MAN OF THE FULL BLOOM

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　確かにそれでは、無理に怪我人を下船させるよりも、天候が落ち着くまで船内で待機していた方がマシだろう。

「レオンの様子は？」
「とりあえず目を覚ましたが、まだボーっとしていて頭はハッキリしないようだ。背後から、頭部を何か鈍器のような物で殴られたらしいが……」
「犯人は？　カメラに映ってなかったか？」
「防犯カメラはその近辺には設置されてないらしい。今は、本人レオンの証言待ちだ」
「そうか……」

　そこで聖は、ハタと気付いた。

「あの婚約者は？　一緒じゃなかったのか？」

　そう、レオンはシオリという美しい婚約者を同伴していたのだから、当然、同じロイヤルスイートに宿泊していたであろう。

　彼女ならば、何か知っているのではないだろうか。
　だがサイエンは、困惑したように肩を竦めた。

「シオリは、何も見ていないそうだ」
「本当か？　だが――」
「あの二人は婚約しているが、部屋は別々らしい。シオリは、レオンが泊る階層から一階下のスイートルームに宿泊予定だそうだ」
「なに!?　じゃあレオンは、一人でロイヤルスイートに泊まる気だったという事か？」

　スーパーセレブ様にしても、度を越した贅沢だろう。
　するとサイエンは、意外な事を口にした。

「ロイヤルスイートは、確かに二人分で取ってあったようだ。レオンはこの船旅を、シオリ以外の誰かと一緒に過ごす気だったらしい。……ただ、レオンはまだ意識がハッキリしないので、詳しく訊き出す事は出来ない状態だが」

　頭を殴られた直後なので、まずは安静第一ということで、レオンはまだ医務室で横になっている。

「現段階では現場にいたミドーが疑われているが、オレが必ず疑いを晴らしてやるから安心しろ。ジョー晁生よりも、オレの方が役に立つ男だと証明してやる」

　それを聞き、聖は溜め息をついた。