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アイスの幸せ
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「ねえねえ、そういえばアイス買ってきたの。一緒に食べよ!」
お風呂あがり、リビングに戻ってきた彼に声をかける。
さっきは衝撃的なことが起こりすぎてすっかり忘れていたが、そういえば私はバイト終わりにコンビニに寄って、アイスを買ってきたのだ。彼は少し戸惑った顔をしていたが、やがて小さくこくりと首を縦に振った。
それを確認して、私は彼と一緒にリビングのソファに腰かけた。彼の隣に座ってアイスの蓋を開けると、甘い香りが広がる。いただきます、と呟いて、カップに入ったアイスクリームをスプーンですくう。口に運べば、冷たい甘さが口の中に広がった。うん、やっぱり美味しい。その幸せに浸っていると、ふいに彼がこちらを見ていることに気づいた。その瞳には、好奇心のような感情が浮かんでいた。その表情からは、どこか幼さを感じる。
「もしかして、バニラのほうがよかった?」
なんだろうと思って、私は彼に尋ねた。私が買ってきたアイスはバニラとチョコの2つ。彼はどちらでもいいというので、私が先にバニラを選んだのだけど、やっぱりバニラのほうが食べたくなったのだろうか。すると彼はふるふると首を横に振る。そして、小さな声でこう答えた。
「いえ、そういうわけじゃなくて……。ただ……」
そこまで言うと、彼は急に黙り込んでしまった。ただ……のあとの言葉が出てこない。不思議に思って、私は思わず彼のほうを向いた。彼は、何事か考え込んでいるようだ。しばらくして、彼はようやく続きを口にした。
「……幸せだな、って」
ぽつりと零れた言葉を聞いて、どきりとする。彼は、相変わらず優しい目をしていた。その横顔に、なぜだか胸がきゅっと締め付けられるような気がした。
お風呂あがり、リビングに戻ってきた彼に声をかける。
さっきは衝撃的なことが起こりすぎてすっかり忘れていたが、そういえば私はバイト終わりにコンビニに寄って、アイスを買ってきたのだ。彼は少し戸惑った顔をしていたが、やがて小さくこくりと首を縦に振った。
それを確認して、私は彼と一緒にリビングのソファに腰かけた。彼の隣に座ってアイスの蓋を開けると、甘い香りが広がる。いただきます、と呟いて、カップに入ったアイスクリームをスプーンですくう。口に運べば、冷たい甘さが口の中に広がった。うん、やっぱり美味しい。その幸せに浸っていると、ふいに彼がこちらを見ていることに気づいた。その瞳には、好奇心のような感情が浮かんでいた。その表情からは、どこか幼さを感じる。
「もしかして、バニラのほうがよかった?」
なんだろうと思って、私は彼に尋ねた。私が買ってきたアイスはバニラとチョコの2つ。彼はどちらでもいいというので、私が先にバニラを選んだのだけど、やっぱりバニラのほうが食べたくなったのだろうか。すると彼はふるふると首を横に振る。そして、小さな声でこう答えた。
「いえ、そういうわけじゃなくて……。ただ……」
そこまで言うと、彼は急に黙り込んでしまった。ただ……のあとの言葉が出てこない。不思議に思って、私は思わず彼のほうを向いた。彼は、何事か考え込んでいるようだ。しばらくして、彼はようやく続きを口にした。
「……幸せだな、って」
ぽつりと零れた言葉を聞いて、どきりとする。彼は、相変わらず優しい目をしていた。その横顔に、なぜだか胸がきゅっと締め付けられるような気がした。
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