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大学1年(後輩)と大学2年(先輩)
お泊まり
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付き合い始めて半年ほど経った頃、初めて僕の家に彼女が泊まりに来ることになった。今まで、僕が彼女の家に泊まりに行くことは何度もあったが、まだ一度も体を重ねたことはない。僕は早く彼女ともっと深い関係になりたいと思っているのだが、彼女も同じように思ってくれている自信がなくて、なかなか手を出せずにいる。もちろん僕にも彼女のことを大事にしたい気持ちはあるけど、それでもやっぱり僕だって男だ。好きな人の全てを知りたい。僕の前で乱れる好きな人の姿を見てみたい。だから、せっかく訪れたこの機会を逃すわけにはいかないのだ。
彼女が家に来ることが決まってからずっと、そわそわして落ち着かない。掃除も毎日いつも以上に丁寧にしているし、彼女が普段使っているシャンプーやトリートメントも買ってきたし、布団やシーツだって綺麗なものを用意した。もちろん避妊具も。
付き合っているんだからいつかはそういうことをするというのは自然な流れなのだが、いざその時が近づいてくると緊張してしまう。今まで何度も夢想してきたシチュエーションではあるものの、実際にそうなるとやはり不安も感じてしまう。上手くリードできるだろうかとか、彼女に引かれたりしないだろうかといった心配事が頭に浮かんできて、前日の夜はなかなか眠れなかった。
◇◇◇
次の日の夜。
そろそろ寝ようという流れになり部屋の明かりを暗くすると、彼女がこちらへ寄ってきた。ベッドの上で仰向けになっている僕の胸に顔をうずめるようにして抱きついてきた彼女に少し驚く。
「今日は甘えん坊さんなんですね」
「うん」
彼女は小さくうなずいた。可愛くて思わず頭を撫でると、嬉しそうに顔を擦り寄せてくれる。
「だいすき」
「ん……僕も好きです……」
彼女からこんな風に積極的に甘えてもらえることはあまりないので、僕もなんだか落ち着かない気分になってくる。これは期待してもいいのだろうか、なんて考えてしまって、どんどん心臓の音が早くなった。彼女にも聞こえてしまっているかもしれない。
しばらくそうして横になり、いい雰囲気のまま、僕は彼女にそっとキスをした。最初は軽く触れるだけのものだったが、徐々に深くなっていく。舌を絡めると、彼女もそれに応えてくれた。
「んっ……ぁ……っ……」
唇を離すと、彼女は頬を上気させて息を整えていた。その姿があまりに美しくて僕は思わず見惚れてしまった。
◇◇◇
隣で眠る先輩を見つめる。先輩はすやすやと寝息を立てていて気持ちよさそうに眠っている。眠れないままの僕を残して。
さっきまではあんなにいい雰囲気だったのに、結局彼女と一線を越えることはなかった。たくさんキスをしたら先輩は満足したようで、そのうち僕の腕の中でうとうとし始めてしまったのだ。もっと僕が上手く誘えたらよかったのだが、あんまりしつこく誘ったらただヤりたいだけの男だと思われるんじゃないか、なんて考えてしまって何もできなかった。
先輩は可愛い。そして優しい。僕には勿体無いくらい素敵な人だと思う。
でも、僕は先輩を独り占めしたいという欲望を抑えることができそうにないのだ。先輩を誰にも渡したくない。他の男に触れさせたくない。僕だけが先輩のすべてを知っていればいいし、僕の知らない先輩がいるなんて耐えられない。だから、早く先輩のすべてを僕のものにしてしまいたいのに。
先輩はどうだろうか。僕のことをそれだけ愛してくれているのだろうか。もともと執着心のない人だ。僕のことだって、ちゃんと恋人だと思ってくれているのか怪しいくらい。だって普通、恋人と同じベッドで寝るときにはそういうことを想像するものだ。それなのに先輩は「おやすみー」なんてのんきに言って寝てしまうんだから。悔しいから思いっきり抱きしめてやったら、ふふ、と嬉しそうにしていて、それは可愛かったんだけど。
やっぱりだめだ。先輩が可愛くて、大好きで、今すぐどうにかしたい衝動に駆られる。このままではまずいとわかっていても抑えることができない。僕は眠っている先輩を強く抱き締めた。
「ん……」
先輩が目を覚ました。起こしてしまったのは申し訳ないけど、でもこのまま何もせずに彼女を帰してしまうのは嫌で。まだ少し寝ぼけた様子の先輩の頬に手を添えてキスをした。先輩は何も言わず僕を受け入れてくれている。それがまた僕を煽る。もう歯止めがきかなかった。突然の出来事に困惑している彼女を無視して再び唇を重ねる。今度はさっきよりも激しく。そのまま彼女の服に手をかけようとしたが、直前になってまた僕は怖気づいてしまった。これ以上進むのが怖い。彼女を傷付けるかもしれないと思うと、どうしても踏み出せない。
そんな僕の様子を見て、彼女はやっと状況を理解したらしい。
「な、なにするの」
「だって先輩、僕と……、その……しようとしないじゃないですか。もう付き合って半年も経つのに」
「いや、それは……」
「僕たち付き合ってるんですよ。別にいいはずでしょう?」
「そう、なんだけどね」
「どうしてだめなんですか?」
「……」
先輩は黙り込んでしまった。
「どうして……?」
僕は先輩の顔をじっと見つめる。
「あのね、私こういうの初めてだから、怖いっていうか……」
「優しくしますよ?」
「そうかもしれないけど……上手にできないかも……」
「……大丈夫です、僕も初めてですから」
「ほ、ほんと?」
「はい。それに、先輩は僕に全部任せてくれたらいいんですよ」
「……」
「ね、先輩。……キスしてもいいですか?」
「うん……」
先輩は震えていた。僕は先輩の手を握った。少しでも安心してくれるように。
「大丈夫です。何も心配いらないですから」
「でも……」
「お願いです。信じてください」
「うん……」
「じゃあ、いいんですね?」
「……うん」
「あ……そういえば、先輩」
僕は、せっかくなのでずっと気になっていたことも聞いてみることにした。
「言い出すタイミングがなくて、ずっとそのままにしてたんですけど。先輩のこと、そろそろ名前で呼んでもいいですか? ほら、僕たち……付き合って、るんですし……」
「う、うん。そうだね」
「えっと、じゃあ、み、美月さん……」
「……」
「みつき……さん?」
「え、あ、うん!」
「どうしました?」
「ううん、なんでもない……」
そう言って美月さんは顔を背けた。耳まで真っ赤になっている。どうやら照れているらしい。かわいい……。
「美月さん、こっち向いてください」
「だめ……」
「お願いします」
「……だめ」
僕は諦めなかった。しばらく粘ると、ようやくこちらを向いてくれた。僕はすかさず彼女にキスをする。
「ん……」
彼女も受け入れてくれた。何度も角度を変えてキスをする。僕が彼女の唇を軽く舐めると、彼女の体がピクリと揺れた。
「美月さん。口……、開けて」
彼女は素直に従って、少しだけ口を開いた。舌を入れ、歯列をなぞるように動かしていくと、彼女もそれに応えてくれる。舌を絡めると、きゅっと僕の服を掴んでくるのが可愛い。僕も彼女の小さな体を抱きしめた。
「はぁ……っ」
長い時間のあと、どちらからともなく離れた。キスをしただけなのに、彼女は瞳を潤ませてすっかり蕩けきった顔になっている。僕とのキスでそうさせたのだと思うとどうにも理性が飛びそうになる。彼女をもっとめちゃくちゃにしてやりたくて堪らなくなる。大事にしたいとは思っているのに、あまりにも彼女が可愛くて。ぎゅっと僕の手を握りしめてきた彼女の手を取って、指を絡めて恋人繋ぎみたいにすると、僕は彼女の首筋に吸い付いた。触れるたびに体をビクビク震わせながら繋いだ手を握ってくる彼女が可愛くて、つい強く吸ってしまった。
「あっ、やぁっ……」
彼女は首を押さえて僕を見つめている。
「痛かったですか?」
「う、うん……」
「ごめんなさい」
僕は謝ると、今度は鎖骨の下に跡をつけた。彼女は相変わらず可愛らしく反応している。
「美月さん。好きです。大好き」
「わ、わかってるから……」
「本当ですか?」
「ほんとだよ」
「嬉しい……」
胸に触れると、柔らかく弾力がある。手のひらから彼女の鼓動を感じて嬉しくなった。
「ふふ、ドキドキしてる。美月さんもわかります?」
「い、いちいち聞かないで……」
「かわいい……」
「ん……」
彼女の胸に顔を埋めると、ふわりと石鹸の香りがした。
「やわらかい……」
「あんまり触られると恥ずかしいんだけど……」
「どうして?」
「どうしてって……」
「僕はもっと美月さんの体に触れたいです」
彼女を抱き寄せると、彼女も僕の背中に手を伸ばして抱きしめてくれる。
「美月さん、好き……」
「私も……」
彼女の心臓の音が速くなっていく。僕たちは再び深いキスをした。
「ん……」
服の上から彼女の胸を優しく撫でると、彼女は吐息を漏らした。そのまま服の中に手を入れて、ゆっくりと揉みほぐしていくうちに先端が硬くなってきた。そこを口に含んで転がしたり吸ったりしていると、彼女の吐息が甘いものへと変わっていく。
「ゃ……、あ……っ」
胸が感じやすいのか、それだけで彼女は声を上げ始めた。
両胸の先端を指で捏ねるようにしてやると、体を反らして快感に耐えようとしているのが可愛い。
「や……だぁ……、ぁ……んぅ……」
「嫌なんですか?」
僕はわざとらしく聞いた。別に自分がSであるとは思わないけど、美月さんがあまりに可愛すぎてちょっといじわるしてみたくなってしまう。
「ち、違……、ひぁ……! あ……ん……っ」
「ふふ。……じゃあ僕にこうされるの好きなんだ?」
美月さんが首を横に振って否定するので、僕はそのまま両方の乳首を摘まんでみた。少し強めにくるくると転がすと、彼女が慌てて僕の腕を掴んだ。
「ぁ……っ! それだめ……!」
「どうしてですか?」
僕は構わず彼女の敏感な場所に刺激を与え続けた。
「変になる……から……!」
「いいですよ。なってください」
両胸を愛撫しながらキスをすると、彼女の腰がビクンと跳ねた。僕とのキスが好きなのかな。そうだったら嬉しい。
「も、もうだめ……! やめて……っ」
「どうしてですか? こんなになってるのに……」
僕は右手を下に滑らせて、太腿を撫で上げた後、下着の中へと侵入させる。そこはもうすっかり潤んでいた。指先でなぞるように撫で上げるだけでくちゅくちゅという音が響く。
「すごい……僕でこんなに感じてくれたんだ」
「い、言わないで……」
「ここ、触りますね」
「え、待っ……、……ぁんっ」
僕は中へ指を入れようとしたが、少しキツかったので一度引き抜いて、代わりに親指で陰核を刺激した。
「んっ……や、……っ、あ……!」
彼女は快感に耐えられないというように身を捩らせた。やがて中に侵入すると、膣内は熱く締め付けてきて、僕の指に絡みついてくる。ゆっくり抜き差しを繰り返すたびに、水音が大きくなっていった。
「美月さん、気持ち良いですか? イきそう?」
「ん……、ん……!」
コクコクと彼女が何度もうなずいた。
「じゃあ僕の顔見ながらイッて。それと……」
「……?」
「……ね、美月さん。僕も名前、呼んでほしいです」
「……ぇ、なまえ……?」
「うん」
「……ゆ……、ゆうくん……っ」
彼女が消え入りそうな声で僕の名を呼んだ瞬間、膣内が収縮し、僕の指を締め付けた。同時に彼女は達して脱力する。
「はぁ……はぁ……、ん……」
「大丈夫ですか?」
「ん……大丈夫……」
彼女はまだ呼吸を整えていたが、やがて落ち着いてきたようだ。
「ねえ、美月さん」
「なに……?」
「好きですか、僕のこと」
「うん……好きだよ……」
彼女は僕の胸に顔を擦り寄せてきた。猫みたいで可愛い。キスのおねだりをされたので、頭を撫でながら深いキスをしてあげると、彼女からも積極的に舌を絡ませてくれた。大好きな彼女が僕を求めてくれていることにすごく興奮する。
「……そろそろいれてもいいですか?」
「うん……」
「痛かったら言ってくださいね」
「うん」
僕は避妊具を装着して、美月さんのそこへあてがう。そしてゆっくりと挿入していった。
「……痛くないですか?」
「だいじょうぶ……」
彼女の様子を見ながら少しずつ奥へ進む。全て入ったところで動きを止め、馴染ませるためにしばらくそのままの状態でいた。
「全部入りましたよ」
「うん……」
彼女の目から涙が溢れ出す。
「え!? ごめんなさい、やっぱりどこか痛みますか?」
「ううん、そうじゃなくて……」
彼女は首を横に振る。
「……嬉しいの……」
「美月さん……」
「私、幸せだよ」
彼女を抱き寄せると、そう言って彼女は笑った。その笑顔は今まで見たどんなものよりも美しく見えた。
「僕もです」
僕は彼女に口づけた。舌を絡め合うと、繋がっている部分がキュッと締まる。
「んっ……はぁ……」
唇を離すと、唾液が糸を引いた。彼女は蕩けた表情をしている。
「動いてもいいですか?」
「……うん」
僕は腰を動かし始めた。最初はゆっくりだった抽挿は徐々に速さを増していく。
「あっ、や、……んぅ……、あ……!」
彼女の口から絶えず甘い声が上がる。奥の方まで突いたり掻き回すように動かしたりする度に、結合部からは水音が響いている。
「美月さ……ん、みつき……っ!」
「ゆうく……っ! 好きっ……、ゆうく……ん……!」
お互いを呼び合いながら求め合った。だんだんと限界が近くなり、抽挿のスピードを上げ、更に強く打ち付けた。
「あっ! だめ……、そんなにしたらまた……っ」
「いいですよ、何度でも」
「や、やだぁ……! おかしくなるからぁ……」
「いいですよ、もっと乱れてるところ見せてください」
「やだやだぁ……」
彼女は駄々っ子のように首を振る。
「やぁ……! またイく……っ、イッちゃ……! あぁぁ……っ」
「……っ……!」
彼女が絶頂を迎えたと同時に僕も果てた。彼女はそのまま意識を失ってしまったようだったが、僕は構わず抱きしめ続けた。
◇◇◇
次の日。
目を覚ました時には既に外は明るくなっていた。隣を見ると裸のまま眠っている彼女の姿があった。昨日のことを思い出してしまい顔が火照ってくる。彼女はまだ起きる気配がない。きっと昨日はすごく疲れたのだろう。起こさないよう静かにベッドから抜け出そうとした時、彼女が目を覚まして声をかけてきた。
おはよう、と微笑む姿がとても可愛らしくて、思わず抱きしめる。
「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」
「ううん、大丈夫だよ……」
彼女は目を擦りながら言った。
僕は彼女を抱き寄せた。彼女もそれに応えてくれる。そして、そのまま優しく彼女にキスをした。
「美月さん、愛してます」
「うん……」
僕たちはしばらく抱き合っていた。そんなことをしているうちにまた興奮してきてしまう。
「あの、もう一回……したいです」
「だ、だめ」
「どうしてもだめですか? ちゃんと優しくしますよ」
「でも、これ以上したら、おかしくなっちゃう……」
彼女はそう言って頬を赤らめた。
「……かわいい」
僕は思わず笑みを浮かべた。
「美月さん……愛してます」
「もう……」
彼女は呆れたように笑ってくれた。
「僕とするの、嫌ですか?」
「……違うけど」
「ならいいですね」
「ん……」
そう言うと、彼女は僕に抱きついてキスしてくれた。
ああ、幸せだな。彼女のことが好きでよかった。彼女に出会えて本当に良かった。彼女のことをずっと大切にしよう。僕は心の中で誓った。
彼女が家に来ることが決まってからずっと、そわそわして落ち着かない。掃除も毎日いつも以上に丁寧にしているし、彼女が普段使っているシャンプーやトリートメントも買ってきたし、布団やシーツだって綺麗なものを用意した。もちろん避妊具も。
付き合っているんだからいつかはそういうことをするというのは自然な流れなのだが、いざその時が近づいてくると緊張してしまう。今まで何度も夢想してきたシチュエーションではあるものの、実際にそうなるとやはり不安も感じてしまう。上手くリードできるだろうかとか、彼女に引かれたりしないだろうかといった心配事が頭に浮かんできて、前日の夜はなかなか眠れなかった。
◇◇◇
次の日の夜。
そろそろ寝ようという流れになり部屋の明かりを暗くすると、彼女がこちらへ寄ってきた。ベッドの上で仰向けになっている僕の胸に顔をうずめるようにして抱きついてきた彼女に少し驚く。
「今日は甘えん坊さんなんですね」
「うん」
彼女は小さくうなずいた。可愛くて思わず頭を撫でると、嬉しそうに顔を擦り寄せてくれる。
「だいすき」
「ん……僕も好きです……」
彼女からこんな風に積極的に甘えてもらえることはあまりないので、僕もなんだか落ち着かない気分になってくる。これは期待してもいいのだろうか、なんて考えてしまって、どんどん心臓の音が早くなった。彼女にも聞こえてしまっているかもしれない。
しばらくそうして横になり、いい雰囲気のまま、僕は彼女にそっとキスをした。最初は軽く触れるだけのものだったが、徐々に深くなっていく。舌を絡めると、彼女もそれに応えてくれた。
「んっ……ぁ……っ……」
唇を離すと、彼女は頬を上気させて息を整えていた。その姿があまりに美しくて僕は思わず見惚れてしまった。
◇◇◇
隣で眠る先輩を見つめる。先輩はすやすやと寝息を立てていて気持ちよさそうに眠っている。眠れないままの僕を残して。
さっきまではあんなにいい雰囲気だったのに、結局彼女と一線を越えることはなかった。たくさんキスをしたら先輩は満足したようで、そのうち僕の腕の中でうとうとし始めてしまったのだ。もっと僕が上手く誘えたらよかったのだが、あんまりしつこく誘ったらただヤりたいだけの男だと思われるんじゃないか、なんて考えてしまって何もできなかった。
先輩は可愛い。そして優しい。僕には勿体無いくらい素敵な人だと思う。
でも、僕は先輩を独り占めしたいという欲望を抑えることができそうにないのだ。先輩を誰にも渡したくない。他の男に触れさせたくない。僕だけが先輩のすべてを知っていればいいし、僕の知らない先輩がいるなんて耐えられない。だから、早く先輩のすべてを僕のものにしてしまいたいのに。
先輩はどうだろうか。僕のことをそれだけ愛してくれているのだろうか。もともと執着心のない人だ。僕のことだって、ちゃんと恋人だと思ってくれているのか怪しいくらい。だって普通、恋人と同じベッドで寝るときにはそういうことを想像するものだ。それなのに先輩は「おやすみー」なんてのんきに言って寝てしまうんだから。悔しいから思いっきり抱きしめてやったら、ふふ、と嬉しそうにしていて、それは可愛かったんだけど。
やっぱりだめだ。先輩が可愛くて、大好きで、今すぐどうにかしたい衝動に駆られる。このままではまずいとわかっていても抑えることができない。僕は眠っている先輩を強く抱き締めた。
「ん……」
先輩が目を覚ました。起こしてしまったのは申し訳ないけど、でもこのまま何もせずに彼女を帰してしまうのは嫌で。まだ少し寝ぼけた様子の先輩の頬に手を添えてキスをした。先輩は何も言わず僕を受け入れてくれている。それがまた僕を煽る。もう歯止めがきかなかった。突然の出来事に困惑している彼女を無視して再び唇を重ねる。今度はさっきよりも激しく。そのまま彼女の服に手をかけようとしたが、直前になってまた僕は怖気づいてしまった。これ以上進むのが怖い。彼女を傷付けるかもしれないと思うと、どうしても踏み出せない。
そんな僕の様子を見て、彼女はやっと状況を理解したらしい。
「な、なにするの」
「だって先輩、僕と……、その……しようとしないじゃないですか。もう付き合って半年も経つのに」
「いや、それは……」
「僕たち付き合ってるんですよ。別にいいはずでしょう?」
「そう、なんだけどね」
「どうしてだめなんですか?」
「……」
先輩は黙り込んでしまった。
「どうして……?」
僕は先輩の顔をじっと見つめる。
「あのね、私こういうの初めてだから、怖いっていうか……」
「優しくしますよ?」
「そうかもしれないけど……上手にできないかも……」
「……大丈夫です、僕も初めてですから」
「ほ、ほんと?」
「はい。それに、先輩は僕に全部任せてくれたらいいんですよ」
「……」
「ね、先輩。……キスしてもいいですか?」
「うん……」
先輩は震えていた。僕は先輩の手を握った。少しでも安心してくれるように。
「大丈夫です。何も心配いらないですから」
「でも……」
「お願いです。信じてください」
「うん……」
「じゃあ、いいんですね?」
「……うん」
「あ……そういえば、先輩」
僕は、せっかくなのでずっと気になっていたことも聞いてみることにした。
「言い出すタイミングがなくて、ずっとそのままにしてたんですけど。先輩のこと、そろそろ名前で呼んでもいいですか? ほら、僕たち……付き合って、るんですし……」
「う、うん。そうだね」
「えっと、じゃあ、み、美月さん……」
「……」
「みつき……さん?」
「え、あ、うん!」
「どうしました?」
「ううん、なんでもない……」
そう言って美月さんは顔を背けた。耳まで真っ赤になっている。どうやら照れているらしい。かわいい……。
「美月さん、こっち向いてください」
「だめ……」
「お願いします」
「……だめ」
僕は諦めなかった。しばらく粘ると、ようやくこちらを向いてくれた。僕はすかさず彼女にキスをする。
「ん……」
彼女も受け入れてくれた。何度も角度を変えてキスをする。僕が彼女の唇を軽く舐めると、彼女の体がピクリと揺れた。
「美月さん。口……、開けて」
彼女は素直に従って、少しだけ口を開いた。舌を入れ、歯列をなぞるように動かしていくと、彼女もそれに応えてくれる。舌を絡めると、きゅっと僕の服を掴んでくるのが可愛い。僕も彼女の小さな体を抱きしめた。
「はぁ……っ」
長い時間のあと、どちらからともなく離れた。キスをしただけなのに、彼女は瞳を潤ませてすっかり蕩けきった顔になっている。僕とのキスでそうさせたのだと思うとどうにも理性が飛びそうになる。彼女をもっとめちゃくちゃにしてやりたくて堪らなくなる。大事にしたいとは思っているのに、あまりにも彼女が可愛くて。ぎゅっと僕の手を握りしめてきた彼女の手を取って、指を絡めて恋人繋ぎみたいにすると、僕は彼女の首筋に吸い付いた。触れるたびに体をビクビク震わせながら繋いだ手を握ってくる彼女が可愛くて、つい強く吸ってしまった。
「あっ、やぁっ……」
彼女は首を押さえて僕を見つめている。
「痛かったですか?」
「う、うん……」
「ごめんなさい」
僕は謝ると、今度は鎖骨の下に跡をつけた。彼女は相変わらず可愛らしく反応している。
「美月さん。好きです。大好き」
「わ、わかってるから……」
「本当ですか?」
「ほんとだよ」
「嬉しい……」
胸に触れると、柔らかく弾力がある。手のひらから彼女の鼓動を感じて嬉しくなった。
「ふふ、ドキドキしてる。美月さんもわかります?」
「い、いちいち聞かないで……」
「かわいい……」
「ん……」
彼女の胸に顔を埋めると、ふわりと石鹸の香りがした。
「やわらかい……」
「あんまり触られると恥ずかしいんだけど……」
「どうして?」
「どうしてって……」
「僕はもっと美月さんの体に触れたいです」
彼女を抱き寄せると、彼女も僕の背中に手を伸ばして抱きしめてくれる。
「美月さん、好き……」
「私も……」
彼女の心臓の音が速くなっていく。僕たちは再び深いキスをした。
「ん……」
服の上から彼女の胸を優しく撫でると、彼女は吐息を漏らした。そのまま服の中に手を入れて、ゆっくりと揉みほぐしていくうちに先端が硬くなってきた。そこを口に含んで転がしたり吸ったりしていると、彼女の吐息が甘いものへと変わっていく。
「ゃ……、あ……っ」
胸が感じやすいのか、それだけで彼女は声を上げ始めた。
両胸の先端を指で捏ねるようにしてやると、体を反らして快感に耐えようとしているのが可愛い。
「や……だぁ……、ぁ……んぅ……」
「嫌なんですか?」
僕はわざとらしく聞いた。別に自分がSであるとは思わないけど、美月さんがあまりに可愛すぎてちょっといじわるしてみたくなってしまう。
「ち、違……、ひぁ……! あ……ん……っ」
「ふふ。……じゃあ僕にこうされるの好きなんだ?」
美月さんが首を横に振って否定するので、僕はそのまま両方の乳首を摘まんでみた。少し強めにくるくると転がすと、彼女が慌てて僕の腕を掴んだ。
「ぁ……っ! それだめ……!」
「どうしてですか?」
僕は構わず彼女の敏感な場所に刺激を与え続けた。
「変になる……から……!」
「いいですよ。なってください」
両胸を愛撫しながらキスをすると、彼女の腰がビクンと跳ねた。僕とのキスが好きなのかな。そうだったら嬉しい。
「も、もうだめ……! やめて……っ」
「どうしてですか? こんなになってるのに……」
僕は右手を下に滑らせて、太腿を撫で上げた後、下着の中へと侵入させる。そこはもうすっかり潤んでいた。指先でなぞるように撫で上げるだけでくちゅくちゅという音が響く。
「すごい……僕でこんなに感じてくれたんだ」
「い、言わないで……」
「ここ、触りますね」
「え、待っ……、……ぁんっ」
僕は中へ指を入れようとしたが、少しキツかったので一度引き抜いて、代わりに親指で陰核を刺激した。
「んっ……や、……っ、あ……!」
彼女は快感に耐えられないというように身を捩らせた。やがて中に侵入すると、膣内は熱く締め付けてきて、僕の指に絡みついてくる。ゆっくり抜き差しを繰り返すたびに、水音が大きくなっていった。
「美月さん、気持ち良いですか? イきそう?」
「ん……、ん……!」
コクコクと彼女が何度もうなずいた。
「じゃあ僕の顔見ながらイッて。それと……」
「……?」
「……ね、美月さん。僕も名前、呼んでほしいです」
「……ぇ、なまえ……?」
「うん」
「……ゆ……、ゆうくん……っ」
彼女が消え入りそうな声で僕の名を呼んだ瞬間、膣内が収縮し、僕の指を締め付けた。同時に彼女は達して脱力する。
「はぁ……はぁ……、ん……」
「大丈夫ですか?」
「ん……大丈夫……」
彼女はまだ呼吸を整えていたが、やがて落ち着いてきたようだ。
「ねえ、美月さん」
「なに……?」
「好きですか、僕のこと」
「うん……好きだよ……」
彼女は僕の胸に顔を擦り寄せてきた。猫みたいで可愛い。キスのおねだりをされたので、頭を撫でながら深いキスをしてあげると、彼女からも積極的に舌を絡ませてくれた。大好きな彼女が僕を求めてくれていることにすごく興奮する。
「……そろそろいれてもいいですか?」
「うん……」
「痛かったら言ってくださいね」
「うん」
僕は避妊具を装着して、美月さんのそこへあてがう。そしてゆっくりと挿入していった。
「……痛くないですか?」
「だいじょうぶ……」
彼女の様子を見ながら少しずつ奥へ進む。全て入ったところで動きを止め、馴染ませるためにしばらくそのままの状態でいた。
「全部入りましたよ」
「うん……」
彼女の目から涙が溢れ出す。
「え!? ごめんなさい、やっぱりどこか痛みますか?」
「ううん、そうじゃなくて……」
彼女は首を横に振る。
「……嬉しいの……」
「美月さん……」
「私、幸せだよ」
彼女を抱き寄せると、そう言って彼女は笑った。その笑顔は今まで見たどんなものよりも美しく見えた。
「僕もです」
僕は彼女に口づけた。舌を絡め合うと、繋がっている部分がキュッと締まる。
「んっ……はぁ……」
唇を離すと、唾液が糸を引いた。彼女は蕩けた表情をしている。
「動いてもいいですか?」
「……うん」
僕は腰を動かし始めた。最初はゆっくりだった抽挿は徐々に速さを増していく。
「あっ、や、……んぅ……、あ……!」
彼女の口から絶えず甘い声が上がる。奥の方まで突いたり掻き回すように動かしたりする度に、結合部からは水音が響いている。
「美月さ……ん、みつき……っ!」
「ゆうく……っ! 好きっ……、ゆうく……ん……!」
お互いを呼び合いながら求め合った。だんだんと限界が近くなり、抽挿のスピードを上げ、更に強く打ち付けた。
「あっ! だめ……、そんなにしたらまた……っ」
「いいですよ、何度でも」
「や、やだぁ……! おかしくなるからぁ……」
「いいですよ、もっと乱れてるところ見せてください」
「やだやだぁ……」
彼女は駄々っ子のように首を振る。
「やぁ……! またイく……っ、イッちゃ……! あぁぁ……っ」
「……っ……!」
彼女が絶頂を迎えたと同時に僕も果てた。彼女はそのまま意識を失ってしまったようだったが、僕は構わず抱きしめ続けた。
◇◇◇
次の日。
目を覚ました時には既に外は明るくなっていた。隣を見ると裸のまま眠っている彼女の姿があった。昨日のことを思い出してしまい顔が火照ってくる。彼女はまだ起きる気配がない。きっと昨日はすごく疲れたのだろう。起こさないよう静かにベッドから抜け出そうとした時、彼女が目を覚まして声をかけてきた。
おはよう、と微笑む姿がとても可愛らしくて、思わず抱きしめる。
「ごめんなさい。起こしちゃいましたね」
「ううん、大丈夫だよ……」
彼女は目を擦りながら言った。
僕は彼女を抱き寄せた。彼女もそれに応えてくれる。そして、そのまま優しく彼女にキスをした。
「美月さん、愛してます」
「うん……」
僕たちはしばらく抱き合っていた。そんなことをしているうちにまた興奮してきてしまう。
「あの、もう一回……したいです」
「だ、だめ」
「どうしてもだめですか? ちゃんと優しくしますよ」
「でも、これ以上したら、おかしくなっちゃう……」
彼女はそう言って頬を赤らめた。
「……かわいい」
僕は思わず笑みを浮かべた。
「美月さん……愛してます」
「もう……」
彼女は呆れたように笑ってくれた。
「僕とするの、嫌ですか?」
「……違うけど」
「ならいいですね」
「ん……」
そう言うと、彼女は僕に抱きついてキスしてくれた。
ああ、幸せだな。彼女のことが好きでよかった。彼女に出会えて本当に良かった。彼女のことをずっと大切にしよう。僕は心の中で誓った。
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「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
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