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2 思いこめばイタリアン
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「赤に赤ってのも何かなあ」
「いいじゃん、暖かそうで」
そう言いながら、私は大皿を一つ彼女に渡す。
アンティパストはにんじんの蒸し煮。
簡単な割には、栄養もありそうだし。
だいたいイタリアンと言っても、難しく考えてはいけない。
オリーブ油とにんにくを常備しておけば、「それらしい」ものは作ることができる。
ちなみに中華をするにはごま油としょうがだ。
オイスターソースもあればなお上等だ。
これだって、要は薄い輪切りにしたにんじんを、半割にんにくやローリエと一緒にオリーブ油で炒めただけだ。
料理の本ではバターも入れろ、とあったけれど、ちょっとくどい感じもあったのでオリーブ油だけ。
そのかわり少し塩をきかせた。
柔らかくなるまで蒸し煮にしたにんじんが特有の青臭さも消え、甘味と塩味がいいバランスになってくれている。
私はあんまりにんじんは好きではなかったのだが、一人で暮らし初めてからそれなりに自分の好きな味を見つけることができた。
「鍋行くよ」
「はいよ」
大きな鍋を真ん中に置いて、まだ蓋を開けないでね、と彼女に付け加える。
まだなのお、と彼女はすねる。
「もう一品あるんだから」
「やー、本格的い」
「やる時にはやるのよ」
難しいものを作っている訳ではない。
鍋の中にはリゾットが入っている。
かぼちゃのものだ。
ころころの角切りにしたかぼちゃを、炒めたハムや玉ねぎと一緒にスープで煮て、冷やご飯を入れた。
本当は米から炊くのかもしれないが…… そのあたりはちと省略。
パスタにしようか、とも思ったのだけど、今朝炊きすぎたごはんがあったので、それを使わない手はない。
一人暮らしは、どうしても無駄が出やすい。
でも無駄は出したくない。
上手い活用法があるならしない手は無い。
かぼちゃにしたところで、煮物にするにはいまいち美味しくないものもある。
かぼちゃは買って切ってみるまで判らない。
今回は、切った瞬間のさく、という感触で「失敗した!」と思った。
案の定、少しだけ炒め物に使った時、歯ごたえといい、味といい、その素っ気なさに肩をすくめたものだ。
でも色は綺麗だ。味を足せばそのあたりはカバーできる。
という訳でリゾットだ。
甘味が薄いだけで、全く無い訳ではないし、リゾットは無闇に甘くても仕方がない。
「あ、綺麗じゃん」
最後の皿を置くと彼女はすぐに反応した。
アンティパストが真っ赤だから、という訳ではないが、皿の上にはマグロと玉ねぎのソテー。
マッシュルームも一緒に炒めて、最後にゆで卵と青しそを散らした。
卵の黄色としその青がよく映えて綺麗。
かぼちゃリゾットも黄色なので、青みが足りないかな、という感じもするけど、まあいい。
らしければいいのだ。思いこめばイタリアン。
「ここまできたら、ドルチェもあり?」
「ジェラートとティラミスだったらどっちがいい?」
ティラミス、と彼女は答えた。
OKティラミスね、と私は答えた。
ジェラートは冷凍庫に、ティラミスは冷蔵庫に入っていた。
つい買い込んでしまったが、春先という季節がら、なかなか手をつけずにいた。
ヒーターは効いているから、冬でもアイスクリームは美味しいと言えば美味しい。
でも「冬に」「一人で」アイスというのは何となく悲しい。
それがたとえ、真夏の好物であるジェラートとしても、イタめし屋で必ず頼むティラミスだったとしても、だ。
いただきます、と私達は座り込んで手を合わせた。
「いいじゃん、暖かそうで」
そう言いながら、私は大皿を一つ彼女に渡す。
アンティパストはにんじんの蒸し煮。
簡単な割には、栄養もありそうだし。
だいたいイタリアンと言っても、難しく考えてはいけない。
オリーブ油とにんにくを常備しておけば、「それらしい」ものは作ることができる。
ちなみに中華をするにはごま油としょうがだ。
オイスターソースもあればなお上等だ。
これだって、要は薄い輪切りにしたにんじんを、半割にんにくやローリエと一緒にオリーブ油で炒めただけだ。
料理の本ではバターも入れろ、とあったけれど、ちょっとくどい感じもあったのでオリーブ油だけ。
そのかわり少し塩をきかせた。
柔らかくなるまで蒸し煮にしたにんじんが特有の青臭さも消え、甘味と塩味がいいバランスになってくれている。
私はあんまりにんじんは好きではなかったのだが、一人で暮らし初めてからそれなりに自分の好きな味を見つけることができた。
「鍋行くよ」
「はいよ」
大きな鍋を真ん中に置いて、まだ蓋を開けないでね、と彼女に付け加える。
まだなのお、と彼女はすねる。
「もう一品あるんだから」
「やー、本格的い」
「やる時にはやるのよ」
難しいものを作っている訳ではない。
鍋の中にはリゾットが入っている。
かぼちゃのものだ。
ころころの角切りにしたかぼちゃを、炒めたハムや玉ねぎと一緒にスープで煮て、冷やご飯を入れた。
本当は米から炊くのかもしれないが…… そのあたりはちと省略。
パスタにしようか、とも思ったのだけど、今朝炊きすぎたごはんがあったので、それを使わない手はない。
一人暮らしは、どうしても無駄が出やすい。
でも無駄は出したくない。
上手い活用法があるならしない手は無い。
かぼちゃにしたところで、煮物にするにはいまいち美味しくないものもある。
かぼちゃは買って切ってみるまで判らない。
今回は、切った瞬間のさく、という感触で「失敗した!」と思った。
案の定、少しだけ炒め物に使った時、歯ごたえといい、味といい、その素っ気なさに肩をすくめたものだ。
でも色は綺麗だ。味を足せばそのあたりはカバーできる。
という訳でリゾットだ。
甘味が薄いだけで、全く無い訳ではないし、リゾットは無闇に甘くても仕方がない。
「あ、綺麗じゃん」
最後の皿を置くと彼女はすぐに反応した。
アンティパストが真っ赤だから、という訳ではないが、皿の上にはマグロと玉ねぎのソテー。
マッシュルームも一緒に炒めて、最後にゆで卵と青しそを散らした。
卵の黄色としその青がよく映えて綺麗。
かぼちゃリゾットも黄色なので、青みが足りないかな、という感じもするけど、まあいい。
らしければいいのだ。思いこめばイタリアン。
「ここまできたら、ドルチェもあり?」
「ジェラートとティラミスだったらどっちがいい?」
ティラミス、と彼女は答えた。
OKティラミスね、と私は答えた。
ジェラートは冷凍庫に、ティラミスは冷蔵庫に入っていた。
つい買い込んでしまったが、春先という季節がら、なかなか手をつけずにいた。
ヒーターは効いているから、冬でもアイスクリームは美味しいと言えば美味しい。
でも「冬に」「一人で」アイスというのは何となく悲しい。
それがたとえ、真夏の好物であるジェラートとしても、イタめし屋で必ず頼むティラミスだったとしても、だ。
いただきます、と私達は座り込んで手を合わせた。
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