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まさか、扉を開けっ放しで外出するような、そんな迂闊なことは無いだろうに。
気になり、聖は扉の前まで近付いた。
一応ノックをしながら、声を掛けてみようと試みるが。
「失礼だが、扉が――」
そこで、聖の舌は止まった。
半開きになっている扉の内側で、床に崩れるように蹲っているレオンを発見したからだ。
その黄金の頭髪は、血に染まっていた。
「レオン!?」
◇
「まさかこの船内で、暴行事件が起こるとは思わなかった。それにしても……本当にミドーはやってないんだろうな?」
「当たり前だろうが!」
サイエンの疑うようなセリフに、聖は怒声を放った。
レオンが襲撃されていたのを発見して、二時間が経っていた。
いま聖が居るのは、客室から離れた場所にある隔離部屋だった。
窃盗団や泥酔者を含む無法者等、警備員や船員では手に負えないと判断した迷惑客を一時的に拘束する部屋であるらしい。
通常そのような乗客は、次に寄港する港で弁護士や司法機関へ引き渡されるなど、然るべき対処がなされるそうだが。
生憎と、寄港予定だった次の港までは距離がある上、天候が悪くなってしまった為に引き返す事も出来ず、豪華客船クイーンダイヤモンドは海域避難場所に指定されている湾内で、天候が回復するまで待機している状態となってしまった。
それにしても、レオンの怪我の状態が問題だ。
「ヘリを呼んで、レオンを病院へ連れて行けないのか?」
「天候が荒れているからね。陸の病院も町の診療所レベルで、それだったらまだ船内の医者が診ている方がマシらしい」
「しかし、頭の怪我だぞ。一度船から降ろして、陸送で専門病院まで運ぶべきでは?」
「専門病院まで、300kmもあるんだよ。陸には滑走路も無いから、セスナも飛ばせない」
気になり、聖は扉の前まで近付いた。
一応ノックをしながら、声を掛けてみようと試みるが。
「失礼だが、扉が――」
そこで、聖の舌は止まった。
半開きになっている扉の内側で、床に崩れるように蹲っているレオンを発見したからだ。
その黄金の頭髪は、血に染まっていた。
「レオン!?」
◇
「まさかこの船内で、暴行事件が起こるとは思わなかった。それにしても……本当にミドーはやってないんだろうな?」
「当たり前だろうが!」
サイエンの疑うようなセリフに、聖は怒声を放った。
レオンが襲撃されていたのを発見して、二時間が経っていた。
いま聖が居るのは、客室から離れた場所にある隔離部屋だった。
窃盗団や泥酔者を含む無法者等、警備員や船員では手に負えないと判断した迷惑客を一時的に拘束する部屋であるらしい。
通常そのような乗客は、次に寄港する港で弁護士や司法機関へ引き渡されるなど、然るべき対処がなされるそうだが。
生憎と、寄港予定だった次の港までは距離がある上、天候が悪くなってしまった為に引き返す事も出来ず、豪華客船クイーンダイヤモンドは海域避難場所に指定されている湾内で、天候が回復するまで待機している状態となってしまった。
それにしても、レオンの怪我の状態が問題だ。
「ヘリを呼んで、レオンを病院へ連れて行けないのか?」
「天候が荒れているからね。陸の病院も町の診療所レベルで、それだったらまだ船内の医者が診ている方がマシらしい」
「しかし、頭の怪我だぞ。一度船から降ろして、陸送で専門病院まで運ぶべきでは?」
「専門病院まで、300kmもあるんだよ。陸には滑走路も無いから、セスナも飛ばせない」
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