MAN OF THE FULL BLOOM

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「ミドー、驚いたか？」
「ああ。何と言うか――」

「彼は、マフタン家の血筋を絶やさず存続させるという使命があるからね。あの通り、女には一切興味が無くても、子供後継者だけは作らなければならないのさ。風の噂だが、いつまでも先延ばしにせず役目を果たせと、長老に厳しく叱責されたらしい」

「だから、シオリと婚約したと？」

「そういう事だろう。……だが、彼はゲイだ。その葛藤はあるが、マフタンの長老の命令には従わなければならない。せめてもの抵抗で、元々気に入っていた東洋系の人間を選んだのだろうな」

　シオリは、頭脳も容姿も、全てが合格点に届いているとAIが断定した。
　それに、レオンが好んでいる東洋人だ。だから、不承不承であるがシオリと婚約した。

「名家というのは何かと面倒だな」

　嘆息するサイエンに、聖は「あなたもそうだろう」と指摘する。
　するとサイエンは、ニヤリと笑った。

「オレは王族ではあるが直系じゃないから、ああいった制約は無い。このまま死ぬまで自由を謳歌するつもりだ。誰にも縛られる気は無い」
「ふぅん」
「縛る方は好きだがな」

　そう言いながら聖に流し目をするサイエンに、傍にいながら空気のように無視されたままだった晁生が口を開いた。

「ミスター・サイエン！　せっかくの好機だったのに、レオンとは何の話も出来なかったぞ！　彼は招待状を送ると言っていたが、もしもこのまま我々を忘れてしまったらどうするんだ！」

　それに、と晁生は続ける。

「聖！　君は何でもっと協力してくれないんだ!?　あのマフタン財団だぞ？　手を組むことが出来れば、これほどの成果はないっていうのに」

「……」

　晁生が熱くなれば成るほど、聖はどこか冷めて行く。

　ドロドロになるようなセックスはするが、晁生が最終的に優先するのは聖ではなく、あくまで仕事だと……その事実が、聖の心を冷やす。