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2 あんたは僕を絶望に落とす。俺は君の希望になりたい。

渾名

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(side夏向)
次の日からは僕は授業を受ける。
クラスは一年B組だ。内部生は一組から四組まで。外部生はA組とB組と分かれている。成績順だが、僕の成績は転入試験合格ギリギリだった。
まあ、そうだろうな。ただえさえ偏差値の高い学校だ。編入試験なんて難しいに決まってる。
僕が幼少期に英才教育を受けていたと言っても10歳までだし。むしろ多少物覚えがいい方で良かった。下手すれば不合格だったかもしれないんだから。
ちなみに七世生徒会長は三年一組。教室も離れていて普通にしていればまあ、ばったり会うことは無いだろう。

「結野夏向です。Ωですが……よろしくお願いします」

一斉にクラスが動揺するのが分かる。Ωは差別される側だ。中には嫌悪感を抱く人もいるだろう。
それでも構わなかった。どうせ何かの拍子にバレるのだから隠しても一緒だ。二ヶ月間しかいないことは決定事項だし、虐められ慣れてもいる。自己紹介を済ましたあとクラスの動揺を無視してさっさと自分の席に座った。

「面白いな、お前。仲良くしようぜ」

後ろの席から急に声をかけられ、振り返った。

「面白い……どこか?」
「そういうところが」

分からないなと首を捻る。Ωである僕に話しかける方が僕にとっては充分変人だと思う。僕に話しかけた彼を見た。
身長は僕より少し低いくらい。短めの黒髪に幼い丸い顔には茶色い眼鏡をかけていた。低身長だが、α特有のオーラも、Ω特有の儚さも無い。βだろうか。

「俺のことはナギって呼んでくれ。お前のことは……なんて呼べばいい?」
「何でもいい」
「じゃあユイで」

全然僕の名前じゃ無かった。苗字の『結野』から来てるだろ、それ。

「なんでユイ?」
「最初の二文字しかちゃんと聞き取れなかったんだよ!!渾名みたいでいいじゃん。俺もナギって呼んでくれ。クラスで浸透してる渾名だから。それ」
「分かった。これからよろしくナギ」

どうやらΩである僕に話しかけてくれたクラスメートは居たみたいだ。友達が出来るのは予想外だが……別に悪い気分にはならない。僕の仕事がある限り、真の友人にはなり得ないだろうけど……まあいいかと今は笑った。
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