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男たちの誰何に怯まず、蔵はニコニコと笑顔をキープしながらゆっくりと近付いて行く。
そうして、何気ない挨拶をするように口を開いた。
「最近、兄貴のところで世話になっている蔵ってモンです。なんか、人探しを手伝えって連絡が来たんですが」
「兄貴っていうと、三宮さんか?」
「はい、そうです。ここで兄貴と落ち合う約束なんですが――」
「あ、そうなのか? てっきり、萌香の店で待っているのかと思ってたが」
(モエカ? 三宮の女か)
蔵はそう判断すると、それとなく情報を聞き出そうとする。
「マジですか? あの、オレはモエカさんの番号知らないんですよ。ちょっと連絡したいんで、教えてもらえませんかね」
この自然な話の流れに疑問を抱く様子もなく、男の一人が「ああ、この番号だ」と携帯を見せてくれた。
――――話が速くて助かった。
蔵はすぐさま自分の携帯に番号を登録すると、愛想よくお辞儀をしながら「じゃあ、ちょっと向こうの方で電話してきます」と言って、その場を離れようとする。
だが、蔵の演技が上手く行ったのはここまでだった。
「お前ら、そいつを捕まえろ!」
そう、冷たく命令する声が路地に轟いたのだ。
一瞬の間の後、男たちは一斉に蔵へと襲い掛かる。
(くそ! 何でバレた!?)
疑問に思うが、今はそれどころではない。
蔵は巧みなフットワークで右に左にステップを踏むと、殴りかかってきた男の一人にカウンターを喰らわせ、その後ろにいた男の腹には、すれ違いざまに一発を入れる。
この動作で、二人の男がアスファルトの上に崩れ落ちた。
残るは、二人だ。
拳を握って身構える蔵に、だが、嘲るような声が浴びせられた。
そうして、何気ない挨拶をするように口を開いた。
「最近、兄貴のところで世話になっている蔵ってモンです。なんか、人探しを手伝えって連絡が来たんですが」
「兄貴っていうと、三宮さんか?」
「はい、そうです。ここで兄貴と落ち合う約束なんですが――」
「あ、そうなのか? てっきり、萌香の店で待っているのかと思ってたが」
(モエカ? 三宮の女か)
蔵はそう判断すると、それとなく情報を聞き出そうとする。
「マジですか? あの、オレはモエカさんの番号知らないんですよ。ちょっと連絡したいんで、教えてもらえませんかね」
この自然な話の流れに疑問を抱く様子もなく、男の一人が「ああ、この番号だ」と携帯を見せてくれた。
――――話が速くて助かった。
蔵はすぐさま自分の携帯に番号を登録すると、愛想よくお辞儀をしながら「じゃあ、ちょっと向こうの方で電話してきます」と言って、その場を離れようとする。
だが、蔵の演技が上手く行ったのはここまでだった。
「お前ら、そいつを捕まえろ!」
そう、冷たく命令する声が路地に轟いたのだ。
一瞬の間の後、男たちは一斉に蔵へと襲い掛かる。
(くそ! 何でバレた!?)
疑問に思うが、今はそれどころではない。
蔵は巧みなフットワークで右に左にステップを踏むと、殴りかかってきた男の一人にカウンターを喰らわせ、その後ろにいた男の腹には、すれ違いざまに一発を入れる。
この動作で、二人の男がアスファルトの上に崩れ落ちた。
残るは、二人だ。
拳を握って身構える蔵に、だが、嘲るような声が浴びせられた。
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