110 / 110
2部 光希と夏向のそれから
全て
しおりを挟む
(side光希)
から回ってしまったなと思う。
蓮叶くんが俺にしてくれた忠告は、正しく俺がやってしまった間違いだった。下手をすればずっと間違えたままで、取り返しのつかないことになるかもしれなかった。
何故、俺は『こう』なってしまったのだろう。俺がこうなってしまったのはΩを守りたいというαの本質のせいなんだろうか。
使命だとか言ってみたけれど……それで泣かせてしまってはきっと本末転倒だ。
幸せにしたい。
俺は、夏向を。夏向と。
「まあ、仕方ないよ~。αには闘争本能が備わっているからね~。それにΩへの独占欲もプラスされてそりゃもう面倒臭い生き物になってしまう感じ~」
生徒会室、やっと仕事を片付けたと藍は一息付きながら笑った。生徒会の業務をしながら雑談ついでについと、前回の出来事を俺は藍に話してしまった。
話すつもりは無かったんだが……藍は聞き出すのは上手いというか、蓮叶くんがその後を気にしていたと言われたら、話すしか無いだろう。
「闘争本能が関係あるのか?」
「そりゃあるよ~。周りを敵認定すると、どうしても信じられなくなるからね~。だったら『閉じ込めた方が早い!』って結論になるの~。閉じ込めたくなるのは、何かを敵認定しているからだよ」
勝ち誇ったように解説する藍を、何となくじろりと睨む。藍は『ふふふ』と口角の片方を上げて笑った。
「どうせ紅葉からの受け売りだろ?」
「あら、バレた?」
「彼が一番、αやΩの性質について研究しているからね」
でも、何となく分かる。俺はずっと、右代春都が敵だった。だから気を張って彼に負けないようにした。夏向に対する執着心がないときっと直ぐに夏向は俺の元を去ってしまうだろう。そんな危機感が少し前まではあった。
正義という言葉は、やっぱり人を盲目にしてしまうな……。まあ、夏向の手を離さなかったことはずっと後悔はしていないけれど。
あれは正しく、一歩引けば殺されるかもしれないという戦いだった。忘れようにもどうにも忘れられない、人が目の前で死ぬという恐怖を思い出す。
正義を貫いたからこそ、俺は夏向を守れたんだ。下手をしたら夏向に殺されるかもしれなかった、俺が。
「……要はバランスか」
「ん、何か言った~?」
「いや、別に」
いそいそと帰り支度をする藍を、何となく眺めながら俺は頬杖をつく。
考え事はいまいち纏まらなくて、俺はため息をついた。
藍が生徒会室に出ていったのを何となく横目で見ながら、俺はパソコンの電源を入れる。
時代の流れに適応できない生き物は淘汰されるだけだ。……俺は、それに追いついていなかったというわけか。
保守派であろうと革新派であろうと偏りすぎは悲惨な結末になってしまう。
本能のままではなく、時代を読み解きながらバランスを考え行動するのは、今後の俺の課題だろう。
『やっほ~。七世』
なんて考えていたらパソコンから呑気な音声が聞こえてきた。
「こんな時間に珍しいな、紅葉。どうしたのかな?」
『そういえば結野を副会長にする話、どうなったんかな~って。すっかり忘れてたけど』
パソコンの画面を紅葉からの映像に切り替える。いつも通り、スマホを手に持った胡散臭い白衣姿の紅葉が画面の奥で笑っていた。
そういえば夏向を副会長にするという案があった。しかし夏向の学費騒動で一回保留になったんだっけな。
「夏向は二学期から副会長をしてもらう。……と、言っても二学期の途中から俺の任期も終わるから、ほんの短い間になってしまうけどね」
また俺が選挙で勝てば生徒会長になれるけれど……高校三年生の後期まで生徒会長をした生徒は極わずかだと聞く。
普通は二年生に譲り、俺はのんびり隠居生活をするのがいいだろう。……勿論、隠居生活は比喩だけれど。
でも、少し夏向と触れ合う余裕を作ってもいいかなって思ってきた。また何か間違えてしまってもちゃんと話せば軌道修正出来るだろうから。そのために必要なのは『余裕』だ。
『ほぉん。まあ、ええんちゃう?』
「淡白な返事だね。夏向が学園に通えるようになったのは君のおかげなんだから、もう少し関心を持ってもいいと思うんだけれど」
『関心っていうか……。研究の手伝いさえしてくれれば、別にええし。結野がどういう学園生活を送るのか、俺が関与したらあかんやろ』
目にかかった前髪をかきあげた紅葉が画面に映る。スマホを見ながら何やら作業をしているようだが、それが何かまでは俺には分からない。
「紅葉」
話しかけるのに一瞬戸惑ったが、このタイミングが好ましいと思い、声をかけることにした。
「学費の件は……恩返しかな?」
俺の言葉に、一瞬驚いた顔の紅葉が画面に映る。
スマホから目を離し、俺を見ていた。
この表情……やはり図星か。
彼が夏向に持ちかけた取り引きだけれど……どう考えてもこちら側が美味しすぎる。取り引きだとか言いながら……本当は前のこと気に病んでいるのではないか。俺はそう思ってしまった。
「あれは、『七世』が『海上』にあげたお金だ。俺個人のお金でもないし、紅葉が個人的に受け取ったお金でもない。全部親達が判断したことだ……。それを、ずっと俺への借りだと思って、気に病んでいたのなら……謝りたい。いや、違うな。今回の件に繋がっているのなら、感謝したい。紅葉、ありがとう」
『なんやねん……急に。あ~でもそっか。バレたかぁ。そりゃ、破産寸前の会社助けて貰って俺の方が感謝してるんや。……実際、学費なんかよりそっちの方が金額が多いし……まだ返しきれてへん』
少し泣きそうな表情の紅葉が、何だか珍しく感じてしまう。
俺は七世に生まれただけだ。俺自身は何もしていないけれど……けれども七世の名前に恥じない生き方を今後もしたいと思ってしまった。
こうやって、父上のおかげで救われた人がいるなら……俺も同じ生き方をしたい。
『嬉しかったんや。あんなに泣いてた家族、初めて見てん。俺は……その時七世に忠誠を誓うと決めてんな』
「……」
何も言えなくて、つい黙ってしまった。
紅葉の行動原理は、損得勘定だと思っていたから。ずる賢く生きる方がきっと紅葉には合ってる。なのに、『忠誠』なんてものは足枷にしかならないだろうに。
『七世』
紅葉が、俺を呼んだ。紅葉の家を救った『七世』と同じ苗字の俺を。
『あんたは……あんま気にせんでええねん。これは俺の心の中の問題やから。だから、今回のも『俺』と『結野』の取引や、七世は関係ないんやよ?』
「そういうことにしておく……。じゃあ俺も、今回のことを勝手に『借り』だと思うのも紅葉には関係の無い話だ」
『はっはっは~。言うやん。まあ、とりあえず……俺のことはこれからも手元に置いておいて。俺もはよぉ……借り返さなあかんし』
「俺も、君に借りを返さないといけないな……」
少し迷ったけれど、改めて俺は言うことにした。少し咳払いをして恥ずかしさを隠す。
「紅葉、君の力が必要だよ。もう少し、俺と一緒にいてくれないか?」
『うん。最っ高の口説き文句や。じゃあ代わりに俺も、七世の権力を利用させて貰いますわ』
全く、誤解を招く言い方をしないでくれ。
「口説いてはいない。俺の運命は夏向だ」
『ええやん。何も運命の番だけが運命ちゃうで。自分にとって、重要な出会い方をした人みんな運命やねん。俺の人生には七世が必要やからな。……あんたもそうやろ?』
「そうだな。俺の人生に、紅葉は必要だ」
『運命』とは、唯一のことではなく、今まで出会った全ての事を指すのなら……。
俺の人生は、運命に溢れているだろう。
から回ってしまったなと思う。
蓮叶くんが俺にしてくれた忠告は、正しく俺がやってしまった間違いだった。下手をすればずっと間違えたままで、取り返しのつかないことになるかもしれなかった。
何故、俺は『こう』なってしまったのだろう。俺がこうなってしまったのはΩを守りたいというαの本質のせいなんだろうか。
使命だとか言ってみたけれど……それで泣かせてしまってはきっと本末転倒だ。
幸せにしたい。
俺は、夏向を。夏向と。
「まあ、仕方ないよ~。αには闘争本能が備わっているからね~。それにΩへの独占欲もプラスされてそりゃもう面倒臭い生き物になってしまう感じ~」
生徒会室、やっと仕事を片付けたと藍は一息付きながら笑った。生徒会の業務をしながら雑談ついでについと、前回の出来事を俺は藍に話してしまった。
話すつもりは無かったんだが……藍は聞き出すのは上手いというか、蓮叶くんがその後を気にしていたと言われたら、話すしか無いだろう。
「闘争本能が関係あるのか?」
「そりゃあるよ~。周りを敵認定すると、どうしても信じられなくなるからね~。だったら『閉じ込めた方が早い!』って結論になるの~。閉じ込めたくなるのは、何かを敵認定しているからだよ」
勝ち誇ったように解説する藍を、何となくじろりと睨む。藍は『ふふふ』と口角の片方を上げて笑った。
「どうせ紅葉からの受け売りだろ?」
「あら、バレた?」
「彼が一番、αやΩの性質について研究しているからね」
でも、何となく分かる。俺はずっと、右代春都が敵だった。だから気を張って彼に負けないようにした。夏向に対する執着心がないときっと直ぐに夏向は俺の元を去ってしまうだろう。そんな危機感が少し前まではあった。
正義という言葉は、やっぱり人を盲目にしてしまうな……。まあ、夏向の手を離さなかったことはずっと後悔はしていないけれど。
あれは正しく、一歩引けば殺されるかもしれないという戦いだった。忘れようにもどうにも忘れられない、人が目の前で死ぬという恐怖を思い出す。
正義を貫いたからこそ、俺は夏向を守れたんだ。下手をしたら夏向に殺されるかもしれなかった、俺が。
「……要はバランスか」
「ん、何か言った~?」
「いや、別に」
いそいそと帰り支度をする藍を、何となく眺めながら俺は頬杖をつく。
考え事はいまいち纏まらなくて、俺はため息をついた。
藍が生徒会室に出ていったのを何となく横目で見ながら、俺はパソコンの電源を入れる。
時代の流れに適応できない生き物は淘汰されるだけだ。……俺は、それに追いついていなかったというわけか。
保守派であろうと革新派であろうと偏りすぎは悲惨な結末になってしまう。
本能のままではなく、時代を読み解きながらバランスを考え行動するのは、今後の俺の課題だろう。
『やっほ~。七世』
なんて考えていたらパソコンから呑気な音声が聞こえてきた。
「こんな時間に珍しいな、紅葉。どうしたのかな?」
『そういえば結野を副会長にする話、どうなったんかな~って。すっかり忘れてたけど』
パソコンの画面を紅葉からの映像に切り替える。いつも通り、スマホを手に持った胡散臭い白衣姿の紅葉が画面の奥で笑っていた。
そういえば夏向を副会長にするという案があった。しかし夏向の学費騒動で一回保留になったんだっけな。
「夏向は二学期から副会長をしてもらう。……と、言っても二学期の途中から俺の任期も終わるから、ほんの短い間になってしまうけどね」
また俺が選挙で勝てば生徒会長になれるけれど……高校三年生の後期まで生徒会長をした生徒は極わずかだと聞く。
普通は二年生に譲り、俺はのんびり隠居生活をするのがいいだろう。……勿論、隠居生活は比喩だけれど。
でも、少し夏向と触れ合う余裕を作ってもいいかなって思ってきた。また何か間違えてしまってもちゃんと話せば軌道修正出来るだろうから。そのために必要なのは『余裕』だ。
『ほぉん。まあ、ええんちゃう?』
「淡白な返事だね。夏向が学園に通えるようになったのは君のおかげなんだから、もう少し関心を持ってもいいと思うんだけれど」
『関心っていうか……。研究の手伝いさえしてくれれば、別にええし。結野がどういう学園生活を送るのか、俺が関与したらあかんやろ』
目にかかった前髪をかきあげた紅葉が画面に映る。スマホを見ながら何やら作業をしているようだが、それが何かまでは俺には分からない。
「紅葉」
話しかけるのに一瞬戸惑ったが、このタイミングが好ましいと思い、声をかけることにした。
「学費の件は……恩返しかな?」
俺の言葉に、一瞬驚いた顔の紅葉が画面に映る。
スマホから目を離し、俺を見ていた。
この表情……やはり図星か。
彼が夏向に持ちかけた取り引きだけれど……どう考えてもこちら側が美味しすぎる。取り引きだとか言いながら……本当は前のこと気に病んでいるのではないか。俺はそう思ってしまった。
「あれは、『七世』が『海上』にあげたお金だ。俺個人のお金でもないし、紅葉が個人的に受け取ったお金でもない。全部親達が判断したことだ……。それを、ずっと俺への借りだと思って、気に病んでいたのなら……謝りたい。いや、違うな。今回の件に繋がっているのなら、感謝したい。紅葉、ありがとう」
『なんやねん……急に。あ~でもそっか。バレたかぁ。そりゃ、破産寸前の会社助けて貰って俺の方が感謝してるんや。……実際、学費なんかよりそっちの方が金額が多いし……まだ返しきれてへん』
少し泣きそうな表情の紅葉が、何だか珍しく感じてしまう。
俺は七世に生まれただけだ。俺自身は何もしていないけれど……けれども七世の名前に恥じない生き方を今後もしたいと思ってしまった。
こうやって、父上のおかげで救われた人がいるなら……俺も同じ生き方をしたい。
『嬉しかったんや。あんなに泣いてた家族、初めて見てん。俺は……その時七世に忠誠を誓うと決めてんな』
「……」
何も言えなくて、つい黙ってしまった。
紅葉の行動原理は、損得勘定だと思っていたから。ずる賢く生きる方がきっと紅葉には合ってる。なのに、『忠誠』なんてものは足枷にしかならないだろうに。
『七世』
紅葉が、俺を呼んだ。紅葉の家を救った『七世』と同じ苗字の俺を。
『あんたは……あんま気にせんでええねん。これは俺の心の中の問題やから。だから、今回のも『俺』と『結野』の取引や、七世は関係ないんやよ?』
「そういうことにしておく……。じゃあ俺も、今回のことを勝手に『借り』だと思うのも紅葉には関係の無い話だ」
『はっはっは~。言うやん。まあ、とりあえず……俺のことはこれからも手元に置いておいて。俺もはよぉ……借り返さなあかんし』
「俺も、君に借りを返さないといけないな……」
少し迷ったけれど、改めて俺は言うことにした。少し咳払いをして恥ずかしさを隠す。
「紅葉、君の力が必要だよ。もう少し、俺と一緒にいてくれないか?」
『うん。最っ高の口説き文句や。じゃあ代わりに俺も、七世の権力を利用させて貰いますわ』
全く、誤解を招く言い方をしないでくれ。
「口説いてはいない。俺の運命は夏向だ」
『ええやん。何も運命の番だけが運命ちゃうで。自分にとって、重要な出会い方をした人みんな運命やねん。俺の人生には七世が必要やからな。……あんたもそうやろ?』
「そうだな。俺の人生に、紅葉は必要だ」
『運命』とは、唯一のことではなく、今まで出会った全ての事を指すのなら……。
俺の人生は、運命に溢れているだろう。
1
お気に入りに追加
109
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
これがおれの運命なら
やなぎ怜
BL
才能と美貌を兼ね備えたあからさまなαであるクラスメイトの高宮祐一(たかみや・ゆういち)は、実は立花透(たちばな・とおる)の遠い親戚に当たる。ただし、透の父親は本家とは絶縁されている。巻き返しを図る透の父親はわざわざ息子を祐一と同じ高校へと進学させた。その真意はΩの息子に本家の後継ぎたる祐一の子を孕ませるため。透は父親の希望通りに進学しながらも、「急いては怪しまれる」と誤魔化しながら、その実、祐一には最低限の接触しかせず高校生活を送っていた。けれども祐一に興味を持たれてしまい……。
※オメガバース。Ωに厳しめの世界。
※性的表現あり。
運命の息吹
梅川 ノン
BL
ルシアは、国王とオメガの番の間に生まれるが、オメガのため王子とは認められず、密やかに育つ。
美しく育ったルシアは、父王亡きあと国王になった兄王の番になる。
兄王に溺愛されたルシアは、兄王の庇護のもと穏やかに暮らしていたが、運命のアルファと出会う。
ルシアの運命のアルファとは……。
西洋の中世を想定とした、オメガバースですが、かなりの独自視点、想定が入ります。あくまでも私独自の創作オメガバースと思ってください。楽しんでいただければ幸いです。
壊れた番の直し方
おはぎのあんこ
BL
Ωである栗栖灯(くりす あかり)は訳もわからず、山の中の邸宅の檻に入れられ、複数のαと性行為をする。
顔に火傷をしたΩの男の指示のままに……
やがて、灯は真実を知る。
火傷のΩの男の正体は、2年前に死んだはずの元番だったのだ。
番が解消されたのは響一郎が死んだからではなく、Ωの体に変わっていたからだった。
ある理由でαからΩになった元番の男、上天神響一郎(かみてんじん きょういちろう)と灯は暮らし始める。
しかし、2年前とは色々なことが違っている。
そのため、灯と険悪な雰囲気になることも…
それでも、2人はαとΩとは違う、2人の関係を深めていく。
発情期のときには、お互いに慰め合う。
灯は響一郎を抱くことで、見たことのない一面を知る。
日本にいれば、2人は敵対者に追われる運命…
2人は安住の地を探す。
☆前半はホラー風味、中盤〜後半は壊れた番である2人の関係修復メインの地味な話になります。
注意点
①序盤、主人公が元番ではないαたちとセックスします。元番の男も、別の女とセックスします
②レイプ、近親相姦の描写があります
③リバ描写があります
④独自解釈ありのオメガバースです。薬でα→Ωの性転換ができる世界観です。
表紙のイラストは、なと様(@tatatatawawawaw)に描いていただきました。
安心快適!監禁生活
キザキ ケイ
BL
ぼくは監禁されている。痛みも苦しみもないこの安全な部屋に────。
気がつくと知らない部屋にいたオメガの御影。
部屋の主であるアルファの響己は優しくて、親切で、なんの役にも立たない御影をたくさん甘やかしてくれる。
どうしてこんなに良くしてくれるんだろう。ふしぎに思いながらも、少しずつ平穏な生活に馴染んでいく御影が、幸せになるまでのお話。
後天性オメガの合理的な番契約
キザキ ケイ
BL
平凡なベータの男として二十六年間生きてきた山本は、ある日突然バースが変わったと診断される。
世界でも珍しい後天性バース転換を起こした山本は、突然変異のオメガになってしまった。
しかも診断が下ったその日、同僚の久我と病院で遭遇してしまう。
オメガへと変化した自分にショックを隠しきれない山本は、久我に不安を打ち明ける。そんな山本に久我はとんでもないことを提案した。
「先輩、俺と番になりませんか!」
いや、久我はベータのはず。まさか…おまえも後天性!?
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
この噛み痕は、無効。
ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋
α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。
いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。
千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。
そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。
その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。
「やっと見つけた」
男は誰もが見惚れる顔でそう言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる