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確信するかのような聖のセリフに、サイエンは拍子抜けしたように呟いた。
「なんだ、せっかく面白くなるかと思ったのに」
「なに?」
「オレとしては、ミドーに恩を売ってから犯人を捕まえたいところだったんだが。君は嫌になるほど冷静だな」
そういえば、ナモ公国でもそうだったなと、サイエンはどこか不服そうに呟いた。
そんなサイエンを前にして、聖は少し戸惑った。
恨み言なら、今まで散々言われて来た。
それこそ、晁生にもだ。
だが今のサイエンは、なんだか――そう、なんだか拗ねた子供ような顔で、ブツブツと文句を言っている。
まるで、せっかく窮地を救うヒーローになれるはずだったのに、横から冷や水を浴びせられたと愚痴を言う三枚目のように。
「……まさかとは思うが、サイエンお前は、オレの窮地を救って恩を売りたかったのか?」
そう訊ねたところ、意外な事にサイエンは、素直にコクリと頷いた。
そして、真剣な顔で聖を見つめる。
「ミドーにとっては取るに足らない事だろうが、オレは本気でミドーを欲しいと思ってるんだ。ナモ公国では散々煮え湯を飲まされたが、だからと言ってミドーを嫌いになったワケじゃない。むしろ、危機を前にして華麗な蝶のようにひらりと舞う君が、もっと好きになった」
「サイエン……」
「ミドーにはたくさん恋人がいるのは知っている。なら、贅沢は言わないが、オレをその中の一人に加えてほしい」
その申し出に、聖はどう答えていいのか困惑する。
サイエンは恋人と言うが、聖にとってはそいつらはただの駒だ。
その駒の一つになりたいと、サイエンはそう願っているのだろうか?
(仮にも王族に連なる身で、そこまで遜る覚悟があるというのか? バカな……)
やはり、信じられない。
聖は頭を振りながら、「とにかく、あの秘書を捕らえるんだ」ともう一度告げた。
「なんだ、せっかく面白くなるかと思ったのに」
「なに?」
「オレとしては、ミドーに恩を売ってから犯人を捕まえたいところだったんだが。君は嫌になるほど冷静だな」
そういえば、ナモ公国でもそうだったなと、サイエンはどこか不服そうに呟いた。
そんなサイエンを前にして、聖は少し戸惑った。
恨み言なら、今まで散々言われて来た。
それこそ、晁生にもだ。
だが今のサイエンは、なんだか――そう、なんだか拗ねた子供ような顔で、ブツブツと文句を言っている。
まるで、せっかく窮地を救うヒーローになれるはずだったのに、横から冷や水を浴びせられたと愚痴を言う三枚目のように。
「……まさかとは思うが、サイエンお前は、オレの窮地を救って恩を売りたかったのか?」
そう訊ねたところ、意外な事にサイエンは、素直にコクリと頷いた。
そして、真剣な顔で聖を見つめる。
「ミドーにとっては取るに足らない事だろうが、オレは本気でミドーを欲しいと思ってるんだ。ナモ公国では散々煮え湯を飲まされたが、だからと言ってミドーを嫌いになったワケじゃない。むしろ、危機を前にして華麗な蝶のようにひらりと舞う君が、もっと好きになった」
「サイエン……」
「ミドーにはたくさん恋人がいるのは知っている。なら、贅沢は言わないが、オレをその中の一人に加えてほしい」
その申し出に、聖はどう答えていいのか困惑する。
サイエンは恋人と言うが、聖にとってはそいつらはただの駒だ。
その駒の一つになりたいと、サイエンはそう願っているのだろうか?
(仮にも王族に連なる身で、そこまで遜る覚悟があるというのか? バカな……)
やはり、信じられない。
聖は頭を振りながら、「とにかく、あの秘書を捕らえるんだ」ともう一度告げた。
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