の口調で、壁に身体を預けた津島は壱岐のところから出てきた安岐に言葉を投げた。
「何を」
「お前があの人形の彼女と出ていこうとしてるって」
人形。その言葉は安岐の神経を逆撫でた。
「彼女のことを人形だなんて言うな」
すると津島はハ、と呆れたように一言笑った。
「レプリカなんて所詮人形じゃないか! 何が面白いっていうんだよ!」
「黙れ!」
「騙されてるんだよお前! 彼女? その持ち主に!」
「持ち主? 東風のことか?」
「お前何にも知らないんだ! そうだよな、壱岐さん甘いから、お前には、話さなかったんだ!」
「何を?」
「鹿島さんや生野さんは知ってたよ。あの人たちは壱岐さんともずいぶん長いからな。あの人達安岐が知らないって言って驚いてたぜ」
津島は「会社」の古株達の名を出す。じれったい、とばかりに安岐は怒鳴る。
「だから何を俺が知らないって言うんだよ!」
だん、と安岐は津島をはさんで壁に両手をつく。切れ長の津島の目が壁の衝撃に片方細められた。
「東風のことさ。レプリカ・チューナーの。あの彼女の持ち主の! 壱岐さんは昔、あいつと仲良かったんだ。友達だったんだ。この都市が閉じる前から」
「え」
初耳だった。
「本当に、お前、知らなかったのか?」
「知らない」
本当に。
誰か、が居たとは思っていたけれど。あの時。脱出に失敗した時。兄が「川」に落とされた時。そこに居たのは、壱岐と、自分と―――
誰かが居た。
「お前」
「俺は、知らない…… 俺は、あの辺りの記憶がひどく少ないから」
「壱岐さんは、都市を脱出するのに失敗した時から、奴には会っていないというぜ。会いたくないんだろ。きっと何かあったんだ。もう何年も、こんな狭い都市の中で、顔を会わせたくない訳がさ!」
津島は津島で、絞り出すように言う。彼も安岐のそんな顔を見ることになるとは思っていなかったろう。
「そんな情けない顔、するなよ!」
津島は自分をはさんでいる腕を下からぐっと持ち上げ、思いきり蹴りと一緒に突き上げた。
ぐっ、と安岐はバランスを崩してその場に倒れ込んだ。
砂だらけのビニルタイルの廊下は、むき出しの腕にかすり傷を作るにはいい環境である。倒れ込んだ左の腕は、血まで出ないにせよ、ひどくすれて赤くなっていた。
「何するんだよ!」
「俺は怒ってるんだよ安岐!」
「だから何を怒ってるんだって!」
「お前がすげえ馬鹿だから怒ってるんだろーが!」
「馬鹿? 何が馬鹿だよっ!」
「今更都市から出たいなんて言う奴、馬鹿以外の何だって言うんだよ!」
黙れ、と再び安岐は津島に飛びかかった。
もちろん今度は津島も黙って壁に貼り付けられてはいない。最初から組んでかかった。二人は対して力も違わない。やや津島の方が華奢ではあったが、ケンカの経験値は二人とも同じくらいなのである。
「どうせあの彼女が出よう、なんて言ったんだろ。それが東風が彼女にやらせたとか思ったことないのかよ!」
「そんなことする理由があんのかよこのボケ!」
「お前が壱岐さんの秘蔵っ子だってのは、この界隈じゃ知れてることじゃねーか! 壱岐さんと仲違いしてるんだろそいつは!」
「だからって!」
「壱岐さんはお前にダメージがくる方が、自分自身やられるよりきついんだ! お前に!」
「おい津島」
ずる、と組み合っていた手が崩れる。津島はそのままずるずると床にへばり込んだ。そして両腕で膝を抱くと、そのままその中に顔を埋めた。
「畜生なんだって、お前、ここで満足しないんだよ」
「満足ってお前」
「俺はここ好きだよ…… そりゃ毎日何かと忙しいし、結構危険なこともあるけどさ…… 時々ギターも弾けて…… 皆いい人だし……」
くぐもった声。泣いてるんじゃないか、と安岐は驚く。そしてしゃがみこんで、少しでも視線を近くしようとする。だが埋もれた顔は、全くその表情の変化を彼には見せない。
「外へ出て何があるって言うんだよ」
ぼそっと津島は言う。
「え? だってそうだろ? 外だって都市だってそうじゃないか。俺達は結局は仕事見つけて、毎日毎日働いて食ってくしかないじゃないか。生きてくには。生きてくしかないんだから。そりゃ外には、もっとたくさんの面白いものがあるかもしれないさ。音楽だってもっとあるのかもしれないさ。だけど」
「津島」
そうじゃないのだ、と安岐は思う。
「俺、お前がそう思ってるなんて知らなかった」
「そーだろよ。結局俺だってお前のこと全然知らなかったんだ」
「泣くなよ」
「泣いてねーよ!」
津島はうつむいたまま首を横に振る。そのたびに明るい色の髪をさらさらと彼の服の袖口の上を動いた。
その髪に触れようとした。と。
手を払われる。一瞬視線が絡む。
津島は立ち上がった。安岐が止めようとする間もなかった。彼は音を立てて、階段を駆け下りていく。途中で転ぶのではないか、と心配せずにはいられない程の勢いで。
どうしたものかな、と安岐は思う。
そうではないのだ。別に朱夏が言ったとかどうとかという問題ではないのだ。
安岐はここで安住してしまいそうな自分が怖かった。
彼はいつも思っていた。どうしてこの状態がずっと続くと誰もが思っているのだろう、と。
どんなものにも永遠はない、と彼は思っている。
十年前、その都市の人間は、「都市が切り離される」ことなど考えもしなかった。それと同じように、都市が今いきなり元に戻ることだって考えられるのだ。
確かに十年、この都市で生きてきているのだ。良かれ悪しかれ、慣れてきた。慣れなくてはならなかった。おそらく元に戻ったとしても慣れることはできるだろう。
だが。
考え出すと止まらない。最近は特にそうである。考えまいとしていたことが、封印を開けて飛びだしてきたような気がするのである。
そしてその封印を解いたのが朱夏。
彼女はごく当たり前のことのように、「捜さなくてはならない」と言った。だがその相手は、明らかに「外」の人間なのだ。おそらく彼女はこれから都市を出ることを本気で考え始めるだろう。それが当然という顔で。
だが自分にとっては。
―――壱岐の部屋がずいぶん静かだったのが妙に気になった。
鍵を渡していたから、確かに来る可能性はあった。朱夏はぼんやりと窓の外を眺めていた。
「お帰り安岐」
「ただいま」
「人が帰ってきたときには『お帰り』だろう?」
「うん。何か、嬉しいな」
「そうか?」
そのまま窓へ近付く。五階にある安岐の部屋からはSKの地上の街を歩く人の群れが見える。金曜日。夕方。
仕事を終えて、休日の始まりに、浮かれ出す人々。電波塔から、所々に設置されているFMのスピーカーへ音楽が流れる。あまり大きくはない。あまり小さくもない。街の喧噪には流れてしまう程度の大きさで、声の無い音楽が延々流れている。
通りの街灯が次第に光を灯し始める。街路樹の緑が光を反射して薄闇に浮かび上がる。空が暗くなるにつれて、鮮やかに。
屋台のベビーカステラの香りが甘く漂う。新聞スタンドと花屋が立ち並ぶ。笑い声。何処かでぽろぽろとかき鳴らされるアコースティックギター。生の声。練習する場所がないから、とコンクリートの花壇の枠をスティックで叩く少年、だけど花には決して当てないで音だけを跳ねさせる。
「何かあったのか?」
「まあね」
「大丈夫か?」
「あまり大丈夫じゃない」
朱夏はゆっくりと振り向く。確かに元気がない、と彼女は感じる。
手を伸ばす。触れた頬が冷たい。立ち上がる。抱きしめる。ゆっくりとキスをする。相手も手を回すのが判る。抱きしめられる。強く。
「でも、大丈夫」
「答が矛盾してるぞ、安岐」
「大丈夫にならなくちゃ」
「言ってるうちは大丈夫じゃないぞ」
「うん」
「判ってるのか?」
「判ってる」
それでも。
「あのさ朱夏、デートしない?」
安岐は唐突に言い出す。
「でーと?」
「考えてみたらさ、俺たち、いつもどっかで出会って、結局ここへ来てそれだけじゃない。何処か行こう。ただ遊ぼう」
「そうだな…… それもいいな」
*
「ソフトの横取り?」
安岐は目を大きく広げた。会合の後、安岐は一人、壱岐に呼ばれた。
ちょうどいい、と思った。今回の「仕事」からいきなり外されたことの説明を聞きたいとも思っていたところだった。ところが、言われたのは別の「仕事」だった。
「そういう言い方をするな、人聞きが悪い」
「そりゃそうですけど、壱岐、それは出どころが判らない情報の筈で、下手すると公安の」
「それだからお前に頼むんだよ」
奇妙だな、と安岐は思った。彼のもと保護者は、こういう頼み方をする方ではない。確かに石橋は叩けば渡るタイプではあるが、壊れそうな橋まで渡るタイプではない。
「それに、これはあくまで俺個人のことで、社長とは関係ないから」
「いいんですか?」
「いつものだってそんなものさ。お前を『橋』の偵察に行かせるのにいちいち許可は取らなかったろ?」
でもそれとこれとはやや違う、と安岐は思う。
それにそれだけで済めばまだ良かった。
「壱岐さんに、言うぞ」
まるで小学生が「先生に言いつけるぞ」とでも言う時の口調で、壁に身体を預けた津島は壱岐のところから出てきた安岐に言葉を投げた。
「何を」
「お前があの人形の彼女と出ていこうとしてるって」
人形。その言葉は安岐の神経を逆撫でた。
「彼女のことを人形だなんて言うな」
すると津島はハ、と呆れたように一言笑った。
「レプリカなんて所詮人形じゃないか! 何が面白いっていうんだよ!」
「黙れ!」
「騙されてるんだよお前! 彼女? その持ち主に!」
「持ち主? 東風のことか?」
「お前何にも知らないんだ! そうだよな、壱岐さん甘いから、お前には、話さなかったんだ!」
「何を?」
「鹿島さんや生野さんは知ってたよ。あの人たちは壱岐さんともずいぶん長いからな。あの人達安岐が知らないって言って驚いてたぜ」
津島は「会社」の古株達の名を出す。じれったい、とばかりに安岐は怒鳴る。
「だから何を俺が知らないって言うんだよ!」
だん、と安岐は津島をはさんで壁に両手をつく。切れ長の津島の目が壁の衝撃に片方細められた。
「東風のことさ。レプリカ・チューナーの。あの彼女の持ち主の! 壱岐さんは昔、あいつと仲良かったんだ。友達だったんだ。この都市が閉じる前から」
「え」
初耳だった。
「本当に、お前、知らなかったのか?」
「知らない」
本当に。
誰か、が居たとは思っていたけれど。あの時。脱出に失敗した時。兄が「川」に落とされた時。そこに居たのは、壱岐と、自分と―――
誰かが居た。
「お前」
「俺は、知らない…… 俺は、あの辺りの記憶がひどく少ないから」
「壱岐さんは、都市を脱出するのに失敗した時から、奴には会っていないというぜ。会いたくないんだろ。きっと何かあったんだ。もう何年も、こんな狭い都市の中で、顔を会わせたくない訳がさ!」
津島は津島で、絞り出すように言う。彼も安岐のそんな顔を見ることになるとは思っていなかったろう。
「そんな情けない顔、するなよ!」
津島は自分をはさんでいる腕を下からぐっと持ち上げ、思いきり蹴りと一緒に突き上げた。
ぐっ、と安岐はバランスを崩してその場に倒れ込んだ。
砂だらけのビニルタイルの廊下は、むき出しの腕にかすり傷を作るにはいい環境である。倒れ込んだ左の腕は、血まで出ないにせよ、ひどくすれて赤くなっていた。
「何するんだよ!」
「俺は怒ってるんだよ安岐!」
「だから何を怒ってるんだって!」
「お前がすげえ馬鹿だから怒ってるんだろーが!」
「馬鹿? 何が馬鹿だよっ!」
「今更都市から出たいなんて言う奴、馬鹿以外の何だって言うんだよ!」
黙れ、と再び安岐は津島に飛びかかった。
もちろん今度は津島も黙って壁に貼り付けられてはいない。最初から組んでかかった。二人は対して力も違わない。やや津島の方が華奢ではあったが、ケンカの経験値は二人とも同じくらいなのである。
「どうせあの彼女が出よう、なんて言ったんだろ。それが東風が彼女にやらせたとか思ったことないのかよ!」
「そんなことする理由があんのかよこのボケ!」
「お前が壱岐さんの秘蔵っ子だってのは、この界隈じゃ知れてることじゃねーか! 壱岐さんと仲違いしてるんだろそいつは!」
「だからって!」
「壱岐さんはお前にダメージがくる方が、自分自身やられるよりきついんだ! お前に!」
「おい津島」
ずる、と組み合っていた手が崩れる。津島はそのままずるずると床にへばり込んだ。そして両腕で膝を抱くと、そのままその中に顔を埋めた。
「畜生なんだって、お前、ここで満足しないんだよ」
「満足ってお前」
「俺はここ好きだよ…… そりゃ毎日何かと忙しいし、結構危険なこともあるけどさ…… 時々ギターも弾けて…… 皆いい人だし……」
くぐもった声。泣いてるんじゃないか、と安岐は驚く。そしてしゃがみこんで、少しでも視線を近くしようとする。だが埋もれた顔は、全くその表情の変化を彼には見せない。
「外へ出て何があるって言うんだよ」
ぼそっと津島は言う。
「え? だってそうだろ? 外だって都市だってそうじゃないか。俺達は結局は仕事見つけて、毎日毎日働いて食ってくしかないじゃないか。生きてくには。生きてくしかないんだから。そりゃ外には、もっとたくさんの面白いものがあるかもしれないさ。音楽だってもっとあるのかもしれないさ。だけど」
「津島」
そうじゃないのだ、と安岐は思う。
「俺、お前がそう思ってるなんて知らなかった」
「そーだろよ。結局俺だってお前のこと全然知らなかったんだ」
「泣くなよ」
「泣いてねーよ!」
津島はうつむいたまま首を横に振る。そのたびに明るい色の髪をさらさらと彼の服の袖口の上を動いた。
その髪に触れようとした。と。
手を払われる。一瞬視線が絡む。
津島は立ち上がった。安岐が止めようとする間もなかった。彼は音を立てて、階段を駆け下りていく。途中で転ぶのではないか、と心配せずにはいられない程の勢いで。
どうしたものかな、と安岐は思う。
そうではないのだ。別に朱夏が言ったとかどうとかという問題ではないのだ。
安岐はここで安住してしまいそうな自分が怖かった。
彼はいつも思っていた。どうしてこの状態がずっと続くと誰もが思っているのだろう、と。
どんなものにも永遠はない、と彼は思っている。
十年前、その都市の人間は、「都市が切り離される」ことなど考えもしなかった。それと同じように、都市が今いきなり元に戻ることだって考えられるのだ。
確かに十年、この都市で生きてきているのだ。良かれ悪しかれ、慣れてきた。慣れなくてはならなかった。おそらく元に戻ったとしても慣れることはできるだろう。
だが。
考え出すと止まらない。最近は特にそうである。考えまいとしていたことが、封印を開けて飛びだしてきたような気がするのである。
そしてその封印を解いたのが朱夏。
彼女はごく当たり前のことのように、「捜さなくてはならない」と言った。だがその相手は、明らかに「外」の人間なのだ。おそらく彼女はこれから都市を出ることを本気で考え始めるだろう。それが当然という顔で。
だが自分にとっては。
―――壱岐の部屋がずいぶん静かだったのが妙に気になった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
レジェンド・オブ・ダーク 遼州司法局異聞
橋本 直
SF
地球人類が初めて地球外人類と出会った辺境惑星『遼州』の連合国家群『遼州同盟』。
その有力国のひとつ東和共和国に住むごく普通の大学生だった神前誠(しんぜんまこと)。彼は就職先に困り、母親の剣道場の師範代である嵯峨惟基を頼り軍に人型兵器『アサルト・モジュール』のパイロットの幹部候補生という待遇でなんとか入ることができた。
しかし、基礎訓練を終え、士官候補生として配属されたその嵯峨惟基が部隊長を務める部隊『遼州同盟司法局実働部隊』は巨大工場の中に仮住まいをする肩身の狭い状況の部隊だった。
さらに追い打ちをかけるのは個性的な同僚達。
直属の上司はガラは悪いが家柄が良いサイボーグ西園寺かなめと無口でぶっきらぼうな人造人間のカウラ・ベルガーの二人の女性士官。
他にもオタク趣味で意気投合するがどこか食えない女性人造人間の艦長代理アイシャ・クラウゼ、小さな元気っ子野生農業少女ナンバルゲニア・シャムラード、マイペースで人の話を聞かないサイボーグ吉田俊平、声と態度がでかい幼女にしか見えない指揮官クバルカ・ランなど個性の塊のような面々に振り回される誠。
しかも人に振り回されるばかりと思いきや自分に自分でも自覚のない不思議な力、「法術」が眠っていた。
考えがまとまらないまま初めての宇宙空間での演習に出るが、そして時を同じくして同盟の存在を揺るがしかねない同盟加盟国『胡州帝国』の国権軍権拡大を主張する独自行動派によるクーデターが画策されいるという報が届く。
誠は法術師専用アサルト・モジュール『05式乙型』を駆り戦場で何を見ることになるのか?そして彼の昇進はありうるのか?
蒼雷のオデュッセイア~黒き獅子王と紅き吸血姫は月下に舞う~
黒幸
SF
西暦20XX年。
人類は未曽有の危機に瀕していた。
妖怪、悪魔、都市伝説、UMA。
それらは『怪異』として、現実の世界に顕現したのだ。
対する人類は人型機動兵器アーマードマシナリーを開発し、世界は戦火に塗れていく。
少しでも滅びの時に抗おうとする人類……。
そんな中、刻明館学園に通う高校生・天宮 悠はひょんなことから、この熾烈な戦いに巻き込まれていくのだった。
彼自身に秘められた謎と不思議な少女と出会いを経て、運命が動き出す。
基本的に視点は三人称視点で進行します。
閑話や特別な話の際には一人称視点に変わりますのでその場合、文頭に視点を明示致します。
第一幕は6/9に完結予定となっています。
えっ俺が憧れの劉備玄徳の実の弟!兄上に天下を取らせるため尽力します。
揚惇命
SF
三国志の三英雄の1人劉備玄徳が大好きな高校生の劉義賢が劉備玄徳の墓を訪れるが、くまなく調べると何かの装置が作動し墓の中に落ちる。
辺りを見回すと奥に劉備玄徳愛用の双股剣があったので触れると謎の女性の『玄徳様の運命をお変えください』という言葉で光に包まれ目を覚ますとそこは後漢末期の涿郡涿県楼桑村だった。
目の前にいる兄だと名乗る劉備殿に困惑しながらも義勇兵を結成し、激動の時代を劉備殿の天下のために尽力する物語。
1章 黄巾の乱編 完結
2章 反董卓連合編 完結
3章 群雄割拠編 完結
4章 三国鼎立編 完結
5章 天下統一編 鋭意製作中
※二次創作ではありますが史実に忠実ではなくオリジナル戦記寄りとなってます。
数多くの武将が出るため、誰が話しているかわからなくなることを避けるために「」の前に名前を入れます。
読みにくい場合はコメントなどで教えてもらえるとありがたいです。
オリジナルキャラも登場します。
※小説家になろう様・カクヨム様でも掲載しています。
日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~
うみ
SF
ロシアと戦争がはじまる。
突如、現代日本の少年のノートにこのような落書きが成された。少年はいたずらと思いつつ、ノートに冗談で返信を書き込むと、また相手から書き込みが成される。
なんとノートに書き込んだ人物は日露戦争中だということだったのだ!
ずっと冗談と思っている少年は、日露戦争の経緯を書き込んだ結果、相手から今後の日本について助言を求められる。こうして少年による思わぬ歴史改変がはじまったのだった。
※地名、話し方など全て現代基準で記載しています。違和感があることと思いますが、なるべく分かりやすくをテーマとしているため、ご了承ください。
※この小説はなろうとカクヨムへも投稿しております。
歌うしか能がないと言われてダンジョン置き去りにされた俺、ギフト『歌声魅了』で魔物を弱体化していた!本来の力が目覚め最強へ至る【精霊王の末裔】
綾森れん
ファンタジー
竜人族の村に先祖返りした姿で生まれたジュキエーレは、生まれてすぐに聖女の加護を受けた。しかし彼はなぜか魔法が使えなかった。
それでも冒険者を夢見て剣の修行に励んだのに、授かったギフトは「歌声魅了」。
戦闘には不向きなギフトと思われていたが、実は人も魔物も操れる最強ギフトだった。
そうとは知らないパーティメンバーは、ジュキエーレを魔力無しの役立たずと思い込んで、ダンジョン内に置き去りにする。
足をすべらせて最下層に落ちたジュキエーレを待っていたのは、半身を氷漬けにされたドラゴンだった。遠い先祖であるドラゴンは、聖女が彼にかけた封印を解いてくれ、先祖返りした彼本来の膨大な精霊力が解放された。
なぜ聖女が自分の力を封じたのか知るため、ジュキエーレは旅立つ。そして聖女について調査するため訪れた隣国で、次期聖女になりたくない公爵令嬢と出会い恋に落ちた。最強の力を得たジュキエーレと、聖女の力を持つ公爵令嬢の幸せな旅が幕を開ける。
※カクヨム様で先行公開しています。
『精霊王の末裔~ギフト【歌声魅了】と先祖の水竜から受け継いだ力で世界を自由に駆け巡る!魔力無しから最強へ至る冒険譚~』
https://kakuyomu.jp/works/16817330649752024100
第8回カクヨムコン参加中ですので、アカウントをお持ちの方は応援お願い致します!!
(★がついているサブタイトルは他者sideです)
2023/1/16 HOTランキング1位、ファンタジーランキング1位、ありがとうございます!!
超越者となったおっさんはマイペースに異世界を散策する
神尾優
ファンタジー
山田博(やまだひろし)42歳、独身は年齢制限十代の筈の勇者召喚に何故か選出され、そこで神様曰く大当たりのチートスキル【超越者】を引き当てる。他の勇者を大きく上回る力を手に入れた山田博は勇者の使命そっちのけで異世界の散策を始める。
他の作品の合間にノープランで書いている作品なのでストックが無くなった後は不規則投稿となります。1話の文字数はプロローグを除いて1000文字程です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる