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4 幸せに成れない人間は幸せに慣れない 。

逃走

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(side夏向)
早めにお風呂に入った後、僕はついうとうとしてソファで寝てしまった。制服のままで。生徒会長は寝間着を用意してくれた。けれども僕が着ると汚してしまう気がして、それを着ることが出来なかった。僕はここに来る時に着てきた制服のまま、ソファで眠りにつく。

「寝ちゃったんだ」

お風呂から帰ってきた生徒会長は、寝ている僕に気づく。
そして制服で寝心地が悪そうな僕を抱えあげ、寝間着に着替えさせた。そしてベッドにそっと下ろし、自身も寝る準備を整えベッドの隣に入る。
ベッドはもちろん、キングサイズ。ひとりでは大きすぎるベッド。ふたりでも余裕だ。

そのうち、生徒会長も眠りについた。


僕は随分後に目を覚まして、それに気づいた。ソファがベッドにかわる。そして制服で寝ていたはずなのに、寝間着だ。
そして僕は、ああこれは、生徒会長の仕業だと察した。

僕はまた制服に着替えて、この部屋を出た。せめてとメモを残したが、大して何も書けなかった。
入る時は指紋認証やら虹彩認証やらが必要だが、出る時はそうでは無い。
辺りはうっすら明るくなり始めていた。梅雨の季節だから微かに雨が降っているけれど……傘が必要な程でもない。もう少し待てば、朝になって門も開くだろう。学園のマップを把握するのに時間はかかったが、そんなに迷わなかった。
僕はそうやって、生徒会長の住居スペースから、そして学園から抜け出した。

生徒会長、どうか幸せに。
僕には強すぎる希望と、光だったんだ。
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