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しおりを挟むさて、晁生の方であるが。
聖とは別行動をとった彼がシオリの元を訪ねたところ、あっけなく室内へ通され、そこでイオリを発見する事が出来た。
やはり最初から、彼女が匿っていたようだ。
イオリは逃亡する意思は既に無いようで、憔悴した様子でソファーで俯き加減に座っていた。
そこで、二人の口から語られた真実に、晁生は黙って耳を傾けることにした。
◇
「申し訳ありませんでした。まさか、あなたの連れに罪を被せてしまう事になるなんて。関係ないのに巻き込んでしまって、本当になんとお詫びをすればいいか」
イオリはそう言うと、シオリと一緒になって深々と頭を下げて謝罪した。
美しいシオリと、一見して平凡な容姿をしているイオリであるが。
だが、こうして二人並んでみると、何箇所も類似点がある事に晁生は気付いた。
瞳の色や肌の色、髪の色や毛質も同じに見える。
どちらも日本人だという事もあろうが、それにしてもやはり似ている。
(やっぱり、兄妹か――)
そう納得していると、イオリが口を開いた。
「オレとシオリは、実は兄妹なんです。今回オレは秘書という身分でレオンに同行していましたが、彼の態度がどうしても腹に据えかねて……」
「だから、思わず殴ってしまったという事で合ってますか?」
「……はい。つい、咄嗟に……」
そこで一度言葉を切ると、イオリは苦い口調で続けた。
「今はレオンを殴ってしまった事を後悔しています。レオンも今回の事をどうにか穏便に済まそうと、様々な方法を考えているようですが。如何せん、オレに頭部を殴られ一時的でも意識を失った経緯は、既にマフタン家に伝わってしまったようで――」
暴行の事実を無かった物として揉み消す事は、もう不可能だ。
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