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出自がゴロツキに近い辺りが自分と似ているので、聖は以前この男によって軟禁されたトラブルがあったにも関わらず、比較的それ程悪い感情は抱いていなかった。
そんな雰囲気を感じ取り、これは好感触だと思ったらしいサイエンは、するっと聖の肩に腕を回す。
「久しぶりに、君を抱きたい」
「直球だな」
「そうは言うが、ミドーはあのイベント以来、まったくナモ公国に寄り付かなくなってしまったじゃないか。オレはずっと寂しかったんだぞ」
「こっちも忙しいんでね」
そう言い捨てて踵を返そうとしたところ、サイエンは慌てた様子で追い縋って来た。
「待てまて、損はさせないぞ。幾人か、知り合いがSクラスにいる。彼等にミドーを紹介してやってもいい」
「Sクラス? だったら――」
それこそ人に紹介している場合じゃないだろうと言い差した聖に、サイエンは小気味よくパチンと指を鳴らした。
「生憎と彼等は、オレが計画しているビジネスには関心がないらしくてね。だが、エンターテインメントには興味があるようなんだ。実に、君向きだと思わないか?」
ナモ公国こそ、カジノを始めとする数々のエンターテインメントで成り立っている奢侈と虚栄の国ではないのか?
果たして、サイエンの言うビジネスとは何なのだろうか?
だが、その疑問を口にする前に、聖は力強い腕にがっしりと囚われてしまった。
「オレの部屋は、そこのエレベーターを上がって直ぐだ。さぁ行こう」
「おい、まだ日も高いというのに――」
「そんな下らない事に拘る君じゃないだろう」
クスクスと笑いながら、サイエンは大きな手の平で聖の頬を撫ぜる。
その手が意外にも暖かくて、聖はうっとりと微笑んだ。
だが――
「生憎と、今回は独りじゃないんだ」
「なに? まさか、あのゴリラ男じゃないだろうな?」
ナモ公国では婚約者だと言って紹介されたが、あれは噓だったハズ……。
そんな雰囲気を感じ取り、これは好感触だと思ったらしいサイエンは、するっと聖の肩に腕を回す。
「久しぶりに、君を抱きたい」
「直球だな」
「そうは言うが、ミドーはあのイベント以来、まったくナモ公国に寄り付かなくなってしまったじゃないか。オレはずっと寂しかったんだぞ」
「こっちも忙しいんでね」
そう言い捨てて踵を返そうとしたところ、サイエンは慌てた様子で追い縋って来た。
「待てまて、損はさせないぞ。幾人か、知り合いがSクラスにいる。彼等にミドーを紹介してやってもいい」
「Sクラス? だったら――」
それこそ人に紹介している場合じゃないだろうと言い差した聖に、サイエンは小気味よくパチンと指を鳴らした。
「生憎と彼等は、オレが計画しているビジネスには関心がないらしくてね。だが、エンターテインメントには興味があるようなんだ。実に、君向きだと思わないか?」
ナモ公国こそ、カジノを始めとする数々のエンターテインメントで成り立っている奢侈と虚栄の国ではないのか?
果たして、サイエンの言うビジネスとは何なのだろうか?
だが、その疑問を口にする前に、聖は力強い腕にがっしりと囚われてしまった。
「オレの部屋は、そこのエレベーターを上がって直ぐだ。さぁ行こう」
「おい、まだ日も高いというのに――」
「そんな下らない事に拘る君じゃないだろう」
クスクスと笑いながら、サイエンは大きな手の平で聖の頬を撫ぜる。
その手が意外にも暖かくて、聖はうっとりと微笑んだ。
だが――
「生憎と、今回は独りじゃないんだ」
「なに? まさか、あのゴリラ男じゃないだろうな?」
ナモ公国では婚約者だと言って紹介されたが、あれは噓だったハズ……。
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