彼が恋した華の名は

亜衣藍

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 いいや、身体だけではない。

 その、壊れやすいガラスのような脆さを秘めながら、常に強くあろうとする崇高な心にも惹かれた。

――――力に靡くのは簡単だ。

 身も心も全て強者へ委ねて頼り切り、この世の栄耀栄華を味わう人間も多い。

 しかしその中にあって、聖は何と高潔な事か。

 彼は自分の力で何度も立ち上がり、困難を乗り越えようとする強靭さを持っていた。それは、どんな強靭で鋼のような肉体を持つ男とて、到底敵わない。

 苛烈なほどに強く、うるわしく、嫋やかで――――優しい。

 その、心にも惚れ込んだ。

「オレは、お前にも……とんでもなく無茶苦茶をしたな……」

 その懺悔に、聖はフフっと笑う。

「そんなデカブツ・・・・・をおっ勃てておいて、随分と愁傷な事を言うじゃねぇか。ムショに行って改心したってのかい? 」

 言いながら、白魚のような手を伸ばし、史郎の胸に掌を当てる。

 ひんやりとした感触に、史郎の身体にブルリと震えが走る。

 聖は微笑みながら、その掌をゆっくりと下へと滑らせて――――胸板、腹、そして隆々と自己を誇示している、逞しい雄芯へと移動させた。

「相変わらず…………デカいな」

 甘い毒を吐くように息を漏らしながら、聖は史郎の前に屈む。

 そうして、形のいい唇を開くと――――ゆっくりと、それを咥えた。

「っ! 」

 その刺激だけで、史郎は暴発してしまいそうになる。

 聖は笑いながら、それに舌を絡めて巧みに刺激を繰り返す。

 ぢゅっと音を立てて吸い付いたかと思うと、次に甘噛みをして頬で転がす。

 鈴口を舌先で刺激して、堪らず溢れ出す先走りをじゅるりと舐め上げる。

 その舌技の素晴らしさに、史郎は唸るような声をもらした。

「お、お前……そんなフェラ、いつの間に覚えやがった? 」

 その疑問に、聖はしゃぶりながら答える。

「ん、ん……いつ、だって? うんぅ…………そん、なの…………知らねぇよっ」
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