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8 たかが噂で民衆は踊る。
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(side夏向)
トップページは今注目の話題がデカデカと表示される仕組みだ。
その記事の更新日は今日の昼。正しく出来たてホヤホヤの、新しい記事だ。
そこには、僕と生徒会長である光希が一緒に写ってる。後ろ姿で顔は見えないけど、僕が光希に寄りかかって、光希がそれを支えてる……廊下だろうか。
それにしても、いつの間にこんなの撮られたんだろう。
でも、そんな心配よりも記事の内容の方が酷かった。
『Ωの転入生、生徒会長を誘惑』
そんな見出しの記事に頭が痛くなる。
心の穴が、更に深くなってドクン、ドクンと音を立てた。
『Ωの転入生、結野夏向。生徒会長を誘惑し手駒にした。そして邪魔な凪副会長を脱退させた。恐らく、生徒会をαだけにして自分のハーレムを作りたいのだろう』
根拠の無い嘘。僕から見れば、それは嘘だって分かる。
いや、でもやっぱりどうだろう。誘惑して殺そうとしたのは事実だ……。怖くて視界がぐらりと歪む。なのに、どんどん先を読んでしまった。
コメントは千件以上ある。流石に全部は無理だと思い、軽く最初だけ読んでみる。
その殆どが、僕と生徒会長の罵詈雑言だ。
『生徒会長好きだったのに、あの汚いΩのせいで』
『死んでしまえ』
『やっぱり生徒会長もΩの誘惑に流されるαなんだよな』
『副会長可哀想、許さない。俺たちβはαに搾取されるだけの生き物じゃ無いんだぞ』
『生徒会長のアレは大きかったですか?』
『乱交とか、毎日のようにしてそう。だからあんな頭悪い顔してんのか』
『知ってる?あいつの小テストの点数』
『うわ、ひっく。よく転入して来ようと思ったな、場違いじゃんか』
『やっぱり風俗がお似合いだよな』
手が震える。僕は裏でこんな風に思われていた。知らないうちに涙が出て、鼻を啜った。
もういい。やっぱり僕は光希と関わろうとしたのが間違いだった。光希の輝きも、僕が汚してしまう。
ああ、僕はまた、居場所を無くしてしまったんだ。
頭がグラグラする。そんな時、上から『本当なのか?』と声が聞こえた。
「違います。でも七世生徒会長が僕のせいで変な噂になっているのは、本当のことで……」
立ったまま腕を組んでいる担任を見上げ、訴えかける。今すぐにでも泣きたいのに、泣いてしまったら本当に誘惑しているみたいだ。
つーんと鼻の奥が熱くなって、それでも耐えた。一番の被害者は光希だ。全部の原因は僕だから、僕が泣いてはいけない。
「運命というのは本当なんだろう?」
「はい」
「なら、七世が結野を守ろうとしてあいつを脱退させたのかもな。悪かった。αとΩの関係は、俺たちβが介入出来る問題でも無いしな」
優しい微笑みを浮かべた担任に、僕はほっとする。
するとピコンっと何やらスマホから音がして、僕はまたスマホを見た。
ハトファイから最新記事が更新されたらしい。
「え……?」
何やら、映像だった。
サムネイルに、僕の兄様が映っていた。
トップページは今注目の話題がデカデカと表示される仕組みだ。
その記事の更新日は今日の昼。正しく出来たてホヤホヤの、新しい記事だ。
そこには、僕と生徒会長である光希が一緒に写ってる。後ろ姿で顔は見えないけど、僕が光希に寄りかかって、光希がそれを支えてる……廊下だろうか。
それにしても、いつの間にこんなの撮られたんだろう。
でも、そんな心配よりも記事の内容の方が酷かった。
『Ωの転入生、生徒会長を誘惑』
そんな見出しの記事に頭が痛くなる。
心の穴が、更に深くなってドクン、ドクンと音を立てた。
『Ωの転入生、結野夏向。生徒会長を誘惑し手駒にした。そして邪魔な凪副会長を脱退させた。恐らく、生徒会をαだけにして自分のハーレムを作りたいのだろう』
根拠の無い嘘。僕から見れば、それは嘘だって分かる。
いや、でもやっぱりどうだろう。誘惑して殺そうとしたのは事実だ……。怖くて視界がぐらりと歪む。なのに、どんどん先を読んでしまった。
コメントは千件以上ある。流石に全部は無理だと思い、軽く最初だけ読んでみる。
その殆どが、僕と生徒会長の罵詈雑言だ。
『生徒会長好きだったのに、あの汚いΩのせいで』
『死んでしまえ』
『やっぱり生徒会長もΩの誘惑に流されるαなんだよな』
『副会長可哀想、許さない。俺たちβはαに搾取されるだけの生き物じゃ無いんだぞ』
『生徒会長のアレは大きかったですか?』
『乱交とか、毎日のようにしてそう。だからあんな頭悪い顔してんのか』
『知ってる?あいつの小テストの点数』
『うわ、ひっく。よく転入して来ようと思ったな、場違いじゃんか』
『やっぱり風俗がお似合いだよな』
手が震える。僕は裏でこんな風に思われていた。知らないうちに涙が出て、鼻を啜った。
もういい。やっぱり僕は光希と関わろうとしたのが間違いだった。光希の輝きも、僕が汚してしまう。
ああ、僕はまた、居場所を無くしてしまったんだ。
頭がグラグラする。そんな時、上から『本当なのか?』と声が聞こえた。
「違います。でも七世生徒会長が僕のせいで変な噂になっているのは、本当のことで……」
立ったまま腕を組んでいる担任を見上げ、訴えかける。今すぐにでも泣きたいのに、泣いてしまったら本当に誘惑しているみたいだ。
つーんと鼻の奥が熱くなって、それでも耐えた。一番の被害者は光希だ。全部の原因は僕だから、僕が泣いてはいけない。
「運命というのは本当なんだろう?」
「はい」
「なら、七世が結野を守ろうとしてあいつを脱退させたのかもな。悪かった。αとΩの関係は、俺たちβが介入出来る問題でも無いしな」
優しい微笑みを浮かべた担任に、僕はほっとする。
するとピコンっと何やらスマホから音がして、僕はまたスマホを見た。
ハトファイから最新記事が更新されたらしい。
「え……?」
何やら、映像だった。
サムネイルに、僕の兄様が映っていた。
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