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冷たく言い捨てると、聖は再び蹴りの姿勢に入る。
それは堪らぬと、レオンは慌ててストップを掛けた。
「ま、待て! ミドーの怒りは分かるが、だが決して君を放置するつもりはなかったのだ!」
「ほぉ~?」
聖は目を細めると、あからさまに疑いの眼差しを注ぐ。
それはそうだ。
晁生もレオンも、結局は聖自らが行動を起こすまで、何も手を打たなかったのだから。
厳密に言えば、晁生は覚悟を決めて動き出す寸前だったし、レオンもまた、サイエンの提案に乗って起死回生の打開策を講じたところではあったが。
だがそれもこれも、聖が直接動き出したことによって『見苦しい言い訳』となってしまった。
まさに、遅きに失したとはこの事だろう。
(この私が、このような無様な醜態をミドーの前で晒す事になるとは)
その事を自覚したレオンは、悔しそうな顔になる。
そうして、ゆっくりと姿勢を正すと、真剣な表情で聖を見つめた。
「じつは私を殴ったのは、私の同行者であるイオリという名の秘書なのだ」
「ああ、そうだろうな。さては手籠めにしようとして、その秘書に反撃されたか?」
「……どうやら、君もある程度分かっているようだな。恥ずかしい話だが、その通りだ」
この期に及んで言い訳する気は無いのか、レオンは素直に認めた。
ロイヤルスイートをイオリの為に用意したのだと伝え、ゴージャスな空間で甘い口説き文句を舌に乗せようとした矢先に、当の相手に思い切り殴られてしまった。
そのくらい、イオリはレオンを拒絶していたのだと改めて思い知ったが……やはり、諦めきれない。
ここまでレオンの事を拒絶する男は、初めてだった。
媚び諂う事なくハッキリと「NON!」を口にするイオリを、レオンはどうしても欲しい。
「だが、この事がお爺様の耳に入ったら、私はもう二度とイオリと会う事が叶わなくなる。……イオリも無事では済まないだろう」
「だからオレを見殺しにしたと?」
「そんな事は無い!私は君も欲しいのだから!」
「――呆れたな」
それは堪らぬと、レオンは慌ててストップを掛けた。
「ま、待て! ミドーの怒りは分かるが、だが決して君を放置するつもりはなかったのだ!」
「ほぉ~?」
聖は目を細めると、あからさまに疑いの眼差しを注ぐ。
それはそうだ。
晁生もレオンも、結局は聖自らが行動を起こすまで、何も手を打たなかったのだから。
厳密に言えば、晁生は覚悟を決めて動き出す寸前だったし、レオンもまた、サイエンの提案に乗って起死回生の打開策を講じたところではあったが。
だがそれもこれも、聖が直接動き出したことによって『見苦しい言い訳』となってしまった。
まさに、遅きに失したとはこの事だろう。
(この私が、このような無様な醜態をミドーの前で晒す事になるとは)
その事を自覚したレオンは、悔しそうな顔になる。
そうして、ゆっくりと姿勢を正すと、真剣な表情で聖を見つめた。
「じつは私を殴ったのは、私の同行者であるイオリという名の秘書なのだ」
「ああ、そうだろうな。さては手籠めにしようとして、その秘書に反撃されたか?」
「……どうやら、君もある程度分かっているようだな。恥ずかしい話だが、その通りだ」
この期に及んで言い訳する気は無いのか、レオンは素直に認めた。
ロイヤルスイートをイオリの為に用意したのだと伝え、ゴージャスな空間で甘い口説き文句を舌に乗せようとした矢先に、当の相手に思い切り殴られてしまった。
そのくらい、イオリはレオンを拒絶していたのだと改めて思い知ったが……やはり、諦めきれない。
ここまでレオンの事を拒絶する男は、初めてだった。
媚び諂う事なくハッキリと「NON!」を口にするイオリを、レオンはどうしても欲しい。
「だが、この事がお爺様の耳に入ったら、私はもう二度とイオリと会う事が叶わなくなる。……イオリも無事では済まないだろう」
「だからオレを見殺しにしたと?」
「そんな事は無い!私は君も欲しいのだから!」
「――呆れたな」
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