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レオンの自分勝手な言い分に、聖は心底うんざりしたように溜め息をつく。
――だが、これが大抵の男の本音だということは理解している聖だ。
男とは、元来こういう生き物だ。
これまで、聖を本気で愛した男達は、皆、聖以外の相手にも恋をしていたからだ。
それを不実だと詰るほど、聖も青臭い子供ではない。
だが……。
「レオン、お前は容姿も家柄も何もかも、最上級の男だ」
聖は至極客観的な立場になって、公正な感想を口にした。
別にこれは褒め言葉ではない。
ただ、真実を言ったまでだ。
「お前がそうと望むなら、男も女も殆どの人間は喜んで身を捧げるだろう。お前には、それだけの魅力と価値があるからな」
「ミドー?」
賛辞を口にするワリには、聖の表情は氷のように冷たい。
レオンは不思議そうに小首を傾げながら、そっと聖へ近寄ろうとする。
「私をそのように評価してくれて嬉しいが、なら私が望んだなら、君は喜んで身を任せてくれると解釈しても良いかな」
レオンは力強い腕を伸ばし、聖の肩をグッと掴む。
思い切ってそのまま引き寄せたところ、聖は抵抗せずにレオンの腕の中へと倒れ込んだ。
レオンは顔を喜色に染め、興奮したように口を開こうとするが。
「――お前のそれが、イオリを遠ざけていると気付かないか?」
ヒヤリとする聖の言葉に、レオンの舌は凍ったようになる。
「……な、なにを……」
辛うじて出た言葉に、聖は淡々と答えを返した。
「オレは、お前のような男を知っているから耐性はあるんだ。そいつはオレを死ぬ程愛しているクセに、オレの為には何も捨てる事が出来ないという勝手な男でな」
脳裏に青菱史郎を思い描きながら、聖は苦く笑う。
「世の中ってのは――特に恋愛なんてのは、理想通りには行かないもんだ。一人だけを愛してその恋人の為に全てを捧げるなんて事は、現実には無い夢物語の幻想だよ。オレはそれをよく知っているから、お前の思考回路も理解する事は出来るんだ」
――だが、これが大抵の男の本音だということは理解している聖だ。
男とは、元来こういう生き物だ。
これまで、聖を本気で愛した男達は、皆、聖以外の相手にも恋をしていたからだ。
それを不実だと詰るほど、聖も青臭い子供ではない。
だが……。
「レオン、お前は容姿も家柄も何もかも、最上級の男だ」
聖は至極客観的な立場になって、公正な感想を口にした。
別にこれは褒め言葉ではない。
ただ、真実を言ったまでだ。
「お前がそうと望むなら、男も女も殆どの人間は喜んで身を捧げるだろう。お前には、それだけの魅力と価値があるからな」
「ミドー?」
賛辞を口にするワリには、聖の表情は氷のように冷たい。
レオンは不思議そうに小首を傾げながら、そっと聖へ近寄ろうとする。
「私をそのように評価してくれて嬉しいが、なら私が望んだなら、君は喜んで身を任せてくれると解釈しても良いかな」
レオンは力強い腕を伸ばし、聖の肩をグッと掴む。
思い切ってそのまま引き寄せたところ、聖は抵抗せずにレオンの腕の中へと倒れ込んだ。
レオンは顔を喜色に染め、興奮したように口を開こうとするが。
「――お前のそれが、イオリを遠ざけていると気付かないか?」
ヒヤリとする聖の言葉に、レオンの舌は凍ったようになる。
「……な、なにを……」
辛うじて出た言葉に、聖は淡々と答えを返した。
「オレは、お前のような男を知っているから耐性はあるんだ。そいつはオレを死ぬ程愛しているクセに、オレの為には何も捨てる事が出来ないという勝手な男でな」
脳裏に青菱史郎を思い描きながら、聖は苦く笑う。
「世の中ってのは――特に恋愛なんてのは、理想通りには行かないもんだ。一人だけを愛してその恋人の為に全てを捧げるなんて事は、現実には無い夢物語の幻想だよ。オレはそれをよく知っているから、お前の思考回路も理解する事は出来るんだ」
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