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――だが、と聖は続ける。
「イオリはそれが許せないんだろう。だから、どんなにお前が言葉を尽くしたとしても、拒絶するのだと思う」
レオンの腕の中で、聖はそう告げた。
これだけ勝手な男だ。
脅しに近い求愛に負けて身体を許した瞬間から、もう違う人間に目移りするのが目に見えている。
実際レオンは、イオリが傍で控えているにもかかわらず平然と聖を誘惑していた。
そんな行いが、どれだけ相手を不安にさせて傷付ける事なのか。
元々、その不実が許されるだけの地位と権力を手にしていただけに、レオンはそんな相手の心が分からないのだろう。
「豪華な船旅を用意して、夢見心地のハネムーン気分を味わわせたら満足するとでも思っていたのだろうが、そんなものは何の意味もないんだよ。オレはイオリという男とは直接話した事も無いから詳しい為人は知らんが、お前の行動はただただ不快で疑心暗鬼を招くだけだ。決して、愛など育たない」
至近距離で告げられる重い言葉に、さしものレオンも思うところが有るのか、無言になった。
すると、隣室からコンコンというノックの音と同時に「レオン様、今の物音は……なにかございましたでしょうか?」という侍従の声が掛けられた。
レオンはそれに対し、助けを求めるような事はせずに「控えていろ」とだけ告げる。
そうして、腕の中にいる聖にジッと視線を注いだ。
「――今からでも、間に合うと思うか?」
「イオリを諦めて、元の裸の大様になりたいなら止めないが」
的を射た聖の言葉に、さすがのレオンも押し黙る。
高揚していた気分が沈静化し、聖の身体から漂う馨しい香りに反応していた雄芯も自然と収まる。
聖を抱き締めながら、レオンは静かに謝罪のセリフを口にした。
「君には本当に迷惑を掛けたな。私の下らないプライドと勝手な都合の所為で、窮屈な思いをさせてしまった」
「そうでもないさ。結構、面白い経験をさせてもらった」
「イオリはそれが許せないんだろう。だから、どんなにお前が言葉を尽くしたとしても、拒絶するのだと思う」
レオンの腕の中で、聖はそう告げた。
これだけ勝手な男だ。
脅しに近い求愛に負けて身体を許した瞬間から、もう違う人間に目移りするのが目に見えている。
実際レオンは、イオリが傍で控えているにもかかわらず平然と聖を誘惑していた。
そんな行いが、どれだけ相手を不安にさせて傷付ける事なのか。
元々、その不実が許されるだけの地位と権力を手にしていただけに、レオンはそんな相手の心が分からないのだろう。
「豪華な船旅を用意して、夢見心地のハネムーン気分を味わわせたら満足するとでも思っていたのだろうが、そんなものは何の意味もないんだよ。オレはイオリという男とは直接話した事も無いから詳しい為人は知らんが、お前の行動はただただ不快で疑心暗鬼を招くだけだ。決して、愛など育たない」
至近距離で告げられる重い言葉に、さしものレオンも思うところが有るのか、無言になった。
すると、隣室からコンコンというノックの音と同時に「レオン様、今の物音は……なにかございましたでしょうか?」という侍従の声が掛けられた。
レオンはそれに対し、助けを求めるような事はせずに「控えていろ」とだけ告げる。
そうして、腕の中にいる聖にジッと視線を注いだ。
「――今からでも、間に合うと思うか?」
「イオリを諦めて、元の裸の大様になりたいなら止めないが」
的を射た聖の言葉に、さすがのレオンも押し黙る。
高揚していた気分が沈静化し、聖の身体から漂う馨しい香りに反応していた雄芯も自然と収まる。
聖を抱き締めながら、レオンは静かに謝罪のセリフを口にした。
「君には本当に迷惑を掛けたな。私の下らないプライドと勝手な都合の所為で、窮屈な思いをさせてしまった」
「そうでもないさ。結構、面白い経験をさせてもらった」
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