MAN OF THE FULL BLOOM

亜衣藍

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 すると、バツが悪そうに白状した。

「会場に足を運んだなら、もしかしたらチャンスがあるかもしれないと匂わせただけだよ」
「あくまで空手形のつもりだったと?」
「ああ、本当にそれだけだ。信じてくれ」

 晁生はそう言うと、ぺこりと頭を下げた。

 本当はもっと追求したいところだが、いつまでもこんな事で時間を取るのも馬鹿らしいと思い直し、聖は納得する事にした。

「じゃあ、今回は不問にしてやる」
「あ、ありがとう!」
「それに、実際の所パーティーまで時間がないしな」

 いうや否や聖は着ていた服をサッと脱いで、晁生が手にしていたタキシードを受け取り、急いで着替えを始めた。
 その合間に、晁生は聖の項に赤いキスマークが付いているのを目ざとく発見する。
 こんな時間まで到着が遅れた原因はかと、晁生はギリっと奥歯を噛んだ。

「……明日のプレゼンを成功させるために、ボクは必死になって集客に躍起になっていたけど、君は違う意味で躍起になっていたようだな」
「なに?」
「首に痕が付いているよ」

 その指摘に、聖はムッとした。

(サイエン、あの野郎! 痕を付けるのはダメだと言ったのに)

「……お前の見間違えだ」

 とりあえず聖はそう言い捨てると、キュッとタイを締めて痕が見えないようにする。
 そうして、髪をかき上げなら晁生を一瞥した。

「お前は明日のプレゼンの為にずいぶん奔走したようだが、オレの営業努力でそれは無駄に終わるかもしれないぞ」
「営業努力?」
「ああ。これから行われるレセプションパーティーで、とある人物を紹介してもらう手筈が整ったんだ」

 聖はそう言うと、ニッコリと微笑んだ。
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