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『もっともっと良い気分』のセリフに、男達は妄想を一気に膨らませたのか、その顔は誰が見て分かるくらいに脂下がった。
途端に、野獣から紳士へ変貌したかのように、全裸のままで立っていた聖へと恭しく手を差し伸べる。
「さ、さぁ、そんな格好で突っ立ったままじゃあ寒いだろう? とりあえず、ベッドに場所を移そう」
ワゴンに積んでいたリネンからシーツを取り出し、アーロはそれを聖の身体へと掛けた。
場所を移そうも何も、こんな狭い客室ではベッドまで三歩だ。
だが、格好を付けたい男のプライドに、聖はつい失笑する。
「ふふふ、寒いのはお前の方じゃないのか? 下着が濡れたままじゃあ気持ち悪いだろう?」
「そうだそうだ、アーロのクセに何を気取ってんだ」
すかさず茶々を入れるリチャードに、アーロは「お前だって人の事言えんのか!」とやり返す。
ジョンは、二人がもめている事をいいことに、聖を素早くサッと抱き上げた。
「さぁ、一緒に天国に行こうぜ。オレはやられっぱなしは性に合わないんでね」
「おや、自信満々のようだな?」
「まかせ――」
「おい、ジョンてめぇ! なに抜け駆けしてんだ!」
この、何とも騒々しい男達に囲まれて、聖は内心『勝ったな』と思った。
男達は、期待と興奮で、まるで熱病に掛かったかのように全身を赤く染め、身に付けていた全ての衣服を脱ぎ捨てた。
ベッドへ身体を横たえた聖は、大きく脚を上げて誘うように指先で円を描く。
そうして、見惚れるような微笑みを浮かべながら、命令を下した。
「一人づつ前に並べ。先に言っておくが、オレが触るのはいいが、お前達がオレに触るのはダメだぞ」
「え――で、でも、もう我慢が……」
この要求に、聖は嫣然と嗤った。
「欲張りだな。じゃあ、止めるか?」
「う……」
途端に、野獣から紳士へ変貌したかのように、全裸のままで立っていた聖へと恭しく手を差し伸べる。
「さ、さぁ、そんな格好で突っ立ったままじゃあ寒いだろう? とりあえず、ベッドに場所を移そう」
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場所を移そうも何も、こんな狭い客室ではベッドまで三歩だ。
だが、格好を付けたい男のプライドに、聖はつい失笑する。
「ふふふ、寒いのはお前の方じゃないのか? 下着が濡れたままじゃあ気持ち悪いだろう?」
「そうだそうだ、アーロのクセに何を気取ってんだ」
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ジョンは、二人がもめている事をいいことに、聖を素早くサッと抱き上げた。
「さぁ、一緒に天国に行こうぜ。オレはやられっぱなしは性に合わないんでね」
「おや、自信満々のようだな?」
「まかせ――」
「おい、ジョンてめぇ! なに抜け駆けしてんだ!」
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そうして、見惚れるような微笑みを浮かべながら、命令を下した。
「一人づつ前に並べ。先に言っておくが、オレが触るのはいいが、お前達がオレに触るのはダメだぞ」
「え――で、でも、もう我慢が……」
この要求に、聖は嫣然と嗤った。
「欲張りだな。じゃあ、止めるか?」
「う……」
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