所沢朝日の恋愛譚は不完全すぎて

亜衣藍

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最終章

最終章-5

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(だからか。この人なりに親しみを込めていたつもりだった訳だ)

 しかし、そんなどうでもいい事にまで気を遣うなんて、やっぱりギャップがあり過ぎるんじゃないか?

(このヤクザのような見た目からは、誰も想像できないよな……)

 コホンと咳払いをして、朝日は話を変えた。

「それにしても、意外でした」
「ん?」
「秋江さんの本心を知ったわ良いものの、大佑さんは男性が好きだったんでしょう? だから、この件を正直に大佑さんへ打ち明けるかどうか、最初に僕は悩んだんですが――」

 須藤が言うには、大佑は学生の頃から同性としか付き合っていないという。ならば、異性から告白されても迷惑だと拒絶するのではないかと、そう朝日は危惧した。

 そんな朝日に、須藤はあっさりと告げたのだ。

『あの女は、ずっと昔からお前大佑の事を好きだったから結婚したんだと、それが本当なら正直に教えた方が良いぞ』

 その言葉に勇気を出して、朝日は大佑に秋江の想いを伝えたのだ。
 だが、まさか。
 そこからあっさりと趣旨替えして、大佑が女性の秋江に心を開くとは思わなかった。

「僕はもっと時間が掛かるかと思っていたから、この急展開は本当にビックリしました。まさか、結婚十周年を皆の前で祝いたいとまで言い出すなんて……」

 司会役を任された朝日であるが、こんな大団円に発展するとは夢にも思っていなかった。
 すると須藤は、フッと微笑みながら口を開いた。

「あいつは、高校生の頃から男とばっかり付き合っていたが、いつも誰とも長続きしなかったんだ。ちょっと有名だったんだぞ?」
「有名?」

「一週間であっさり次に乗り換えるヤリマン野郎ってな」

 それは随分な言い草だが、出会いを求めて須藤に好みの男性の紹介をねだり、更に、自ら男性専門風俗店まで開業した男だ。
 それ程までに恋人を渇望していたのが、光原大佑という男だったのだが。

「何であんなに男をとっかえひっかえしていたのか、その理由は明白だったからな」
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