MAN OF THE FULL BLOOM

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　今すぐ晁生を捕まえて事の真偽を確かめなければと、聖はサイエンの腕を振りほどいて立ち上がった。

「ミドー、どうするつもりだ？」
「決まっているだろう。もしもあんたの言った事が本当だったら、あの野郎をブチのめすだけだ」

　怒りで目つきが鋭くなった聖に、サイエンは「まぁそんなに怒るな」と宥なだめに掛かった。

「君達は所詮、アジアの小さな島国の企業に過ぎない。そんな小国のエンターテインメントへ投資を呼びかけても、余程強力なツテでもない限りは、話を聞いてくれる奴等自体が集まるワケがない。だからジョーは苦肉の策で、君をエサにしようというんだろう」

「オレはそこまで身体を張るつもりはない」

　そもそも、この船に乗った事を既に後悔していた聖だ。
　だが、経営の苦しいであろう晁生に少しばかり仏心を出してしまい、昨夜はあんなポルノまがいの芝居に付き合ってしまった。
　晁生が、ビデオをエサに誰ぞ呼び込もうとしているのだとは察したが。

　しかし、乱交なんぞ冗談ではない！

　こんなバカげた茶番には見切りをつけ、次の港で降りてしまおうと聖は本気で思った。

「ミドー、腹立たしいのは分かるが、そうカッカするな」

　サイエンはそう言うと、力強い手を伸ばして聖を引き留める。

「ジョーも、何とか人を集めようと必死なんだろう」
「だがっ！」
「そう、だがそこまでして人を集めても、結局は役にも立たないような有象無象では損益にしかならない。確実に金を出す分限者ぶげんしゃを捕まえないと、話にならないだろう」

　そこでだ、と、サイエンは続けた。

「オレなら、打ってつけのヤツを君達に紹介できるぞ。そいつは東洋人をいたく気に入っていて、フィアンセも日本人の美女モデルなんだ。だから、日本のエンターテインメント業界に投資する話も前向きのようだ」

　以前、Sクラスに知り合いがいるので紹介しても良いと言っていたのがそれかと、聖は理解した。