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しおりを挟む豪華客船『クイーン・ダイヤモンド』では、ゲストたちが退屈しないようにと様々な催しが連日開催されている。
船内には映画館やカジノを始め、ミュージカルやダンスレビュー、コメディショーまでイベントプログラムが組まれているので、決して退屈する事は無い。
もちろんコンビニエンスストアもあるので、必要なものは大抵揃う。
航海日数は約一ヵ月間。
各国の港に寄港しながら、北半球をゆったりと巡るツアーだ。
「……とはいえ、Cクラスのオレの部屋はシャワーだけか」
外国船籍なら仕方ないが、せめてバスタブが欲しかった。
これが日本船籍の〇鳥Ⅱなら全室バスタブ完備だし、デッキには露天風呂まで備えてあるというのに。
そんな事を考えながらボーっとラウンジで佇んでいたところ、「もしかしてミドーか?」と声を掛けられた。
振り向くと、両脇に派手な美女を侍らせたサイエンと目が合った。
「いやはや、別人かと思ったよ。そういうラフな格好もいいね」
今日の聖は、いつもは上げている髪をザックリと降ろして、無地のコットンシャツに焦げ茶色のチノパンという出で立ちだ。
まだプレゼンの順番が来ないので、今日は晁生と別行動で船内でのんびりしようという算段だった。
とりあえず自由行動だしショーを見ようかとも思ったが、特に興味を引かれるものが無かったので、ラウンジでコーヒー片手にパソコンを開いていた所である。
(厄介なヤツが来たな)
サイエンを見て正直そんな感想を抱いたが、相手はそんなのはお構いなしにニコニコ笑顔で近付いて来る。
「ミドー、まるでティーンエイジャーのようじゃないか。今日の君は、とっても可愛いよ」
「そりゃどーも」
サイエンの両隣では、女達が恋敵を牽制するかのように、聖に向かって肉感的なボディーを挑発的に見せ付けている。
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